enachiot
2026-05-09 12:31:49
16524文字
Public MARIKINonline4二次創作
 

【MO4】ボコボコパーティ! Act3(初版) / BOKOBOKO PARRY! Act3

【MO4】ボコボコパーティ! Act3(初版) / BOKOBOKO PARRY! Act3 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27713645 について大幅改稿をいたしましたが、ありがたいことにたくさんの方に読んでいただけましたため、初版をこちらにアーカイブしました。
お読みいただいた皆さん、ありがとうございました!


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……ぷはーーー!!!」
最初にダウンしたざくろが、ようやく目を覚ました。キョロキョロとあたりを見回し、周囲の尋常でなく高まったボルテージと、戦場から鳴り響く戦闘音に気付く。

「お? みんなやってるな?」
「ヤッてるどころか全員トンでるぜ……ヒヒッ。」
傍らに座っていたエクレアが、いつもの葉っぱを口に咥え笑う。
「この様子ならざくろは大活躍だったようだな!」
「おう、私が後を引き取ってやったんだからな? 感謝しろよ〜? ……ッ痛ェ!?」
ぐりぐりとざくろの頭を撫でくり回すエクレアの後頭部に、乱暴にガラスコップがぶつけられた。
「俺にも少しは感謝しろ。」
「お前の策通りにやったんだからいいじゃねェか……。」
リンゴジュースをストローで吸いながら、不服げにエクレアはつぶやいた。

……あれだけ消耗させて、ようやくあの面子と拮抗レベルか。」
氷虎がため息をつく。
「バケモンじゃねーか!!!」
「だが十分あっちもバケモンになってるぜ? ――ほら。」

エクレアの指す先で飛び交う、紫の、マゼンタの、青緑の閃光。
隣にいれば頼もしくも、恐ろしさも感じる三人のエネルギー。
「キマッてんねぇ。」
ヒュウ、とエクレアは口笛を吹いた。


「よっ。特等席はやっぱいい音してんなー。」
「お、オツキン。いい調合 グッドラッグだったな!」
「ッたりめーだ! こんな時じゃねえとあのレベルは試せないからな。カマしてやったぜ。」
包帯を巻いたオツキンの拳とエクレアの拳が合わさる。
「他のメンバーは?」
「全員起きたけど……俺たちはもうリタイアだ。ルールだからな。」
オツキンは少し物足りなさそうに肩をすくめた。
「そうだったな……。」
「第三チームもギブった。ウイエは元気だけど他のヤツらを復帰させるとしても一人が限界だし……何よりアイツはこの様子を描き留めたいんだとさ。」
……荒川の乱入のおかげといってはなんだが、俺たちはまだだいぶ余力があるのか。」
氷虎は腕組みする。
……今度はお前らが乱入か?」
「いや、今そうするのは野暮だろう。……だが。」
氷虎の額の結晶がきらめく。
――いざという時は、舞台は整えてやるさ。」

――アクシズの演目が変わる。少し緊張感を感じさせるように。


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「当てるッッッ!」
大鎌を振り被り、シグキンが上空から急襲する。それへ完璧にタイミングを合わせてシュミタロウは鉄槌を振るい、ガッ!!!と鉄槌と大鎌の間で火花が散った。反動を殺さなければ刃が折れそうな衝撃も、闇のチカラで強化された大鎌なら力任せに振り抜き隙を最小限に出来る。

「!」
――外すかよッ!!!」
ギュルン!と即反転し、シグキンがトップスピードでシュミタロウの背を裂いた。既にボロボロのマントの破片が飛び散る。
「ム……!」

飛び去るシグキンへすかさず鉄槌の連撃。何度か引きつけてから垂直に飛翔し離脱したのを認めた途端、シュミタロウは狙いをマリキンに変える。
「ハッ、当たるわけねーじゃん?」 
横からの豪速の鉄槌をむしろ前に詰める形でかわし、青緑のカードを無数にシュミタロウ目がけて放つ。カードの輝きの強さに策を察し、飛び退いたシュミタロウがいた位置には、レーザーの雨が振り注いだ。

――!」
すかさずシュミタロウの足元に影が落ちる。重武装をものともせず跳躍したバチキンから、スパーク音が断続的に鳴っている。
「吹っ飛べ!!!」
身体から迸った雷電は武装に連鎖し、バチキンが力強くガトリングを振り下ろすや否や、何柱もの雷撃と爆発が振り注いだ。
……立ち込めた爆煙からシュミタロウが現れる。爆発を利用しバチキンの上を取ったシュミタロウは、鉄槌を使わず踏みつけをバチキンに叩き込んだ。
「ぐぁッ……!」
「テメェ……!!!」

バチキンへの追撃を邪魔するため、再度シグキンは急降下した。接敵の瞬間に一気に連撃を叩き込もうと狙いを定める……が、一歩先にシグキンの顔面にカウンターの拳がめり込む。
「ッ……!?」
闇のチカラで好戦的になったシグキンの動きを読み切った、完璧なカウンター。派手にシグキンは吹き飛ばされ、地面に突っ込んだ。
「武器使うより痛ェじゃねーか……!」
「バカ正直に突っ込んでんじゃねェ!」
「チッ……!」

マリキンの怒鳴りにシグキンが舌打ちした。シグキンを咎めつつも、『手加減』を再び止めたシュミタロウへマリキンは警戒を怠らない。走りながら複雑な軌道でカードを放ち続け、二人では出来ない手数での攻めを試みる。地面からの爆発、舞うカード同士の誘爆。力を解放した今、その一つ一つがとてつもない破壊力になっている。
無視しきれないと判断し、シュミタロウの狙いがマリキンへ変わった。

――邪魔立てするなら容赦はしない。」
「来いよ……!」
お前は逃さないと言わんばかりに、シュミタロウは力強く地面を蹴り、マリキンへ向かう。

…………!」
その時、シグキンは空を踊るカードの『意図』に気づいた。ニヤリと笑い、地面に大鎌の柄を突き刺し魔法陣を描く。
「悪ィが斬るだけが能じゃないんでな……!!!」
魔法陣から浮かんだ光弾が、弾けるように射出された。
――消し飛べッ!!!」
一瞬、シュミタロウの警戒が魔弾に向く。その瞬間を、道化の眼差しは見逃さなかった。
「おっと悪ィな! そいつらは囮だ!!!」
…………!!!」
舞うカードのいくつかが、強烈に光り出す。

――逃げ場なんてねェぞッ!!!」
巧妙に仕込まれたレーザーの檻が、シュミタロウを覆った。

…………、」
流石のマリキンも、長時間のカード操作にめまいを覚える。魔力は際限なく湧き上がってくるとはいえ、それを振り回す思考力はそこまでとはいかない。バチキンとシグキンが復帰したことだけ視界の端で最低限確認し、再びカードを手に次の策を……編もうとした。

……貴様もな。」
――目の前に、シュミタロウがいた。

……体力バカかよクソがッ……!」
毒付くマリキンに何も答えず、Jackの一条もかくやの正拳突きが、カードの盾をぶち破った。



「「マリキン!!!」」
残された二人の叫びが重なる。
あと少しだと思ったのに、形勢が徐々に悪くなっていく。

宇宙最強。

子どもが思いつきそうなくらい単純で、馬鹿馬鹿しさすらある肩書きが、本物であることを知らしめられている。あれほどの全力を皆がぶつけていたのに。魅せてくれたのに。遊びが始まりだったはずなのに――胸にあるのは本物の悔しさで。
「ここで終わらせるかよ……ッ!!!」


――――シグキンは、翔んでしまった。


「ウオオオオオオオオオ!!!」
ついさっきのJackを笑えないくらい、シグキンも無茶をしていた。闇のチカラを回転させ、軋む身体を無視して前へ前へと進み、シュミタロウへ『手』を伸ばす。
お前にーー勝ちたい。その一心で。

……灼かれるような衝動と羨望がシグキンから放たれたことに、シュミタロウは心の中で微笑む。

(闘争の中で浴びるこの熱は、いつ受けても心地良い)
仲間達がここまでの熱を秘めていたことが、闘争を愛するシュミタロウにはとても喜ばしいことだったし、己の未熟から始まった我儘へここまで応えてくれたことに感謝していた。そして何より、シグキンが皆の熱を途切れさせまいと挑みかかって来たことが……嬉しかった。

……だが、満足したと言ってしまうには、少し早くて。


――――すまない。」
慈悲なく、シグキンをシュミタロウの鉄槌が打ち上げた。
シグキンの片翼が、散った。


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