こあらん
2026-03-31 00:25:04
21643文字
Public ロベシエ
 

オレのモノになってくれ/ロベシエ(R18)

肉体関係はあるけど付き合っていない。
シエテのある言葉がきっかけでロベリアが動く話。

人によっては、解釈違いがあるかもなので、いやな予感がしたら回れ右でお願いします。

あ、あの、助けてくれてありがとうございました!それでお礼をしたいので、よかったら……一緒に、お食事でも」 

 グランと村近郊の魔物討伐を他の団員と共に終えた後、魔物から助けた女性が頰を赤らめながら、そっと俺に話しかけてきた。


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「あ、団長ちゃん!お疲れさま!問題なく報酬も貰えたようだね〜」

 頼もしい我らが団長のグランは時折、その幼さゆえに依頼主から見下され、報酬を受取る際にトラブルが発生することがある。もし、何か起こった時にサポートができるようシエテは念の為、依頼主の自宅の外で待機していた。まぁ、それも最近は彼らの数々の活躍で知名度も上がってきており、そういう問題も減ってきているのだが。グランの晴れやかな顔を見て、何事もなくすんなりいったと察し、シエテは安堵する。空を見上げると、雲がひとつもないくらいの快晴で、穏やかな風がシエテの髪を撫でていて気持ちがいい。
 ──今日も、この空の世界は美しい。今日はいい一日になりそうだそう思いながら、シエテは自分のもとに駆け寄ってくるグランを眩しそうに見つめた。

「シエテ、待っててくれたんだ!ありがとう!ルリア、ビィ他の皆は?」
「ルリアちゃん達は、村の広場で待ってるよー。俺達も早く行こう。それにしても、お腹が減ったねぇ〜」
「そうだね、もうお昼だからね。僕たちも早く行こう!」
 「今日のお昼ご飯は何かな〜」と呟きながら、ステップを踏むかのような軽い足取りでシエテはグランよりも前に進んだ。グランは少し遅れてシエテの後を追いかけてくる。何やら思うことがあるようで、足取りが少し重い。眉を八の字にしながら、グランは遠慮がちにシエテに聞いてきた。
……ねぇ、シエテ。あの人のお誘い、断ってよかったの?」
「えーー?」
 突然の質問に、シエテはぴたりと足を止めた。急なグランからの質問に面食らってしまう。
 あの人って?と考えながら記憶を辿る。そういえば、先程村のヒューマンの女から何やら食事でもと誘われた事を思い出した。特に誘いに乗る理由もないので断っていたのだが。グランが言っているのは恐らくその人の事だろう。そのようなこと、特にグランは気にする必要はないと思うのだが。そう思いながら、シエテは今日の出来事を思い起こした。


 今日の依頼は、「村の近郊に魔物が住み着いたので倒して欲しい」という見かけは単純なものだった。だが、その魔物は非常に頭が良く、巣に危機が迫ると一部が村に襲って来るという厄介な習性を持っていた。だからグラン達が魔物の巣へ向かっている間、シエテが村の警護を任され、村に待機していた。その最中、魔物の群れが村を襲おうとするところを、呑気に外に出ようとした女をシエテは助けたのだった。
 その助けた相手が、事が終わった後にシエテだけを食事に誘ってきた。そして、シエテはそれを断った──ただ、それだけの事だ。特に深入りするようなことではない。
  
僕達の事は気にしないで、せっかくだし、行ってきてもよかったのに。だってあの人、シエテに少し興味がありそうな感じだったし
 唇を尖らせながら、グランは続ける。その瞳の奥には多少の好奇心がちらちらと覗いていた。どうやら、この幼い団長は、他人の色恋沙汰にかなり興味があるらしい。
「いやいや!だったら尚更、だめでしょ!?」
「えぇ、そう……?」
 思ったよりも強いシエテからの反応に、グランは目を丸くして驚いた様子をみせた。どう返したものかと、シエテは少し言葉を選びながら言葉を続けた。
うーん、立場上、軽率な行動は控えたいんだよねー。あんまり変に期待させちゃ悪いし
「な、なるほどそ、そうか」
「ああ、あと十天衆の情報が知りたくて近づいてくる奴とかもいるから、やっぱり慎重にいかないと。変に噂されたら嫌だし、それで万が一、十天衆の名に傷がついたら困るでしょ?だから、簡単に知らない人の誘いに乗るとかはやっぱり難しいかなぁ〜。まぁ、情報収集の流れの一環とかなら話は別だけねー」 
凄いねそこまで考えていたんだ。シエテがその人とどんな会話をするのかなとか気になってあんまり頭に無かったよ
 スラスラと理由を並べているシエテを、グランは口を開けて感心したような表情で見つめていた。そして、聞きたいことが聞けて満足したのか、グランは再び足を動かし始めた。先ほどよりも早足だ。早くルリア達に会いたいのだろう。シエテもそれに続き、肩を並べながらグランの歩調に合わせる。
 歩きながら、グランからの視線を密かに感じた。
 ──これは、何かまだ聞きたいことがありそうだねぇと密かに考えながらグランの様子を見た。先ほどから、シエテを見つめながらずっとそわそわしている。

そもそも、シエテって恋人とか誰かと付き合ったこと、あるの?」 
 まるで、お気に入りのお菓子でも目の前にあるみたいに、目をキラキラさせながらグランはシエテに聞いてきた。なんてことだ、予想外の質問が来てしまった。
「え、えぇー、なんて事聞くの!」
 好奇心丸出しの瞳でじっと見つめられ、シエテは内心で驚いた。急に何でこんな事を聞くんだろう?若い子って他人の色恋沙汰に野次馬みたいに興味があるって聞いたことはあったけど、まさかグランもその一人だったとは
「なんとなく、気になっちゃって。もし恋人がいたら、どんな人と付き合うのか凄く気になるし。シエテの恋人って……なかなかイメージがつかないんだよね
 腕を組み、空を仰ぎながらグランは答える。うーんと考え込みながら、想像上のシエテの恋人とやらを思い浮かべているようだ。ちょっと待って、勝手に色々想像しないで。
「団長ちゃん……。そんな、お兄さんのこと聞いちゃって、どうしたいのかなぁ〜?」
 顔を引きつらせながら、シエテはグランに聞き返した。こういう時のグランは悪戯心全開で、本当に年相応のやんちゃな子供みたいで愛らしい。シエテはそんな彼によくからかわれている気がする。グランは未だに腕を組んだまま、大げさに頭を傾けて、にやりと歯を見せながら笑った。
「うーん、なんかシエテのそういう過去を知って弱みを握りたい?」
「ちょっとちょっと、酷くな〜い!!?怖いんだけど!」
 どうも、この可愛らしい年下の団長は、シエテに対して容赦がないらしい。冗談であって欲しいと思いながら、シエテはわざとらしく泣きそうな顔を作ってみせた。
 そんな、シエテの反応が面白かったのか、グランは難しい顔から一転し、思わずぷっと吹き出した。
「ごめん、冗談だよ。でも、純粋に気になっちゃって。正直、シエテに恋愛とか想像できなくて
「ああそう
「で、どうなの?」
 引き続き、好奇心が消えぬ瞳でグランは食い入るようにシエテに聞いてくる。どうやら、この質問にちゃんと答えるまでは逃がしてくれそうにない。シエテは観念した。

うーん、そういえば恋愛とか恋人とかって考えた事なかったなぁ。剣とか剣拓集めが楽しくて頭になかったし、今は忙しくてそれどころじゃないしね〜。恋人とか、そういうのは作る気は全然無いかなー。こういうのは、軽い気持ちで付き合っちゃだめだと思うし
 頭を傾けながら、シエテは答えた。そういえば、恋愛のことなんてあまり考えたことが無かった。自分には生涯無縁だと思っているからでもある。そんな返答が意外だったのか、グランは目を丸くする。
「え、そうなの?欲しいと思った事はないの?」
「ずいぶんと聞いてくるねぇ。ないよー。ないない。必要ないよー、今はね」 
…………
 ハッキリと返すシエテに、どう反応したらいいのか分からないのか、グランは眉を顰めて泣きそうなのか、怒っているのか分からないような顔をしてシエテを見つめる。
 ──そんな顔しなくていいのに
 そう思い、淡く微笑みながらシエテは言葉を続けた。
でも、それでいいんじゃない?恋人なんかいなくても、毎日楽しいし。まぁ、これでもシエテお兄さんはモテモテだからっ!その気になれば恋人の一人やふたりって、そんな顔をしないで!!」
 先程の表情とは一転して、グランは呆れたような顔でシエテを見つめている。冷めたような視線が、なんだか痛い。
「はぁ……なんか、シエテにこんな事聞いて馬鹿らしくなっちゃったな。色々考えて損した。早くルリア達の所へ行こう!お腹減ったし、グランサイファーに戻ってお昼ご飯食べなきゃ!」
「あ、ちょっとちょっと、団長ちゃん〜〜!?」

 そう言った後、グランは早足でルリアの元へ向かっていく。遠くでルリアとビィがグランに気付いて、嬉しそうに手を振っている。そのやりとりを見るだけで、心に春が訪れたような温かな気持ちになり、自然と笑みが溢れてくる。
 グランの背中を見つめながら、シエテは自嘲気味に笑い、静かにため息をついた。眩しくも蒼い空が、なんだかまぶしくて目を細める。


───そもそも、世界の礎として生きなければいけない立場だ。恋愛なんてもってのほか。恋に浮かれた頭で使命が疎かになってはいけないし、相手を自分たちが抱えているトラブルに巻き込んでしまうかもしれない。そんなことは、シエテは望んではいない。
 いつ、何が起きるのか分からない身でもある。そんな自分が恋人じゃ、相手が可哀想すぎる。だから、こんな自分は恋人なんて作ってはいけない……そう思っている。
 そもそも、恋愛感情、というのがいまいちわからない。この身が壊れそうになるほど恋焦がれたり、相手を思うあまりコントロールができなくなったり。そんな気持ちがどんなものなのか全く想像がつかないし、ピンとこない。やっぱり、自分には無理な気がする。
 そんな感情がなくても、自分には大切なものがあるし、それで充分じゃないかと、そう思いながら静かにグラン達のもとへ向かった。