第5章へ
https://privatter.me/page/69b7aad45ca3d
すべての即位儀礼が終わり、喧騒を帯びた人の流れが完全に引き去ったあとも、ランベルティーニはその場に独り留まっていた。 降り注いだ祝福も、繰り返された形式的な賛辞も、すでに等しく、過去のものとなった。今この空間に漂っているのは、制度の重みではなく、ただ、一つの、巨大な判断がもたらした、濃密な余韻だけだった。彼は、自らの名がどのような経路を辿り、ここまで運ばれてきたのか、その全容を把握しているわけではない。今この瞬間においてさえ、自らが教皇であるという事実に納得してなどいなかった。
――運ばれてきた、という厳然たる事実だけは、もはや否定しようがなかった。 すべての逃げ場が消失した理由。自分の名が、政治の奔流に削り取られることなく、 最後まで純度を保ったまま残された経緯。その不可解な過程のなかで、何度も視界の端をかすめた、消えない位置が存在した。教皇という立場に置かれた今、ようやく彼は、それを『確認してもよい立場』となったのだ。 誰かを追及するためではない。これから始まる長い、仕事を前に、自らの立脚点を整理するために。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.