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ne🌟
2026-01-05 18:21:48
12058文字
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高諸
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高諸 何度でも、愛を囁く
完結しました!
怪我から目が覚めた高坂さんは3ヶ月分の記憶が無くなってた。そんなお話です。
尊ちゃん視点、高さん視点が、入り乱れてます。
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あの後、戻ってきた医者に医務室を追い出された私は、なんとか自分の足で部屋まで戻ってきた。
戸を閉めた途端、足が震え出して立ってられなくて、私はその場に座り込んでいた。
高坂さんが目を覚ました安心感と、記憶が無くなってしまった衝撃で、頭の中はごちゃごちゃだ。
これから、どうなるんだろう。
…
高坂さんの記憶は、戻るのだろうか。
「尊奈門、少しいいか?」
「こ、
…
小頭」
優しくて安心する声。振り返って見上げると、小頭が戸を開けてこちらを見下ろしていた。
「高坂と、話をしてきた」
少し疲れた小頭は、部屋に入ると単刀直入に話し始めた。やっぱり高坂さんはこの数カ月間の記憶がごっそりなくなっているらしい。
だけど、それ以外はしっかりしていて、小頭の質問にもちゃんと答えていたようだ。
「──だから今日の内に、部屋に戻らせることにした!」
「え?!」
にっこりと笑顔になった小頭に、思わず大きな声を出してしまった。
「もう、ですか?まだ安静にしたほうが良いんじゃ
…
」
「私もそうは思ったんだが、本人の希望だからなぁ
……
」
いくら高坂さんの希望でもダメだろう。身体が丈夫なあの人が、数日間も寝込んでいたんだから。
包帯が完全に取れるまで医務室で安静にすべきなのに。そう心配する私に、小頭は苦笑いを向けた。
「心配してたぞ、お前のこと」
「
……
え?」
「あいつの記憶が飛んでるのに気づいたのは、お前なんだろ?」
そう言えば途中から高坂さんとろくに会話もできないまま、部屋に戻されてきちゃったんだ。
…
でも、たったそれだけのことで、高坂さんは無理して部屋に帰ってくるだろうか?
「目が覚めた高坂と、話が噛み合わなくてびっくりしちゃったな。でも、あれだけ血を流して寝込んでたんだ。後遺症の一つくらいないと逆に怖いだろう」
高坂さんの真意が分からず考えていると、遠慮なしに頭をぐりぐりと撫でられた。豪快な手の温かさに、胸の奥で張りつめていた何かが緩んでいくのが分かった。
「同室のお前には苦労を掛けるだろうけどあいつの事、頼むな」
「っ、はい!」
そうだ。目を覚まさない可能性も、もっと酷い後遺症が残る可能性もあったんだ。
記憶なんて、なんかのはずみで戻るかもしれない。そう思い直して笑顔を作って小頭に返事を返した。
「心配かけたな」
「いえ!さっきは驚いちゃってすみませんでした」
小頭が部屋を出てから少しして、本当に高坂さんは部屋に帰って来た。
胴体は包帯でぐるぐる巻きにされている。顔色は悪いし、数日間寝ていて筋力も体力も落ちてるだろうに、誰の支えも無くしっかり歩いててむしろそっちに驚いた。
…
この人は一体どんな鍛え方をしてるんだろう。
「お身体の調子はどうですか?まだ痛むところとか、して欲しいことがあれば言って下さいね」
看病のイロハはしっかり身体に染みついている。
高坂さんに不自由なく部屋での療養をしてもらうぞと意気込む私に、身支度を整えた高坂さんは振り返った。
「腹が減った。尊奈門、食堂に行くぞ」
***
「
…
高坂、お前、よく食えるね」
「どういう意味だ」
「いや、だって目が覚めたの今朝でしょ?流動食の方が良くない?」
「それじゃぁ腹は満たせないだろう?」
「そうだけど、そうじゃないじゃん
…
」
高坂さんは寝ていた分を取り戻すように、ご飯をもりもりと食べている。今、5杯目のご飯を平らげたところだ。ペースを崩さず、きれいにご飯を食べる様子は、見ていてとっても気持ちが良い。
一緒の卓で食事していた五条さん、椎良さん、反屋さんはその様子を見て引いてるけど。
「尊奈門、飯を食い終わったら鍛錬場にいくぞ」
「はい!」
鍛錬場ではてっきり軽く柔軟をするのかなと思ったら、「身体が鈍った」と言って本格的なトレーニングをし始めた。
「
…
もうちょっと、安静にしてた方が良いんじゃないですか?」
「安静にして、強くなれるなら、そうする」
「休むことも鍛錬ですよ?」
「それは充分とった」
どうやらこの怪我は、高坂さんの闘争精神に火をつけてしまったらしい。そうは言っても怪我してるうちくらい大人しくしてくれればいいものの。
ほら、心配で様子を見に来た山本小頭が頭を抱えてる。違います。背中に乗ってるのは高坂さんにお願いされたからなので、そんな風に睨まないでください。
高坂さん落ち着いてるように見えて、やっぱり焦ってるのかな?食堂でも同期のお三方に忘れちゃった三ヶ月間のことも聞いてたし。
このタイミングで『実はこの夏、私と高坂さんはお付き合いを始めました!』とカミングアウトするのは、追い打ちでしかない気がする。
だから、この話をするのは一旦保留にした。高坂さんが落ち着いた時に言えばいいし、言うより前に記憶が戻るかもしれない。
そうなると、高坂さんをびっくりさせないように、”恋人じゃなかった頃の距離感”にならないとダメだ。
「う~~ん??」
……
あれ?高坂さんと付き合う前って、どんな感じだったっけ?
──とりあえず、高坂さん以外の人と同じように接すればいいてこと、だよな?
***
「
…
その布団で、寝るのか?」
「?
…
はい。私の布団なので」
布団を並べて敷いていたら、高坂さんが驚いたような声を上げた。どうして驚いているんだろう。別々に寝るのなんて、ただの同室なら当たり前のはずなのに。
「高坂さんどうかしましたか?ご飯を5杯おかわりできるようになっても、貴方が病み上がりなのは変わらないんで早く寝ましょう?」
「あ、あぁ
…
そうだな」
高坂さんが部屋にいるのに別々の布団で寝るなんて、変な気分だ。だってお付き合いを始めてから、一緒の布団に入りたいとお願いしたら、暑いって文句を言いながらも高坂さんは布団の中に招き入れてくれたから。
「
…
おやすみ」
「おやすみなさーい」
早く高坂さんの記憶が戻ってきますように。
心の中で意地悪な神様にお願いをしながら目を閉じた。寒い夜。一人で入る布団は相変わらず冷たくて、あの温もりを知ってしまったせいで、余計に布団の冷たさが沁みた。
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