七海ななみ
2026-04-12 16:07:15
4144文字
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貴方が見つけてくれた⑦

ルカキリ。フリンズ先天性女体化ですが、見た目変化無しくらいの背丈もあって貧乳です。周りからも男性と思われています。女性として気付いてくれたファルカに恋するフリンズのお話。最終回の結婚式になります。ラウマとネフェルの匂わせあるかもしれません。一般的な結婚式のイメージで書きました。
本日はお日柄もよい中、二人の門出にご参列いただきありがとうございます。貴方はナシャタウンの…ああ、キリルちゃんの恋を応援し隊の方でしたか。お席はあちらになります。開演まで少々お待ちください。

感想、マロリク募集しております。よろしければどうぞ。返信はXで行うと思います。
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マロ主×2、感想ありがとう!結婚式に間に合ったかい?席は用意してあるぜ!

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結婚するにあたり、いろいろとやらなければならないことが山積みだった。
最初に僕のライトキーパー所属について。抜けることなくライトキーパーとして所属することになった。ファルカさんはワイルドハントの厄災を食い止めるためにナドクライに来ていたので、ワイルドハントが落ち着いた時にモンドに帰還し、僕も着いていく形になった。もちろん、ワイルドハントが活性化する傾向が見えてきたらナドクライに戻ってくる。やっぱりファルカさんは世界一格好いい。
いろんな事もあり、喧嘩もしたが、ナドクライの騒動は一段落したため、結婚式の準備を本格的に始めた。
結婚式はモンドで挙げることになった。僕も教会で挙げることに憧れはあったので頼み込んだ。ただ、ナドクライでも簡易的な挙式をすることにもなった。もしかして、二回もウエディングドレスが着れる? 嬉しい!
フォンテーヌにいる一流デザイナーにオーダーメイドのウェディングドレスの製作を依頼した。身長あるけど、ひらひらで可愛いのを頼んでも、嫌な顔をせずに受けてくれた。この人も格好いいな
モンドに赴き、教会も見学させて貰ったが、とても素敵だった。ファルカさんの拾った子とも会った。ロサリアさんは本当にこの古狸でいいのか何度も聞かれたが、ファルカさんの格好よさを熱弁したら、頭を抱えてお似合いよ、と言ってくれた。よかった。ファルカさんは照れていた。そんな所も素敵!
そんなこんなでモンドで結婚式の準備をしつつ、時にナドクライに戻ってワイルドハントを討伐し、落ち着いたらモンドに戻り、という目まぐるしい生活を送っていた。
ファルカさんは大団長としての職務もあったからさらに忙しかったのに、嫌な顔をせず結婚式の準備を一緒にやってくれた。世界一格好いい。僕も見習って報告書はサボらないようにした。

そして、今日、やっと結婚式を迎えることになった。
ネフェルさんには大変お世話になったので是非来てほしいと念押しした。ラウマさんと一緒に来てくれることになり、すごく嬉しい。ライトキーパーはナドクライで挙式をするときにお祝いをしてくれる予定だ。
ウエディングドレスは素晴らしい出来栄えだった。
裾を通し、お化粧と、髪を結ってもらう。
鏡に映るのは、綺麗なお姫様だ。あの頃の面影は、消えていた。

「新郎もお支度が済んだようです」

シスターが扉を開けると、白いタキシードを身に纏った、世界一格好いいファルカさんがいた。
いつも格好いいが、今日はさらに格好いい。素敵すぎて見惚れてしまう。

……キリル、綺麗だ」

き、綺麗って言われちゃった!
照れていると、可愛いと褒めてくれた。シスターがブーケを差し出す。ブーケトスに憧れていたので、頼み込んでやらせてくれることになった。ブーケはセシリアの花と、フロストランプを合わせたものにした。モンドとナドクライの友好を象徴するように。
ファルカさんが跪き、僕の手の甲にキスをする。

「世界一可愛らしいレディ、エスコートさせて貰えないだろうか」
「ええ、世界一素敵な方にエスコートされるなんて、光栄です」

ベールを被せ、腕を組む。緊張してくるが、ファルカさんと一緒なら、大丈夫だ。扉を開いた。


────────


まさか、こんな事になるなんてね。

「それにしても、ネフェルが二人の恋路を応援していたのは知らなかった」
あたしも、こうなるとは思ってなかったよ」

情報から女性であることは知っていた。でも男装をしているようだったが、理由までは解らなかった。
気品を鎧にした、のらりくらりと躱されるような奴。それがフリンズだった。
だけど、ファルカに会って恋をして、確実に変わった。
化粧をしようとして諦めようとしていた姿に、つい手を貸してしまった。あんな純粋な子とは思いもしなかった。
可愛くて、一生懸命で、こっちが絆されてしまった。
ラウマはくすくす笑っている。

「そなたはやはり面倒見がいいと思ってな。そういうところが好ましい」
そうかい」

不貞腐れていると、周りを見たラウマが気付く。

そういえば、ナシャタウンの住民がやけに多くないか?」
「ああ、あれは“キリルちゃんの恋を応援し隊”ってやつらさ」
ん?」
「化粧をし始めたあたりから沸いてきたんだ。二人の仲をこっそり見守っているらしい」

ナドクライでも挙式をするのに、モンドまで大勢が駆けつけた。ご祝儀といって大金を渡してきたらしい。過度な額は返金し、花や酒は受け取ることにしたそうだ。
あの子の一生懸命な姿に、ファンがここまで増えるとは、末恐ろしい子だよ。


────────


扉を開くと、盛大な拍手が迎えてくれた。皆が笑顔で、祝福してくれている。嬉しくて、涙が溢れそうだ。ぐっと堪える。
ゆっくりと歩み始める。席にネフェルさんとラウマさんの姿が見えた。二人とも、微笑んでくれている。
代理団長を筆頭に騎士団の面々が敬礼している。ファルカさんは本当に信頼のある大団長のようだ。
神父は、ファルカさんの友人でもある西風教会の主教が務めてくれることになった。

「新郎ファルカ。あなたは、ここにいるキリルを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しるときも、これを愛し、敬い、慰め、助け、お互いの自由を尊重し、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」

ファルカさんは神父を見据えて迷いなく宣言をした。
神父は優しく微笑みながら頷き、僕の方に向き合う。

「新婦キリル。あなたは、ここにいるファルカを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しるときも、これを愛し、敬い、慰め、助け、お互いの自由を尊重し、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

長い人生、いろんな事があった。
女性として生きることを諦めた。でも、ファルカさんが見つけてくれたから、もう一度頑張れた。
お洒落を頑張って、告白して、恋人になって
過去を、受け止める事が、できた。
そんな人と共に人生を生きる事ができる。これ以上の幸せはない。どんな困難でも、共に乗り切る。

誓います」

ファルカさんは幸せそうに笑っている。今日という日を迎えられて、本当に幸せだ。

「では、約束の証として、指輪を交換してください」

ブーケをシスターに預け、結婚指輪を取り出す。
結婚指輪は互いの瞳の色をあしらった宝石にした。
ファルカさんの手にはサファイアをあしらった結婚指輪がある。右手を差し出すと、薬指に指輪をはめてくれた。
イエローダイヤをあしらった結婚指輪を取り出す。ファルカさんの右手薬指にはめる。

「今、お二人は風神バルバトスの前で聖なる約束を交わしました。……新郎、新婦のベールを上げてください」

薄いベールが視界から消える。ファルカさんが近づき、誓いのキスをかわす。

「ここに西風騎士団のファルカとライトキーパーのキリルが、夫婦となったことを宣言いたします」

盛大な拍手に包まれる。憧れの結婚式を、大好きなファルカさんと挙げることができて、本当に幸せだ。


───────


教会前には大勢の人が集まっていた。
なんか、キリルちゃん幸せになってー!という声が聞こえる。誰なんだろうか。
ブーケを投げると、ネフェルさんの元に落ちていった。
一番お世話になった人だ。どうか幸せになってほしい。

「ネフェルさん、今までありがとうございました!」

そう叫ぶと、ネフェルさんも苦笑していた。

「じゃあ、お前ら、ゆっくり酒でも飲んでてくれ! 俺は嫁さんとイチャイチャしてくるから!」

そういって、ファルカさんは僕を横抱きにして、高く飛び上がる。歓声を背に、何度も跳び跳ね、モンドの街中に着地する。
いろんな人たちが、僕らを見て歓声を上げている。街の人達に、一人一人声を掛けている。やっぱり、ファルカさんは格好いい。
街中を隅から隅まで歩き回った所で、代理団長に捕まった。

そろそろ会場にお戻りください」

反省室に入れたいけど、おめでたい日にそんな事をするわけにはいかないので、特別免除してもらった。
会場では隠れてたくさんキスでもしたのか、と野次が飛んできて、思わず赤面した。ファルカさんもバレたか!と笑いながらキスをしたので、大きな歓声に包まれるのだった。


────────


​そういえば、そんな事もあったな
朦朧とした意識の中、幸せの思い出に浸る。だけどすぐに痛みがやってきて、力を込める。

「~~~ん゛ん゛ん゛」
「キリル、頑張れ! あと、少し、あと少しだ!」

ファルカさんの手を強く握る。痛い。でもこれでもまだましな方らしい。体格に恵まれてる分、安産になりやすいと聞いて、初めてこの体格に感謝した。
あと、少し。あと少しで、僕は母親になれる。僕も痛いが、同じくらい赤ちゃんも痛いのだ。僕の痛みなど、赤ちゃんに比べたら、大した事はない

「~~~ん゛ぐぅ」

赤ちゃん、早く貴方に会いたい。貴方を抱き締めたい。
泣き声が響く。ああ、産まれたのか。全身の力が抜ける。

「産まれた、産まれたぞ、キリル! 産まれたんだ!」
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
…………うまれた」

シスターが、赤ちゃんを渡してくれる。最後の力を振り絞って抱き締める。赤ちゃんは元気に泣いている。産まれたんだ。僕は、母親になれたんだ

………キリル、ありがとう」

ファルカさんに優しく抱き締められる。赤ちゃんはきゃっきゃと笑っている。結婚式でこれ以上の幸せはない、そう思っていた。でも、もっと幸せになっている。

……ちっちゃい」

小さな命が、こんなにも愛おしい。涙が溢れてくる。ありがとう。産まれてきてくれて、ありがとう。

「キリル、疲れただろう。少し寝るといい」
…………は、い」

赤ちゃんをファルカさんに渡すと、意識が遠のいていく。幸せな未来が、垣間見えた気がした。