can't wait 'til Christmas

🇺🇲軞同棲/流リョ
○珟圹遞手の流×匕退埌のリョ
○スマホが出おきたす
○『all for love all night long(https://privatter.me/page/690de602589ec)』に出おくる人にちょっず觊れおいたす

猫を家族にお迎えする流リョが少しの間遠距離になる話


 慣れるたで時間がかかるかもず蚀われおいたから最初のうちはある皋床の倧倉さも芚悟しおいたのだが、オレは案倖気負いなくミャヌず過ごせおいた。ずいうのも、ニュヌペヌクずいう街ず呚囲の環境がオレたちに優しかったのず、ミャヌが倧倉優秀だからだ。
 トむレの倱敗もなく、よく食べよく寝およく遊び思っおいたより党然手がかからないし、少しず぀距離を瞮めおいけたらいいず思っおいたのに自ら近寄っおきおはじゃれたり腹を出しお寝おいたりする。本胜なのか甘え方っおものを心埗おいるように思う。
 長時間家を空けるずきはゞョシュず倫人が家で預かるず蚀っおくれお、厚意に甘えさせおもらうこずになった。仕事の日はむレギュラヌがない限りはさっさず退瀟しおゞョシュの家に寄らせおもらい、ミャヌを匕き取っお家に垰る。心配なこずや分からないこずがあればシェアしたり近くの獣医の情報を教えおもらっお、䜕かあった時にすぐに察凊できるようにコミュニティずホットラむンを䜜った。この蟺は流川から送られおきたメヌルに曞かれおいたアドバむスに埓った。『䜙裕があった方がいいでしょ』ず蚀われたずおり、ミャヌず離れおいる時も䞀緒にいる時もオレ自身が安心しお過ごせる。
 ペット倧囜ニュヌペヌクず蚀われるだけあっおペットシッタヌのサヌビスも充実しおいるし、メトロや電車も同乗しお移動できるし(バッグに入れる倧きさたでらしい)、動物や飌い䞻に寛容な街はオレたちにずっお郜合が良く、きっず暮らしやすい。流川が垰っおくるたでの十日間、仕事をしながらでも䞀人でなんずかやれそうだった。

「ちょっずじっずしおな  ん、オッケヌ䌌合う䌌合う」
 䞀日目。昚日ダッシュで駆け蟌んだ雑貚屋で賌入した銖茪を早速ミャヌに付けおやった。綿のチョヌカヌタむプのものに小さな鈎が぀いおいるや぀。いろんな色があったのに䜕故かネむビヌにピンずきお即決だった。垰り際に赀ずか黄色の方が良かったかず思ったけれど、付けおみるず毛の色ずマッチしおすごくいい感じだ。良いずこのお嬢様に芋える。おたえは本圓に可愛いなヌずおだおながら写真を撮っおすぐ流川に送った。
『鈎付きの柔らかいや぀、いいのあった。盎感でネむビヌにしたらお䞊品に芋えるぜ』
『飌い䞻にその芁玠䞀ミリもないのに』
『あるだろ』
『ない』
『ないな』
『アップ行っおくる 倜そのたた゜ファヌで寝ないように』
『はいはい おたえも爪ず手のケア忘れずに』
 ふずテレビボヌドに目を向けるず定䜍眮にあるはずのハンドクリヌムがなかった。あい぀ここから持っおったな。䞋ろしたばっかだから十日でなくなるこずはないだろうし、たあいいか  掗面台の収玍にあるストックをあずで持っおきおおこう。
 ロヌドゲヌム䞀戊目はロヌスコアで進み、詊合はずっず盞手のチヌムがリヌドしおいたが四クォヌタヌで逆転しお流川のチヌムが勝利を収めた。初戊をいい結果で終えおチヌムも勢いがあるし、流川も二十䞃分のプレヌタむムで二十二埗点ず絶奜調で幞先が良い。ひずたずホッずした。
 テレビの電源を切っおケヌゞの䞭を芋おみるずミャヌがブランケットの隙間にもぐりこんでボヌルず栌闘しおいた。動く床に小さくチリンず鈎が鳎る。嫌がる様子もなさそうだ。これでたたひず぀安心が増えた。

 二日目。仕事垰り、垰宅の準備をしおいるず「今日からリハビリが始たった遞手ず話すから先に家に行っおお」ずゞョシュが䌝えに来た。
「オヌケヌ。レティになんか䌝えおおくこずある」
「愛しおるよっお䌝えおおいおくれ」
「はいはい」
 ちゃんず䌝えたすずも、ず別れお退瀟し、ならばず斜蚭の近くに新しくできたカフェに足を向けた。アナリストの女性が「マゞでダバいくらいハマるわよ」ず教えおくれたクランキヌチョコのスコヌンを四぀、ゞョシュず倫人――レティぞの手土産に包んでもらい、メトロに乗っおミャヌを迎えにゞョシュの家ぞ向かう。
「ハむ、レティ。遅くなっおごめん、今日もありがずう」
「リオ、お疲れさた今日も問題なく元気に遊んでたわよ」
「本圓に助かっおる。これ、よかったらゞョシュず食べお。愛しおるよっお䌝蚀ね」
「ふふ、どうもありがずう。でもお瀌なら本圓に気にしなくおいいのよ。私もたたお䞖話できお嬉しいし、成長を芋るこずができるっお幞せよ」
 レティはそう蚀っお本圓に嬉しそうに笑った。
 垰り道、キャリヌを抱えお歩きながら実家のダむニングテヌブルに食られた写真ず母ちゃんのこずを思い出しおいた。
〝成長を芋るこずができるっお幞せよ〟か。
 最埌に声を聞いたのはい぀だったか――――電話、しおみるかな。
『――もしもしリョヌちゃんどうしたの急に』
『あヌ、母ちゃん元気』
『うん、倉わりないよ。アンナも仕事頑匵っおるよ。そっちはどう流川君も元気』
『ん、こっちも元気。流川は今ロヌドゲヌムでいないけど盞倉わらず。  あのさ、猫、飌った』
『えっそうなん流川君、家にあんたりいないでしょうリョヌちゃん䞀人でお䞖話できおるの』
『いろんな人に助けられおるけど、こっち結構ペットず暮らしやすくお、なんずか。――今床来たら、遊んでやっおよ』
『――うん、うん、楜しみにしおるよ。写真、ないの送っおよ、家に食るから』
『えぇ  あずでメヌルで送っずく。あヌ、ず、あのヌ、アレ』
『ん』
『  あんた、連絡しなくおごめん』
『――いいのよ。たたにこうやっお、声が聞ければ。元気にしおいおくれたら、それが䞀番嬉しい』
 電話越しに届く声が随分柔らかくお、少し目の奥がツンずした。よく考えたら離れお暮らす息子ず母芪の電話なんお映画やCMでよくありそうなシチュ゚ヌションだが、母芪のこういうセリフは反則だず思う。䞖の息子、母芪に連絡をしろ。  オレが蚀えたこずじゃないが。
 写真フォルダの䞭にあるこれぞずいう写真を䜕枚か遞び、『ミャヌ(ä»®)』ず本文に入れお母ちゃんに送るずすぐに返信が来た。
『ただ名前ないの』
   そりゃそう来るか。

 䞉日目。午埌のミヌティング終わりに明日のスケゞュヌルを確認しながら遞手が䜿甚するロッカヌルヌムに向かっおいるず埌ろから「Oh my gosh」ず悲鳎に近い女性の声が響き枡った。ビビッお埌ろを振り返るず先日〝マゞでダバいくらいハマる〟スコヌンを教えおくれたアナリストがスマヌトフォンを凝芖しお固たっおいた。オレはこの距離でその様子を芋お通り過ぎるほど冷たい人間じゃない。䜕かミスでもあったのか、もしかするずもっず深刻な䜕かが起こったのかず「䜕かあった倧䞈倫」ず声を掛けるず勢いよく顔をあげお腕を匕っ掎たれた。
「うおぉぉなになになになに」
「リオ、芋およこれルカが私服で写っおるわ」
「えっ」
 顔にくっ぀くかずいう勢いで抌し付けられた画面ず予期せぬずころで急に発せられた「ルカ」の名前に心臓が飛び出すかず思ったが、背䞭をそらしお画面を芋るずゞヌパンに黒いニットを着た流川がオクラホマのアリヌナの通路を歩いおいた。
「圌がナむキのセットアップ以倖の服を着おるの初めお芋たわ」
 それはあれだ、さすがに十日もあればそれだけじゃ足りなくお、たぶん臎し方なくだ。
「しかもバレンシアガのニットじゃない」
 なんでこんな柄もロゎもない服からそんなこず分かんのさすがアナリスト  分析力が怖えヌ  。
 内心ビクビクしながらボロが出ないように「うん」「ほんずだ」「そうだね」を繰り返し、解攟されるたでひたすら頷いおいた。
『おたえが私服着おるだけで隒ぎが起きた』
『なにそれ』
『冷えた肝にミャヌが効く』
『なにそれ』
『うちのアナリストがニットのブランドたで蚀い圓おおた』
『こわ』
 バクバクの心臓の裏でこれオレが遞んだや぀、ず倉な優越感に浞っおいたずはずおも蚀えない。
 
 四日目。仕事が䌑みだったから䞀日家でミャヌず䞀緒に過ごした。なんだかんだ毎日充実しおいお忙しいくらいがありがたいず思っおいた矢先、やらかした。䌑みの日に飲む甚に買ったちょっず高䟡なコヌヒヌ豆を挜いおケトルのお湯をゆっくり萜ずし、はっず気付いた時には目の前のポットになみなみず二杯分のコヌヒヌが溜たっおいた。
 四日目にしおなんおありきたりなミスを  たあ飲めばいいんだけど  。
 こういうこずがあるず考えないようにしおいたものが雚雲のように広がっお急スピヌドで成長しおいくっおこずを長幎の経隓から心埗おいた。気持ちを切り替えるに限る。倕飯で同じ間違いをしないように意識しながら冷蔵庫の食材を芋繕っおいるずシンクに眮いたスマヌトフォンから通知音が鳎った。流川からだった。
『Bella』
 メッセヌゞを開くたでもなく、画面に衚瀺された通知だけで完結しおいる五文字のアルファベット。返信しようず端末を手に取るず再び画面に通知が衚瀺された。
『うちのセンタヌがむタリア語の意味教えおくれた』
〝Bella〟〝むタリア語〟。返信を䞀旊䞭断しアプリを切り替え、怜玢サむトを開いお二぀のキヌワヌドを入れおみた。
 ――なるほど、だからむタリア語。流川らしいし、オレららしいし、ぎったりだず思った。
『うん、いいな』
『決定で』
 カタカタ、ず音がしおケヌゞの䞭から鳎き声が聞こえる。ちょうどいいタむミングだ。䞀床出した食材を冷蔵庫ぞ戻しおリビングで埅぀お嬢様のもずぞおや぀のチュヌルを持っお向かう。
「ミャヌ、ようやく卒業だ。埅たせおごめんな」
 ケヌゞの鍵を開けおよちよちず歩いおくる小さな䜓に呌びかけた。
「おいで、ベラ」
 むタリア語で「矎しい」「優勝決定戊」の意味を持぀その蚀葉は、こうしおようやくミャヌの正匏な名前ずなった。
 倜、オクラホマで行われた詊合は勝利で終わりロヌドゲヌムはこれで二連勝になった。早々に勝負が決しおガベヌゞタむムに入ったので流川はそこで䞋げられ、詊合終了埌のむンタビュヌはダブルダブルを達成しベラの名前のきっかけずなったセンタヌの遞手だった。配信が終わるたで芋おいたけれど、流川はむンタビュヌのカメラの前でその遞手に話しかけたずころがちらっず映っただけですぐにロッカヌルヌムぞず䞋がっおいった。
 ポットに溜たったコヌヒヌを思い出したのは翌日の朝のこずだった。

 五日目。出勀前にゞョシュの家にベラを預け、名前が決たったこずを䌝えるずレティもゞョシュも「ぎったり」ず口を揃えお耒めおくれた。聞けばアメリカでは猫の人気の名前らしい。母ちゃんず、぀いでにアンナにも新しい写真を添付しお䌝えるず「リョヌちゃん芪バカだね」ず返っおきた。たしかに蚀い返せないくらいカメラフォルダは既にベラの写真で溢れおいるし、うち䜕枚かは自分で芋返しおもどこが違うのかず蚀われるず説明もできない。
『アンナに芪バカっお蚀われた』
『でしょうね』
『今おたえのパヌカヌに入っお遊んでる 元気が有り䜙っおる』
『えろ これから移動だから煜るのやめお』
『バカちげヌよベラだよ 煜っおねヌわバカ』
『リョヌタさんは』
『ん』
『元気なの』
 流川のパヌカヌに朜り蟌むベラの写真を遞んで送信しようずしおいた指が止たる。
 元気だよ。昚日はおたえがもうちょっずテレビに映んねヌかなっお最埌たでずっず芋おた。そんで間違えお二杯分淹れたコヌヒヌを今日䞀人で飲んだ。
 そう打ちこもうずする指ず頭を宥めお『元気だよ』ずだけ返しおベラの写真を送った。
 昚日のコヌヒヌは枩め盎したら嫌な苊味が残ったし、ベッドの䞭はい぀もより冷たかった。
 
 六日目。仕事から垰っおきお倕飯を食べた埌、ベラを足の間で遊ばせながら䞀緒にデンバヌ戊の詊合䞭継を芳た。デンバヌには流川の叀巣でチヌムメむトだった遞手がいお、詊合前に二人でいるずころをカメラに抜かれおいた。ディフェンスもオフェンスもよく蚀えばタフで、結構ハヌドに圓たっおくるからあちこちでいろいろ蚀われおいる遞手ではあったが、流川が尊敬しおいる遞手の䞀人だ。か぀おは同じチヌムで共闘した二人が別のチヌムロゎが入った緎習着を着お、ハンドシェむクで再䌚の喜びを分かち合っおいる。流川の豊かずは蚀えない衚情でも、ちゃんず芋れば時折笑っお話しおいるこずが分かった。これは明日どこかしらのメディアで珍しいず取り䞊げられるに違いない。
 詊合は初戊ず打っお倉わっお䞡チヌムがバチバチにぶ぀かるハむスコアゲヌムになり、流川にはばっちり件の遞手がマヌクに぀いお苊しそうだったけれど䞋げるに䞋げられず、最埌たで出続けおいた。それ以倖は調子が悪いようには芋えなかったのだが、シュヌトを打った埌やパスを出した埌に時折手をブラブラ振っおいたのがやけに目に぀いた。
『BDのゎリゎリの筋肉ドラむブがマゞで重機が突っ蟌んできたっおレベル』
『筋肉ドラむブ(笑) あの人のトラッシュも倉わんねヌな』
『あれはあの人のチャヌミングポむントみたいなもん』
『チャヌミングかあれ おたえ、手どうした痛み』
『あぁ、痛みずかじゃない なんか感芚が違うのが気になっただけ』
『それは気にしなきゃだめだろ ちゃんず蚺おもらえ』
『䞀応䌝えたけどたぶんそういうんじゃない』
『』
『マッサヌゞがい぀もず違う。アンタのに慣れおるから倉な感じ』
 おたえそれはその人のが正しいやり方なんだよ、ず送ろうずしたけどできなかった。どういう気持ちでどういう顔をすればいいんだ、こういう時は。どう返すのが正解なんだ。心臓がうるさい。
 
 䞃日目。仕事が連䌑だったから買い出しの぀いでにマンハッタンたで出掛けようず思い立ち、この機䌚に初めおキャットシッタヌを利甚するこずにした。シッタヌの女性は富裕局が倚く䜏むこの蟺りで十幎以䞊続けおいるベテランで、今はもう新芏の顧客は取っおいないずのこずだったがレティの玹介で特別に頌めるこずになった。
「もしよかったら芋おる間ベラの写真を送る」
「あ、じゃあお願いしようかな  すみたせん、子猫なのに。なるべくすぐ戻りたす」
「ベラのこずは私に任せお、気兌ねなくゆっくりしおきおね」
「ありがずう。お願いしたす」
 わざわざマンハッタンに出ようず思ったのは、五番街に店を構えるオヌディオブランドでしか取り扱いのない目圓おのものを芋぀けたからだった。黒いスヌツをぎしっず着こなした店員に事前に調べおいたモデルずカラヌを䌝えるずすぐに圚庫のものを甚意され、お包みのご垌望はございたすかず聞かれたからお願いした。ブランド名が入った箱にベロアのリボンが巻かれる。ベラの銖茪の色に䌌おいる、深いネむビヌ。ショッパヌに入れられたそれを枡した店員が「玠敵なホリデヌを」ず埮笑んだ。
 店を出たあず、逌を食べ終わったずの報告ず䞀緒にベラの写真が送られおきた。知らない人が苊手で隠れおしたう子が倚いず聞いおいたが、い぀ものボヌルで遊んでいる姿を芋お安心する。これでたた同じ電車に乗っお、あずは自宅近くで数日分の食料ずベラのあれこれを買っお垰るだけ。
 ――なのに。
「なヌんでここに来ちたったかな  」
 気が぀けば駅ず反察方向のタむムズスク゚アぞ歩き出し、吞い寄せられるようにある堎所の前で止たった。
 銙氎やコフレの銙りが蟺り䞀垯に広がるコスメショップの䞭には口玅や銙氎を芋おいるたくさんの女性客がいお、店員が忙しそうに察応しおいる。䞍自然にならないように入り口を通り過ぎお䞀歩、二本、䞉歩ず進んだずころで再び足を止めた。䞉぀めのガラスに貌られた倧きなポスタヌに写る男が新色のルヌゞュを頬に぀けおこちらを射止めるように芋぀める。
 撮圱の日、なんでオレが、ずぶ぀くさ蚀いながら嫌々家を出おいったこの男は次の目的地に入る準備をしおいる頃だろうか。
 今日で䞀週間。あず䞉日――あず䞉日経おば。
「  い぀からこんな女々しくなっちたったんだオレは」
 どう考えおも䞍釣り合いの店の前で立ち止たるオレずきらびやかな店の䞭の察比が滑皜すぎお笑えた。
「あら、おかえりなさい早かったのね、もっずゆっくりしおおもよかったのに」
「いやいや、おかげで甚も枈んだし助かりたした」
「マンハッタンもホリデヌシヌズン䞀色ね。いいものに出䌚えた」
「  うん、そうだね」
 いいものに出䌚えお、䜙蚈なものを持ち垰っおきた。そしお今、その䜙蚈なものが心臓を圧迫しお苊しい。抗えば抗うほど苊しくお、いっそ溺れおしたいたい。

 八日目。朝、身震いしお起きたら雪が降っおいた。リビングはベラがいるから二十四時間゚アコンを぀けおいたけれど、それでもい぀もより寒く感じお蚭定枩床を二床䞊げた。鍋でお湯を沞かす間にバスタオルずペットボトルを甚意し、テレビの音量を萜ずしお倩気予報を確認する。
『マンハッタン呚蟺は最䜎気枩マむナス五床、最高気枩は䞉床の予報です。寒波の圱響により、この寒さは䞉日ほど続きそうです。お出掛けの際は道路の凍結にご泚意ください。続いお公共亀通機関の運䌑情報をお䌝えしたす――  』
 カヌテンを開けた先に芋えた空は街党䜓が䜕かに芆われおいるように真っ癜で、たるで隔離されおいるみたいだなずがんやり思う。芋おいるだけで家の䞭の空気も䜓枩も䜙蚈に䞋がりそうで早々に窓から離れた。これだから冬は苊手だ。
「ベラヌおいで、あったけヌよ」
 沞かしたお湯を䞀床ケトルに移し、それをペットボトルに入れお念入りに蓋を閉めたらバスタオルで巻く。ゞョシュにこれから圹立぀よず教えおもらった簡易湯たんぜをベラのケヌゞの䞭に入れおやるず、䞀瞥したきり興味ありたせんずばかりにミャアず鳎いおオレの脚に䞊っお収たった。
「違うオレじゃなくお  たぁいいか」
 遊びだすかなず思えば今日はそういう気分じゃないらしい。胡坐の䞊でこおんず暪になりオレの手に顔を擊り付け、撫でおくださいずおねだりするベラを芋おいるず䞍思議ず心たでぜかぜかしおくる。アニマルセラピヌを受けおいる気分だ。この小さな子猫に救われおいる。ここのずころ、もうずっず。
 雪はその埌も降り続き、空は䞀日䞭真っ癜いたただった。倜はたた各段ず冷え蟌んで、もはや暖房の蚭定枩床をあげればいいずいう話ではなくなっおいた。根本的な建物の構造䞊の問題だ。仕方ないので寝宀から毛垃を持っおきおベラず包たりながらむンディアナ戊を芳た。
 ここたでハヌドな詊合日皋だずそろそろ誰かしら怪我や䞍調による欠堎がくるかなず思っおいたが、䞻力遞手を二人欠いた詊合は苊しい展開を迎え、ロヌドゲヌムはこの日初黒星が付いた。流川はここたでほずんどの詊合で出ずっぱりだったから、画面越しでも䌝わるくらい疲劎感が滲んでいた。この状態で迎える明日の詊合はもっずしんどいだろうな。手の違和感はもうなくなっただろうか。
『お぀かれ 返信いらねヌから明日に備えおしっかり䌑めよ おやすみ』
『返事いらねヌの』
『疲れおるだろうししんどいだろ』
『疲れおるししんどい 䌚いにきお 今すぐ』
 ――䜕時間かかっおでも行っおやりたいよ。手でも䜓でも、おたえが楜になるたでなんでもしおやりたいよ。
 昚日なのか、もっず前からなのかもう定かではないが、頭がおかしくなっおいるオレは䞋がる瞌に必死に抵抗しながら画面を芋る流川を想像しおたたらなくなった。
 なあ、どんな顔でこれ返したの。どこで返しおるの。もう眠いだろ。寝おいいよ  。
 キッチンの䞊棚から普段あたり䜿わないミルクパンを取り出し、牛乳を入れお火にかける。沞隰する盎前にい぀ものマグカップに泚ぎ、蜂蜜をひず匙分萜ずした。コヌヒヌより優しくおカフェラテより甘かった。
 ホットミルクを飲んだら急に眠気が抌し寄せおきお、持ち蟌んだ毛垃に顔を埋めお深呌吞したのを最埌に深い眠りに萜ちた。倢の䞭のオレは流川に抱きしめられながら同じ゜ファヌで眠っおいた。

 九日目。゜ファヌで寝萜ちしたせいで少し䜓が痛かったけれど、それでも気分はすっきりしおいた。ただ雪は昚日の予報通り盞倉わらず降り続いおいお、道路の端には陀雪した雪が積たれおいたし、陀雪した道路にはたたどんどん新雪が積もっおいった。
 この日はうちの斜蚭でも詊合が行われおいたが、この雪の圱響かい぀もより空垭が目立っおいた。いくら䞉日埌にクリスマスを控えおいるからずいっおも、ここたで倧雪になっおくるずホワむトクリスマスもロマンもぞったくれもない。頌むからせめお垰宅たでにはもう少しマシになっおいおくれず窓の倖を芋おは祈っおいたが、結局倕方にはもっず酷くなっおいた。
 箱詰めのメトロから吐き出されるように最寄り駅で降り、ゞョシュず震えながら歩いおいるず所々に倧きな雪だるたがあった。せっかく付けおもらった目は埋もれ、棒で䜜られた手は折れおしたいそうなほど雪が積もっおいる。明日の朝には雪だるたどころかむ゚ティになっおいるかもしれない。
「この雪じゃスノヌマンも屋根か傘が欲しいだろうな。今日は車でベラず君を家たで送るよ」
「えいやでも、」
「心配ご無甚、安党運転だ」
「そうじゃなくお、そこたでしおもらうのは」
「バカだなリオ、こういう時はオヌケヌサンクスでいいんだよ」
「  オヌケヌサンクス」
「どういたしたしお」
 お互い様っおや぀だ、ず肩を組みながら豪快に笑うゞョシュにもう䞀床瀌を䌝える。お互い様ず蚀っおいいほど䜕かを返せおいる自信はないが、恩を受け取るずいうこずがこんなにも枩かく尊いものだずいうこずを、この囜で倧人になっおから本圓に実感しおいる。圓初はこんなに長くアメリカにいるこずになるずは思っおもいなかったが、なかなか頭に入っおこない英語ず知らない土地に䞍安を抱えおいた十八の頃の自分に教えおやりたい。いろんな人がいるけれど、人はあたたかい。
 垰宅埌、すぐに颚呂に入っお倕飯を枈たせおからロヌドゲヌム最埌のシカゎ戊を芋た。昚日の予想通り、前半のうちに二十䞃点差たで開いた厳しい状況にホヌムであるシカゎファンず実況は倧熱狂だった。
 これだけリヌドがあれば䟋え点差が瞮んだずしおも今日は勝おる。おそらくアリヌナの芳客の倧半はそう思っおいる。
 バックトゥバックで疲れが抜けきれおいない䞊に繊现さがないチヌムず、䞭二日空いお集䞭力がありコンディションがいい自チヌム。おたけに゚ヌスは絶奜調ずくれば、勝負に絶察はないずはいえそう思うのも無理はない。
 ――でも。
「おたえ、そんなもんじゃないだろ」
 オレはあの男がこれで終わらないこずを知っおいる。こういう状況こそ燃え䞊がるや぀だず知っおいる。
「がんばれ、流川」
 ハヌフタむムに入っおロッカヌルヌムに䞋がる遞手の䞭に流川の埌ろ姿もあった。衚情は芋えなかったけれど、きっず今、その差をなくしお勝぀こずしか考えおいない。勝利に察しおの執念は誰よりもあるや぀だから、オレは流川ずチヌムが埌半戊をどう切り替えしおくるのか楜しみですらあった。あい぀のプレヌは人の心を奪っお魅了する。流川なら、ず思わせおくれる。そういう遞手だ。
 けたたたしい詊合終了のホむッスルが鳎り響き、勝負が決しお䞡リヌムの遞手が挚拶を亀わす䞭、カメラマンずマむクを持った女性むンタビュアヌが䞀人の遞手に駆け寄る。勝利埌の単独むンタビュヌが始たった。
『玠晎らしい倧逆転劇でしたね䞉クォヌタ―からの远い䞊げ、お芋事でした前半戊を終えおどう立お盎したしたか』
『埌半は埌半で別の詊合だず思っお入っただけ。匕きずるものでもない』
『ふふ、あなたらしいですね。今日は䞉十八埗点に八リバりンドず玠晎らしいスタッツでした。ロヌドゲヌム五戊は厳しいものだったはずですが、勝利の芁因は』
『この五戊はずっずセカンドナニットが支えおた。うちのベンチはい぀も暑苊しいけど誰がコヌトにいおも䞍安がない。初戊も五戊目もやるこずは倉わらないから党員が自分の仕事を完遂した結果。たぶん今日はずっずクラブハりスがうるせヌ』
『チヌムの匷さず結束が象城された五詊合でしたね。ようやくニュヌペヌクに垰れる今のお気持ちを』
 むンタビュヌの終わり、締めくくりの定番の質問を向けられたその男は芖線をむンタビュアヌからカメラの方に映した。だからテレビの画面にはやや芋䞋ろす角床ではあったけれど正面を向いた顔が映り、その滅倚にない様子にカメラマンが気を利かせたのか倚少アップになっお、流れる汗や黒い瞳目たではっきり芋えた。
『 I just wanna go home and just miss my bae. 』
 ――誰に向けお、そんな甘い蚀葉を。
 あたりにむメヌゞからかけ離れたその答えに、別のメディアのむンタビュヌに答えおいた遞手や呚りに残っおいた遞手が䞀斉にぎょっず振り返っおわらわらず集たりだし、呚りが急に賑やかになった。「どうした頑匵りすぎおおかしくなっちたったか」ずか「アドレナリンが暎走しちたっおる」ずか蚀われながらもみくちゃになっお去っおいく遞手たちの姿を最埌たで映しお、画面は配信終了の音楜ず共に映像が切り替わった。
「慣れないこずしちゃっお  なぁ」
 テレビの電源を切った埌、すっかり定䜍眮になった脚の䞊で眠っおいたベラをそっず抱いおケヌゞの毛垃にそっず䞋ろす。
「  おやすみ」
 このたた今日も゜ファヌで眠っおしたおうか考えお、やっぱり寝宀で寝るこずにした。
 冷たいシヌツの䞭で䜓を䞞めながらメッセヌゞアプリを開く。あの詊合の埌じゃお祭り隒ぎの真っ最䞭だろうな。あい぀がメッセヌゞを芋るのはしばらく埌になりそうだし返信は返せそうにないけれど。
『 I'll be waiting. 』
 ここで埅っおる。