ここ
2026-01-09 13:48:08
27634文字
Public 小説
 

【リバリン】愛の種【女体化】🔞

厄黙後、平和になった世界で政略結婚(?)をすることになったリーバルとリンクの話。
※リンクが先天性の女性設定です。


三.
 リーバルとリンクの婚姻生活は数ヶ月が経過した。剣を振るわなくなったリンクの腕は、心なしか細くなったようだった。そのうえ以前より伸びた稲穂色の髪を見ると、確かに女だなぁと思う。
 正直に言うと、リーバルはリンクの顔が昔から嫌いじゃなかった。以前よりも険の取れた頬に長い髪がかかっているのを見ると、素直に綺麗だなと思う。そして、その横顔がこちらを見ていて、微笑んでいたらもっと美しいだろうにとも。
……そんな顔、するわけないか」
 リーバルは自嘲して独りごちた。

 そんな心境に至るリーバルの心の変化は、ジワジワと現れていた。
 最初は、リンクによって整備されたこの家がリーバルの作り上げた生活を侵食してくるように感じて不快だった。それなのに、いつの間にかリーバルはリンクがいるこの家に心地よさを感じ始めていたのだ。
「リーバル。おかえり」
「ああ。帰ったよ」
 家に帰れば、リーバルの渡したリトの羽飾りをつけたリンクが出迎えてくれる。家に帰るたびに繰り返される小さくそっけなくけれども二人が家族であるという証のやり取りは、静かに少しずつリーバルの中に降り積もって心を温めた。
 家に温かな明かりがついていること。そこに自分を待っている家族がいるということ。それは孤高を愛しているリーバルをしても、悪くないものだと思えた。早くに親を亡くして長く一人で暮らしていたリーバルにとって、初めて与えられた自分のためだけの温もりだった。
 一緒に暮らしているのだから、情が湧くのは当然だろう。そうもっともらしく言い訳をしてみたりもするくらいには、リンクを大切に思い始めている自分がいた。もっと歩み寄りたい。そう思う気持ちがある一方で、アイツはどうだろうという疑念がリーバルの歩み寄りを躊躇させる。
 朝、家を出ていくリーバルを見送るリンクの姿は、まさに籠の鳥というのが相応しいように思えた。小さな鳥籠の中に囚われたリンクには、かつて野を駆け果敢に魔物を屠っていた凛々しい姿の面影もない。リーバルがリンクとの生活に慣れ、安らぎを享受している一方でリンクはずっと自分を殺し続けている。そう思うと、リンクが哀れに思えた。
 昔だったら。リンクが勝手に自分の使命を背負い込んで苦しんでいたとしても、リーバルはなんとも思わなかっただろう。でもリンクとこうして暮らし少なからぬ情を交わし合った関係となっては、そんな風に突き放すことはできそうにない。
(アイツのまっすぐな目が好きだったな。たまに見せた笑顔も。でも、僕の隣じゃそんな顔はできないのか……
 リンクを手放すのが惜しい。けれど、リンクから本来の魅力と輝きを奪っているのは他ならぬリーバルの自身だ。ハイラル王家に従順なリンクは、リーバルとの生活がどれほど苦痛であっても自らこの生活を終わりにすることはできないだろう。であれば、引導を渡してやるのはリーバルにしかできない役目だ。
(僕から王家に言えば。きっと終わりにできるはず……)
 リンクを解放してやらなければ。それはリンクのことを思ってのものであるようでその実、リンクを愛し始めてしまっている自分への、報われないであろう己の心への恐れから来るものでもあった。
「アイツを、ハイラルに帰してやろう」
 リーバルはそんな密かな決意を胸に、リンクの待つ家へを大きく翼を羽ばたかせた。


「君をハイラルに返そうと思う」
 明くる朝、唐突に告げたリーバルにリンクは朝食を並べていた手をピクリと止めた。軽くぶつかり合った皿がカチャリと小さな音を立てる。
……何か、至らないところがあった? 言ってくれれば直すから──」
「そうじゃない。そうじゃないけど、君もウンザリだろ? こんな生活。僕も正直息が詰まってね」
「でも……リトは一度つがったら一生で、離れたりはしないって」
「君はリトじゃない」
 リーバルはリンクがこれ以上言い募れないように、あえてピシャリと冷たく言い放った。リンクの言う通り、リトはつがったら一生で、つがいである伴侶と別れるなんてとんでもない行為だ。リーバルがいくら英傑だとは言え、一度伴侶と定めたリンクと別れるようなことになれば一族から後ろ指を指されるのは必至である。しかし、リーバルは自身が受ける不名誉を理解した上で、リンクを解放してやりたいと思った。リーバルを愛せとは言わない。無理だとわかっているそれを強いるつもりはない。けれどせめて、リンクにかつての姿を取り戻して欲しい。その瞳がリーバルだけのものでなくなっても、かつての輝きを取り戻して欲しい。それが良き夫になりきれなかった自分の、リンクに対して示せる唯一の愛だと思ったのだ。
「近いうちにハイラル城へ登城する。姫と話をつけてくるよ、いいね?」
 打ち切るように宣言したリーバルに、リンクは顔を青ざめさせた。けれど、薄く開いた唇が言葉を発することはなかった。
 それが、リンクの答えだと思った。



 一週間後、リーバルは宣言通りにハイラル城に向けて上空を飛んでいた。リーバルの重い心裡とは裏腹にハイラルの空は今日も美しく澄んでいた。
「貴方からお茶に誘ってくださるなんて」
 数ヶ月ぶりに会ったゼルダ姫は、継承した王位の重さに苦労はしつつも以前より威厳の増した落ち着いた雰囲気でリーバルを出迎えた。
「女王陛下にわざわざお時間を割いてもらって悪いね」
「いえ! とんでもない。貴方との時間は有意義ですよ、リーバル」
 それにリンクとの新婚生活も聞きたいです、と頬を赤らめて言うゼルダ姫は、先ほどの威厳を引っ込め年相応に恋愛話に興味を示す若い女性の顔をしていた。アイツもこれくらいわかりやすく感情を出してくれたらなぁ、なんて思ってもしょうがない思いが胸に浮かんで苦笑する。
「ここに来たのはまさにその話についてなんだよね。姫、アイツを──リンクをハイラルに返せないかな」
「まぁ……! 何か問題が?」
 ゼルダ姫が小さく悲鳴をあげ、心配そうに眉を寄せる。
「戦時下の僕とアイツを見ていれば、問題がないって思う方がどうかしてると思うけど」
「ですがリンクからの手紙では『幸せだ』と。初めのうちは何度かやり取りをしていたんです。近頃はもうしばらく便りはありませんが……
「それだよ!」
 リーバルはピシャリと言った。
「あの生真面目が、自分のことで王家に心配をかけるようなことが言えるもんか。僕との生活が苦痛でたまらなくても、姫には幸せだって言わざるを得ないんだよ。大体始まりから強制されて僕のところに嫁いでいるんだから──」
「でも、リーバル、あの……
「なんだい」
 口を挟みたそうにするゼルダ姫に、リーバルは溢れ出る文句を無理くりに切った。
「実は、リーバルのところに嫁ぎたいと言い出したのはリンクなんです」
……なんだって?」
「父が、私に王位を継承する直前ですが、厄災討伐で活躍したハイラル軍の兵士たちに褒美を与えたんです。リンクもハイラル軍の所属でしたし、何より退魔の騎士として先の戦いの要でしたから。父は、リンクに何でも望みを言うようにと伝えました」
……それで、アイツが僕と結婚したいって……?」
……はい。リンクが珍しく望みを口に出したものですから、難しい願いとは思いつつも、リーバル。貴方に打診させていただいたのです。それを貴方も受け入れてくださったので、私はてっきり上手くいっているものとばかり……
 オロオロと狼狽えるゼルダ姫を前に、狼狽えたいのはこちらの方だとリーバルは思った。
「ほ、本当にアイツの望みだったのか? リトとのつながりを強固にしたい誰かが暗にアイツに圧力をかけたとか」
「あの、こう言ってはなんですが、正直貴方とリンクが結婚したところで王政を動かすような威力はありません。リト族は王族が率いているわけでもないですし、リンクも退役した今となっては一ハイラル市民に過ぎないですから」
「はぁ!? じゃあ書状に仰々しく書かれていたあれはなんだったの!?」
「それは、貴方と結ばれたいと言うリンクのお願いをなるべく後押ししたくて……
 リト族とハイラル王家の結びつきを強固に、というのは建前だったと白状するゼルダ姫を前に、リーバルはやりきれないため息をついた。
「姫も随分と小狡いことをするようになったね。でもそれ、リンクにはちゃんと伝わっているの? どう見ても僕を好きって言うよりは王家の命令を遂行しようとしているようにしか見えないんだけど」
 そもそもリンクがリーバルのことを好きだと言うゼルダ姫の言葉自体がとてもじゃないが信じられない。リーバルの言葉に、ゼルダ姫は先ほどの動揺が嘘のようにリーバルの目をしっかり見て口を開いた。
「彼女は、確かに貴方を好いていると言っていました。思いが真剣だとわかったからこそ、私たちも真剣に後押しをしたのです。それにリンクは苦労して素材を集めて、貴重な薬を持参していったでしょう? それが何よりの証ではないですか?」
「え? あの薬、そんな貴重な物なの……?」
「作るには希少な素材が必要な上に大変高額な費用がかかると聞いています。けれどリンクは貴方の子を産みたいと」
……まさか」
 にわかには信じがたい話だった。王命ではなくて、アイツが自分の意思でリーバルに嫁いで。その上リーバルの子を欲しがっていると、ゼルダ姫は本気で主張しているのだろうか?
……姫も、僕の家でのアイツの姿を見ればわかるよ」
「リーバル、どうかリンクの話もよく聞いてあげてくれませんか。彼女は、言葉で伝えるのが得意ではありませんから」

 そんな風に締められたゼルダ姫との会話を思い出しながら、リーバルはモヤモヤした心を抱えながらリトの村に向かって帰路を飛んでいた。不器用だがまっすぐなゼルダ姫の言葉は信用に足る。けれど、彼女の言っていた内容がどうしてもリーバルの家でのリンクの振る舞いと結びつかない。例の妊娠薬の件だってそうだ。リーバルが不注意であれをダメにしてしまった時、リンクは大して気にした様子ではなかった。貴重で高価な薬を「また買えばいい」と軽く受け流せる物だろうか。考えても結論は出ず、飲み込みきれない考えにため息が溢れた。
……明日、腰を据えてアイツと話すか」
 ゼルダ姫も、リーバルとリンクには対話が必要だと言っていた。それはその通りかもしれない。今日はもう精神的に疲れ果てて、とてもまともに対話できるとは思えなかった。リンクの待つ自宅に帰宅した後リーバルは「明日、話がしたい」とだけ伝え、リンクの用意した食事を済ませると早々に床についた。その時のリンクの顔はまともに見ることができなかった。



「リーバル……
 リーバルは暗闇の中、自分を呼ぶかすかな声に意識を浮上させた。一瞬聞き間違いかと思ったが、そうではない。なぜならその声の主が自分のすぐそばに、同じベッドの中にいると気づいたからだ。
……よせよ。今日はそういう気分じゃないんだ」
「お願い。リーバルは寝てるだけでいいから」
 そっけなく言い放つリーバルに、リンクは諦めなかった。普段は受け身に徹しているリンクにしては珍しい。よほどムラムラしているとでもいうのだろうか? 今夜は早く床に就いていたし、漏れ入る月明かりの位置から見ても今がそれほど遅い時間ではないだろうなとわかった。普段、行為をするのはもっぱらリーバルからで、リンクに求められるのはよく考えれば初めてかもしれない。そう思うと眠気も覚め、スリットの奥に眠っていたリーバル自身もむくりと反応を返した。
「しょうがないな。君が動くんだな?」
「うん。リーバルは気持ちよくなってるだけでいい」
 言うや否や、リーバルに覆い被さるような姿勢でいたリンクの手がリーバルの下腹部に触れた。指先がそっとスリットを割り、中で猛りかけていたモノを丁寧に取り出す。リーバルに比べれば格段に小さい手のひらで優しく扱かれると、リーバルのそれは簡単に固く反り返った。
「ちょっと、待ってて」
 リンクがリーバル自身を扱く手は継続しながら、もう一方の手を自分の口に含んだようだった。小さな舌を纏わせて唾液で濡らした指を、自分の下半身へと運んでいく。仰向けに寝ているリーバルの胴を跨ぐようにして開いたリンクの脚の間からクチ、と控えめな水音がした。続けて、小さく息を吐く音。
(自分で自分のアソコを濡らしているんだ……。僕のを受け入れるために)
 リンクは額をリーバルの胸元に押し付けるようにして身体を支えながら、一方の手でリーバルのモノを、もう一方の手でリーバルを受け入れるべき場所を愛撫しているようだった。リンクの息遣いと共に、ほんのりと甘酸っぱい匂いが漂う。嗅ぎ慣れた雌の、リンクから漂う発情した匂いにリンクの手に包まれているリーバル自身がその手を押し返さんばかりに熱く滾ってそそり立つのを感じる。上にリンクが乗って体重をかけていなければ、リーバルの腰は滾った欲望を埋める肉穴を求めてみっともなくカクカクと浮いてしまいそうなくらいだった。
「ねぇ、いつまで待たせるのさ。君に挿れたいんだけど……
 否、実際リーバルの腰は揺れていたかもしれない。欲を露わに急かすリーバルにリンクは「うん」と小さく答え、そそり立つリーバル自身の先端をぬるりと湿った穴へとあてがった。リンクがゆっくりと腰を落とすのに合わせ、敏感な先端部分が熱い粘膜に飲み込まれていく。
「ん……、いい具合だ……
「はぁっ、あぁ、あ、あ……っ」
 控えめな喘ぎ声がリーバルの耳をくすぐった。リーバル自身をキュウキュウと締め付ける、熱い粘膜の震え。リーバルの腹に手をつきぎこちないながらも懸命に腰を振るリンクの息遣い。パチュッ、ヌチッと鳴る濡れた水音を聞きながら、リーバルの頭の中では昼間のゼルダ姫との会話が思い出されていた。『彼女は、貴方を好いていると言っていました』。
(──好きなのかな、本当に。僕のことが……
 リンクから与えられる直接的な官能を享受しながら考える。好いた相手に縋りながら必死になって自ら腰を振って愛を乞うているのだと思うと、急激にリンクの姿が健気で可愛く思えた。今まで何度もリンクのことを抱いてきたのに、胸がキュンキュンと締め付けられるというか、無性にドキドキとした気持ちになる。
「っあ、リーバル、っん……
 男の心情とは単純なもので、リーバルの内心の昂りはすぐに肉体の昂りと連動した。膣の中でさらに膨張したリーバル自身にリンクは戸惑ったのか、小さい悲鳴をあげて腰の動きを鈍らせる。リーバルは込み上げる気持ちをギリリと嘴の奥に堪えて、リンクの腰を両手で掴んだ。
「リーバル……?」
「ほら、しっかり掴まってな……っ!」
「ぇ……? ……っんあ゛あっ!! ああっ、ひ、あああッ!!」
 ともすれば溢れそうになる気持ちを叩きつけるように、リーバルはリンクの奥深くを自身の怒張で突き上げた。リンクが悲鳴をあげながら背をのけぞらせ、肩にかけていた毛布が弾け飛ぶ。
「ああっ! ……リバ、ぁ、はげし……ひ、っ!」
「どうして、嫌かい?」
……や、じゃないッ、ん……っ、あひっ、〜〜〜ッ!!」
「そう、ならいいよねッ!?」
 リーバルは滾る熱情を堪える気もさらさらなく、リンクの胎の奥深くに精を迸らせた。大量に吐き出されるそれを、一滴もこぼしたくないとばかりにリンクの膣が強く締め付ける。リーバルもそれを助けるように、リンクの腰を掴む手に力を込めてグリグリと自身の腰に押し付けた。
「ぁ………………
 リーバルの腰に跨り、胎内にリーバルを受け入れた姿勢のまま、リンクが陶酔したようなぼんやりとした目でリーバルを見つめていた。放心して力の入らない身体の、脇の下に翼を差し込んでゆっくりと抱き上げる。ぬぽ、と音を立てて膣から抜け落ちるリーバル自身にリンクは声もなく身体を震わせた。大量に吐き出されていた精液がトロトロとリンクの内腿を伝わっていくのが濡れた感触でわかる。リーバルの熱情の証が、リンクの胎の中で実を結ばないことが妙に惜しいような気がした。今までの自分らしからぬ想いに戸惑いつつも、リーバルは抱き上げたリンクの身体を自分の胸に閉じ込めるように抱きしめた。事を済ませた後に、こんな風にリンクの身体を慈しむのも初めてだった。
……ありがと……リーバル……
 リンクはリーバルの腕の中で吐息のような声で言った。そしてゆっくりと身体を離し、いつものように自室に引き上げようとする。離れていくリンクの腕をリーバルは引き留めた。
……リーバル?」
……その、さ。もう遅いし、ここで寝ていけば?」
 リンクが小さく息を呑む気配がする。初めて夜の営みをした時からずっと、行為の後は別々のベッドで眠る生活をしていたのだからリンクの戸惑いは当然だろう。けれど、リンクは離れかけた身体をおずおずとリーバルの胸元と戻した。夜着越しの温もりがリーバルの腕の中に戻ってくる。嘴に触れた髪からは、しっとりと汗ばんだリンクの匂いがした。夜着に包まれた身体もきっと同じように汗ばんでいるに違いない。
(──直接触れたらもっと、気持ちいいだろうな……
 そんな事をぼんやりと思いながら、リーバルの意識は心地よい微睡の中に沈んでいった。


 リンクとちゃんと話そう。リンクに気持ちをちゃんと伝えて、リンクの気持ちも確認しよう。そんな決意と共に目を覚ましたリーバルは、眠る時に確かに腕の中に閉じ込めていた温もりがすでに無いことに気がついた。鼻腔にはいつものように美味そうな料理の匂いが届いてくる。しかし目を向けた食卓にはリンクの姿はなかった。不審に思ってリンクの部屋に向けて声をかけるが返事はない。昨夜は激しくしすぎただろうか? そんな風に内心焦りながら「体調でも悪いのか?」と声をかけて足を進めたリーバルの前に広がっていたのは、もぬけの殻となったリンクの部屋だった。
……へ?」
 間抜けな声が、主人を失った部屋の中に響く。机の上にはいつぞやリーバルが零してしまった薬の空瓶と、結婚の証に贈ったリトの羽飾りだけが残されていた。


 リーバルは昨日の今日で急いでハイラル城へと向かった。上空からリトの視覚を駆使して朝儀を済ませたらしいゼルダ姫を探し出し、リンクが来ていないかと怒鳴るように問いただす。面会の約束も取り付けず、不躾に飛び込んできたリーバルに驚きつつも、ゼルダ姫は首を横に振った。昨日も見た、心配そうに眉を寄せるゼルダ姫の顔にジワジワと足元が冷たくなっていくように感じる。
「落ち着いてください、リーバル。ミファーやウルボザ、ダルケルにも声をかけましょう」
「あ、あぁ」
 ゼルダ姫に促され、リーバルは急ぎかつての英傑たちが治める三地方へと手紙を送った。しかし、返事はいずれもリーバルの望む内容ではなかった。
……リンク……!」
 返ってきた手紙の束を握りしめ、リーバルは独りになった家の中に立ち尽くしていた。隅々まで掃除され羽の一つも落ちていない部屋が、どうしようもなく広く寒々しく感じた。