ここ
2026-01-09 13:48:08
27634文字
Public 小説
 

【リバリン】愛の種【女体化】🔞

厄黙後、平和になった世界で政略結婚(?)をすることになったリーバルとリンクの話。
※リンクが先天性の女性設定です。


二.
 リンクがリーバルに嫁いだその日から、リンクはリーバルの家で暮らすことになった。リンクが持ち込んだのは僅かばかりの身の回り品のみで、荷物の少なさにリーバルは眉を顰めた。
「必要なものは新しく買えばいいと思って」
 女性はもっと色々と物入りなのではと言うリーバルに、リンクはそう淡々と答えた。
 リンクのその数少ない持参品の中に、変わった色の液体が入った小瓶があった。リンクによると、それは異種族の子供を産めるようになる薬なのだと言う。
「七日七晩ひと匙ずつ飲んで、その間に性交すれば孕むらしい」
……へぇ。胡散臭い気もするけど」
 英傑として共に厄災に立ち向かっていた短くはない期間、色っぽい気配なんか全く匂わせたことがないのに、リンクはリーバルとちゃんと夜の営みをして子供を産む意思があるらしい。今までリンクのことをそういった目で見ていなかったリーバルはどこか座りの悪い心地だった。初日にリンクから説明を受けた後、件の薬はリンクの私室として与えた部屋の机の上で封が切られることなく静かに存在を主張している。

 リトの住人たちは、村に嫁いだ珍しいハイリア人の花嫁に戸惑いがなかったわけではないだろう。しかし決してそこに拒絶の色はなかったと思う。それはリンクがリーバルと同じハイラルを救った英傑の一人であり、厄災討伐を通して広く顔と存在を知られていたことが大きいだろう。
 しかし、当のリンクの方はその頃の足取りの軽さが嘘のように家に篭りがちだった。リンクと暮らし始める前、リーバルはリンクに対して家にいる時間の方が短いような生活になるのでは、と考えていたのだが、まるでその逆だったのだ。
「君、家に篭ってばかりいないでさ。少しは外に出たら?」
「でも、まだ家のことに慣れていないし……
「この家にいて大してすることがあるとは思えないけどね」
 そんな会話をして数日後、リンクから珍しく外に出たのだと話があった。しかし何をしたのかと思えば、リトの女性陣に歌を教わったのだという。
「みんな優しい。みっちり指導してくれた」
「はぁ。だからそんな掠れ声なんだ」
 夕飯の席で喉を辛そうにしながら話すリンクに、リーバルは呆れを隠さない声で言った。
「ハイリア人の君が歌ったところでリトには敵いっこないんだからさ」
 だから、無理にリトに合わせず好きなことをしたら? そういう思いで言った言葉に、リンクは珍しく薄らと笑ったようだった。
……そう、だね。リーバルの言う通りだ」
「ああ」
 掠れ声で同意するリンクに、リーバルは食事から目を上げずに頷いた。
 その後リンクが他にどんな趣味を見つけたのか、結局リーバルは聞いていない。しかしその日以降、リンクから歌を習ったという話をリーバルが聞くことはなかった。


 ぎこちないながらも新しい生活が回りだす。それは夜の生活についても同様だった。
 初めてリンクと床を共にした夜。リンクの振る舞いは情交というよりは奉仕とか献身と言った方が正しい有様だった。床に入って早々に服を全て脱ぎ、リーバルのまだ勃起もしていないイチモツを舐めようと顔を近づけてきたリンクの行為には正直度肝を抜いた。
「はぁ!? これを舐める? 頭がおかしいのか君」
「え……、ぁ……
 これは排泄器官だ。そんなものを舐めさせるなんて行為を考えたこともなかったリーバルは眉を顰め、狼狽えるリンクに言った。
「君のお国じゃそういうのが流行っているのかもしれないけれど、あまりに淫売な振る舞いは萎えるな。僕の前ではそういった行為は謹んでくれ」
……ごめんなさい。もうしない」
「わかってくれるならいいよ。あぁ、それからついでに言うけど、服を脱ぐのも最小限でいい。ハイリア人の肌っていうのはなんだかペタペタしていて落ち着かないからね」
……わかった」
 リンクは小さく頷き、それ以降はリーバルにおとなしく身を委ねるようになった。だからと言って、リーバルもハイリア人の身体に詳しいわけではないのでどこをどう触れば良いのかよくわからない。モノを挿れる場所はリンクの自己申告でわかったのと、どうやら濡れてはいるようなので適当に扱いて勃起させた自身を突っ込むというのが、リーバルとリンクの夜の営みだった。リーバルに言われるがままに身体を開くリンクの中は具合は悪くなかった。体格差を考えればリンクにとってリーバルのモノは大きすぎるくらいなのではと思うが、どうにか挿れられているしリンクも感じてはいる様子である。リーバルも性欲は人並みにあるので、抱ける身体があるなら抱こうかな、くらいの気持ちで多すぎず少なすぎない頻度でリンクを抱いていた。
 初日の注意以降床の中でのリンクの従順な態度に大きな不満があるわけではなかったが、唯一、例の妊娠薬について毎日「飲んだ方がいいだろうか?」と確認を取られるのには辟易とした。リンクにとって、リーバルとの夜の営みの目的はあくまで子を産むためのものであって、子を望む目的はリンクがハイラル王家から託された『お役目』を全うするためなのだろう。最初からわかっていたこととはいえ、こう毎日あからさまにそれを匂わせられると面白くはない。
「その気になったら僕から飲むように言うから。いちいち聞かないでくれ」
……わかった」
 リンクはこれについてもそう短く答えるだけで、リーバルに反対はしなかった。リーバルとの婚姻を長く続けるために従順であるように言い付けられているのかもしれない。言葉は少ないが、自分の意思を持って強い光を湛えていたアイツの青い空のような目は嫌いじゃなかったな。この家で目線の合わない伏せ目がちな、まるで深い湖の底のようなリンクの目を見ながら、リーバルはなんとなくそう思った。


 リンクはリーバルの家での家事の一切を引き受けた。リーバルが押し付けたのではなく、リンクがそれを望んだのだ。リンクはリーバルが夫として狩りや魔物の討伐を担っているのだから、家を守るのが妻として当然のことだと主張した。
 そうは言っても成人が二人で暮らす家には大して家事らしき家事はない。料理だけは確かに毎日必要だしリンクの腕は悪くなかったので、任せることにした。しかしそれ以外については、たとえば掃除は毎日必要なほど家の中は汚れはしない。洗濯も、リトはそもそもほとんど衣服を着ていないし、あまり着替えの習慣もない。洗い物は主にリンクの衣服だ。必然、繕い物も同様だ。リンクが時間を持て余しているのは想像に難くなかった。
「リーバル。他にすることはない?」
「あのねぇ。僕だってこの家で普通に暮らしてきたんだから、別に君の手を借りなくても暮らせるの。君は君の好きなように過ごせば?」
 リーバルがわざわざそう言ってやっても、リンクは機械のように同じ生活を繰り返した。朝ご飯を作って、狩りや戦士としての仕事に出かけるリーバルを送り出す。日中は大してやる必要のない家事をこなし、夕方に帰ってきたリーバルを出迎えその日の狩りの成果や報酬を受け取り料理する。夕飯を済ませた後、夜はリーバルへの奉仕だ。
 確かに、部屋は隅々まで綺麗に掃き清められ、少ない衣服もほつれ一つないように綺麗に繕われ整えられている。食事は文句なしに美味しかったし、夜の具合も悪くはない。けれどリーバルはその生活になんともいえない居心地の悪さを感じていた。リーバルが一人で暮らしていた時よりもずっと清潔で過ごしやすいように整えられた部屋が、どこかよそよそしさを醸し出している。アイツは、リンクはこの部屋で安らぎを感じているのだろうか。
……伴侶っていうより、下僕じゃないか」
 リンクの隙のない家事は、王家の命令に忠実な騎士のそれと思えばその通りにしか思えなかった。


 それはリーバルの不注意によって引き起こされた。リーバルはある日思い立って、後進であるリトの戦士にリーバルが昔使っていたツバメの弓を譲ろうと思ったのだ。しかし如何せんリーバルが何年も前に使っていた代物である。いったい家の中のどこにしまい込んだのかをすっかり失念していた。故に、リンクが嫁いでくるまでは物置として使っていた現リンクの部屋をリンクの立ち会いのもとに探すことにしたのである。
「あ……っ」
 ガチャン。気づいた時にはもう遅かった。棚の中に頭を突っ込んでいたリーバルの尾羽が、リンクの机の上に置いてあった例の妊娠薬を弾き飛ばしたのだ。小さな瓶は哀れに吹っ飛び、当然の結果としてその中に入っていた液体を床にぶちまけていた。
「あー。ごめん」
 床に広がっていく薄紫色の液体を見下ろしながら、リーバルはバツが悪い思いで言った。
「今のは僕が悪かったよ。弁償する」
「ううん、俺もこんなところに置いておいて悪かったから。いいよ」
「そう?」
 いまいち使う気になれていないとはいえ、リンクが嫁入りの際に持参した数少ないものだ。本当に弁償しなくて良いのかと確認するリーバルに、リンクはゆるゆると首を振った。
「いい。必要になったら、また買えばいいから」
 リンクはわがままの一つも言うどころか、素っ気ないリーバルに文句も言わない。リーバルだって自分が良き夫であるとは思っていないが、リンクが何も言わず何を望んでいるのか伝えてこないと言うのもその一因であると思っていた。
……ならいいけど」
 しゃがみ込んでリーバルが汚した床を片付けるリンクのつむじを見つめながら呟く。
 その直後に探し物であったツバメの弓が見つかって、この話も有耶無耶になってしまった。