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水井白羽
2025-11-15 22:38:39
46693文字
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竜人カルロの苦心
2025/03/05から2025/07/21まで深夜に投げていた文章の全文
見切り発車すぎて収拾がつかなくなったので仕切り直したいところ。
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6
カルロの算段というのは、奴らが使う銃火器が「実は重大な故障がある」としてそんなに違和感なく銃を回収するということだ。それからカルロと騎士、街の力自慢たちがボコボコにする。色々不安はあるがやるしかない。
それから、変装したカルロは破座のアジトに入り込む。あの敵国のあれこれは、多少誤魔化すことができるくらいには心得てる。敵国の真似事をしつつ、カルロは上手い具合に武器庫の中に入っていった。やっぱり、銃火器の類もたくさん仕舞い込まれてる。
「最新式のはずなんだけどなぁ
……
」
カルロを案内した破座の手下がぼやく。
「最新式だからこそ、初期不良とかあるんだよ」
カルロはそれっぽいことを言う。案外上手くいきそう、彼はその時は思った。
「本当さァ
……
エウノヴァの基地に一番近ェ場所だって言うのにさ、武器の調子悪いってツイてねぇーよォ」
「
……
?!」
ここでカルロの国の名前が出てくる。襲撃された後に作った新しい拠点なのか?カルロは思わず眉間に皺寄せる。
「ん?どうした?」
「ああ。本当に困るよ、こんな土壇場で不良だなんてさ」
それからカルロは銃火器の類を全部トラックにぶち込み、そそくさとかっ飛ばそうとした。
「おい待てェ、そっちは本部じゃねえ」
トラックの前で破座が目の前に立ちはだかったのだ!!!
やっぱりこういうのは上手くいかないのかなぁ、とカルロは肩をすくめた。だが、その足はアクセルベタ踏みのままだ。それに破座はよりによってトラックの真正面。
「うわ、止まりやがれーーーっ!!!」
そんなのカルロの知ったことではない。手間が省けて助かる、そんなくらいだ。
ある程度ひとっ走りした後、カルロがトラックから降りると、破座がボコボコの状態で荷台につかんでいるのが見えた。自慢の爪だけはなんとか守ったのか不釣り合いなくらいにピカピカだ。
「うーん、随分しぶといね」
「うるせえ!!よくもこのオレを轢いたな!」
破座はカンカンになってカルロに襲いかかった!!カルロはそれを避けると、変装に使ってたものがぶっ飛び、顔が顕になる。その顔を見て破座はニヤリ。
「ほぉーん、扉竜のカルロがこんなとこにいたとはな。
……
え?」
破座は突然目を点にしたものなので、カルロも目が点になった。
「『え?』って
……
?何?」
ボロボロの破座は首を傾げた。
「まさかの奴らをお前がここに送ったのか?!」
確かにカルロは自国民をこの世界に送ってたのは間違ってはない、間違ってはないが、何か違和感。この破座が頭に浮かんでるのが多分カルロとは違う気がした。が、
「隙ありっ!」
破座は今がチャンスかも、とカルロに鋭い爪を突き立てる!カルロは反射的に下にしゃがむと、なんと破座の爪は壁にグッサリ刺さってしまった。
「うおおお、抜けねえーーー!!」
一方、アジトの前に隠れていた騎士はここぞと合図を出し、街の力自慢たちにアジトの突撃を指示した。武器もなきゃあっという間にボコボコにされる手下たち。
「頭領いないが
……
」
騎士がぶん縛った手下出しの顔をキョロキョロ見渡すが、そこに破座はいない。
「武器はねえし、原住民にボコられるし散々だよ、ここの何処がフロンティアなんだよ、チクショウ!!!」
「くそ!初めっから胡散臭いと思ってたんだよな、リディーヌとかいう奴!!!」
「え?」
騎士は眉間に皺を寄せ、手下の1人の胸ぐらを掴んだ。この場が一瞬で静まり返る。
「聖女様が何だというのだ?!」
「何
……
って
……
俺らにはようわからんが、そのリディーヌって奴が世界各国のお偉いさんだかに、世界がフロンティアだとつったんだ」
「はあ???」
「だのによぉ、先客はいるしボコられるし、最悪で散々だ」
「最悪で散々なのはこっちのセリフだッ!!お前らみたいなのが来たせいで、略奪されるわ仲間は死ぬわで、人々が迷惑被ってるんだぞ!!」
騎士は手下を乱暴に放り込んだ。そしてこう言い放つ。
「それに、偽りの聖女様の名を騙る輩めが!!いずれ女神様から罰が下されるだろう!!!」
たまたま力自慢たちの援護に回っていた尼僧は騎士の姿に「やっぱ怖」と溢した。
それから破座をぐるぐる、包帯ではなく縄で巻きつけられたミイラにしたカルロが戻ってきた。
「ボコって来た──あれ?」
やけに静かな周辺。
「何があったの?」
「何
……
ってこいつら、聖女様の名を騙ってきたのさ。偽物の聖女に騙され、この街を乗っ取るあの様な蛮行に走ったってわけだ」
聖女、もしかしなくてもリディーヌのことだ。偽物のリディーヌがいるのかは、カルロにはまだはっきりと断言しかねていたが、やはりこの事態はリディーヌが一枚噛んでるらしい。
それから後始末とか色々やった後、破座とその手下たちはぐるぐる木に縛り付けられた。
「こうすればいずれ、執行人たちに引き取られて処罰が決まるだろう」
窓辺から縛り付けられた男どもを見つめる騎士。
カルロは一旦騎士に聞く事にした。
「偽りの聖女がどうのこうの言ってたけども
……
あいつら、何で言ってたの?」
「ああ
……
──」
──騎士が言っていたことをカルロなりに噛み砕くと、どうやらリディーヌ(?)は破座たち黎烏國だけでなく、他の地球上の国々の首相らにこの世界には資源が多くあるだの何だの言って、呼び込んだらしいという。ただこの世界には少なくとも既にカルロたちエウノヴァが来ていた。
破座がちょっとキョトンとしてたのも腑に落ちる。彼は恐らく、同じくリディーヌ(?)に導かれたのだと思っていたようだが、空間を扉で繋げられるカルロがいたことから、なんか違和感を抱いたのかもしれない。
また時間が経ち。カルロが1人、宿の一室でぼんやり宙を仰いでると、学者が入ってきた。
「カルロ殿」
学者はキョロキョロと他に誰かいないことを確認して、カルロの方へ歩み寄る。
「今、あそこで野晒しになっている奴らのこと
……
ちょっと気になることがあって、カルロ殿に聞きたいのですが」
「エウノヴァってカルロ殿の国で間違ってないですよね?」
「ああ
……
?」
「
……
あのですね、昨日の夜
……
たまたま奴らの会話をキャッチしてしまって
……
何やら北東にエウノヴァの基地があって、どうやって制圧しようか、だのなんだの相談してたようです」
カルロは目を見開く。あの時偵察行ってた時に聞こえた手下の呟きと重なる。
「丁度ツェントの丘と同じ方角だね
……
」
憂のある学者の顔。
「
……
どうしたの?」
「あの騎士達に『ツェントの丘で何かあったかもしれない』と嘘をついたはずなのですが、いやはや、まさか、嘘から出た実、だったら嫌だなぁ
……
って」
嘘から出た実、か。学者とは対照的にカルロはニヤリと笑う。とりあえずなんか手がかりでもと、藁をも掴む気持ちでデルテナの書に従ってみたものだが、どうやら自国の拠点も同じ方向にあるらしい。
その翌朝、破座のその手下の姿は消え、彼らが縛り付けられた場所には赤黒い汚れだけが残っていた。
尼僧が身震いする横で、騎士がもう出発の準備をしていた。
「急いでツェントの丘へ向かわなきゃ行けないんだ」
人々は破座達を倒したカルロ達に感謝のために宴でもやろうか、と持ちかけられたがそんな時間はないと騎士は断った。宿屋の主人は少し残念そうな顔をしたが、彼は代わりに食料とか色々渡したのだった。だが、突然
「ツェントの丘がなんだって?!」
響く声、その場にいた皆が声の方向へ顔を向けると、そこに1人の姿があった。騎士が説明する。
「ああ、彼は昨日の夜に赴きなさった執行者の1人だ。ツェントの丘に何かあったらってカルロさん言ってただろう?だから、この方にも色々話を伺ったんだ」
「あ」
まさかの執行者の登場に、ここでこの旅は終わってしまうのか?!、そう覚悟した、カルロと学者、尼僧の3人。冷や汗が止まらない。
「初めまして。みなさん。ラテブラ教会から来ました、執行者見習いのストリン・モツィレーツでございます」
「見習い
……
」
カルロはポツリとこぼす。いるんだ、あの執行者達に見習いが。そう感心してる場合じゃないと、執行者見習いを恐る恐る目をやる。
「ええ
……
騎士である、みずお・ずず・み空から話は聞きました。本来なら見習いのワタクシではなく、もっと格上達に任せたかったのですが、生憎、今、手が空いていないのです」
「ここ最近、異邦者達がでかいトカゲを引き連れてあちこちで略奪を繰り返して、多くの執行者達が出ずっぱりなんだと」
騎士がそう補足する。地球人達によって、あの廃墟やタミンの街みたいなことがあちこちで起きているということであるが、一体全体、なんでそんな蛮行に至れるのだろうか、カルロは頭が痛くなってきた。
「でかいトカゲじゃなくて竜
……
」
カルロと執行者見習いは口を揃えた。
「ところで
……
あなた方は
……
」
執行者見習いは、カルロ、学者、尼僧の顔をジロジロ。3人はギョッとして心臓が跳ね上がる。
「確か右から
……
罪人を逃した異邦人、教会に楯突く異端者、忌まわしきデルテナ教徒
……
?」
騎士は口をポカン。寝耳に洪水、藪からでけえ棒、青天のクソデカ霹靂。
「ってよぉ〜く間違われるんですよ〜ね。この人(学者)は双子のそっくりさんで、この人(尼僧)はデルテナ教に潜入捜査してた調査官なんですよ〜。で、僕は
……
」
いざ、そう嘘をついてみたものの、そう言えばカルロは自分のことをなんて偽ろうか考えてなかった。すると、横で尼僧がこう叫んだ。
「こ、この人は旅の料理人ッ!!!」
カルロは自信満々な尼僧の顔を見た。その顔には「なんで?!」で埋め尽くされている。旅の者と言ったのは間違いないが、料理の概念が消え飛んでる地球人:カルロは料理したことがない。なんで僕がリョウリニン
……
?
「ああ、そうなんです?」
「そうなんだ」
あっさり納得する執行者見習いと騎士。困惑だらけのカルロとは対照的だ。執行者見習いがまだ見習いだったのと、騎士が教会に対して信心深かったのに助けられたのだろう。
「リョウリニン
……
」
カルロはまたポツリ呟く。
気を取り直し、執行者見習いは話を続ける。
「それは突然のことでした。聖地の一つであるツェントの丘が異邦者どもに乗っ取られたのです。奴らはエウノヴァ軍だと名乗ってましたが
……
」
本当に、目的地であるツェントの丘がえらいことになっていたらしい。よりによってカルロの国によってだ。正に嘘から出た実。
「ワタクシ達執行者達も奴らに対抗したものの、まぁ、太刀打ち出来なかったのです。特に無駄に髪が長い奴の光線で容易く焼き払われちゃあどうしようもない。まるで人型兵器です」
騎士がめちゃくちゃ驚いてる。
「嘘でしょ
……
」
「あなた方があの丘に向かうと聞いたのですが、一体全体何をしに?今あそこは近付くのはいくら何でも危険すぎます」
デスヨネーとカルロ。騎士1人、多分ギリギリ一般人3人、普通やべー力を持つ奴らに占領された場所に突っ込むのは飛んで火に入る夏の虫でも引く。だが、ここでツェントの丘への旅(そしてそこにいる政府関係者らに追及)を断念するわけにはいかない。カルロは持てるものをどうにか駆使しようと、頭の中で一瞬ぐるぐる掻き回す。
しかし、執行者見習いは意外なことを口にした。
「
……
しかし、ボスからあなた方をツェントの丘へ案内しろ、と命令されたのです。まあ、意図はさっぱりですけど、上の指示は絶対ですからね」
どうやらツェントの丘へは行けそうだ。行けそうだけど、少なくともカルロ達を罪人だとしてる執行者達がそういうのだから、何か裏があるのかもしれない。カルロはまだ顔を顰めたままだった。
それから一行は馬車に揺られながら目的にであるツェントの丘へ向かう。その夜、妙に静かな夜だった。他の皆はすっかり眠り、起きているのはカルロと執行者見習いだけ。
カルロが物思いにふけていると、そこに執行者見習いが隣に座る。
「しっかし
……
君たちも大変そうだね、一応パンピーの僕らを今えらいことになってる聖地に案内しろって言われてさ」
「罪人がパンピーな訳ないでしょう。バレバレな嘘ついてさ
……
ワタクシたち執行者を舐めないでくださいよ、戸籍を調べたり、ガチのデルテナ教徒を識別したりすることなんて容易いんですよ?」
ギョッとするカルロの横で、執行者見習いは溜息を吐く。
「
……
とはいえワタクシも嘘ついてはいるんですけどね、あの聖地に案内する命令云々アレはワタクシの独断です」
「独断
……
?」
一瞬の沈黙。執行者見習いは続ける。
「ええ
……
少し前にあの地に偵察したところ、どうやら奴らはあなたの力と同じようなことをしてるのがわかりましてね」
「良くそこまで分かったもんだ、僕の力とか」
執行者見習いは皮肉な笑顔をカルロに向けた。
「あなたが罪人を脱獄させまくったおかげです」
「はは、参ったなぁ
……
」
我ながら、あの時、必死になって神罰対象者を助ける過程がガバガバすぎたことに、カルロは自嘲した。
「
……
でも僕と同じ力、か。一体誰が僕と同じ扉の力を?」
「まあ、乳飲み子らしいですよ、奴らの話を聞くに」
はぁ?とカルロ。赤ん坊が扉の力を使っている
……
いや、使わされてるということになる。俄かに信じがたい。
「──話を戻しますがそこでワタクシは、あなたをあの丘へ連れて、あなたの力で、奴らを元の世界へ追い返すのです。もちろん、例の乳飲み子たちは始末した上で
……
」
執行者見習いは末恐ろしいことを口にするが、それよりもっとデカイ問題がカルロにはある。
「えっと
……
赤ん坊を
……
始末するのも凄くアレだけども
……
今僕はマトモに扉の力が使えないんだ」
また沈黙。
「
……
とはいえ、僕は丘にいる
……
あいつらと話がしたいんだ」
カルロは執行者見習いに、自分たちは元々避難先を探しにこの世界にたどり着いたことを話した。自分は避難先でこの世界の人々と上手くやれるように苦心したが、どうにも政府は他に目的があるらしいと。
カルロは避難・移住のつもりだが、政府は資源目的のつもりかもしれないと問いただす、それが今カルロにできそうなことであった。
ただ、自分たち地球人が女神正教の処刑の矛先に向けられるのが怖かったこともカルロが伝えると、執行者見習いは苦々しい顔になった。
「
……
だからって女神様の思し召しに刃向かうことはないだろうに
……
」
カルロには他にも色々言いたいこともあったが、それ以上は多分大変なことになる気がしたのでやめたのだった。
翌朝、また馬車は目的のツェントの丘へ進んでいく。
自分の目論見がグダって凹む執行者見習いも相まって、なんとも微妙な空気が辺りを支配する。
だがそれ以上に彼らを萎えさせたのは、ほったらかしにされた死体がチラホラみられることだった。多分
……
騎士とか傭兵とか兵士とかの類だ。
「これは酷い」
彼らも異変に気がついてあの丘に向かったのか、元々住んでたのが襲われたのかは分からないが、その数は目的地へ近付くごとに増えていく。
そろそろツェント丘が見えてきた頃、あの拠点と同じ様な構造の建物も見えてきた。カルロの国別拠点、といったところだ。
「あれってカルロ殿たちの建物と同じ
……
」
学者は目を凝らして確認する。
「そろそろこの旅路も終わりかな
……
」
尼僧は呟く。本当に終わりであって欲しいと心の中で祈るカルロは、真剣な眼差しで例の建物を見つめた。
もちろん門の前には見張りがいるので、騎士は念のため馬車を見えない場所に止め、カルロたちは物陰に隠れながら建物に近付いてみた。なるほど、銃を構えた兵士が壁になってウジョウジョいてダメだ。
「裏道から入りましょう、ワタクシ、前にそこを通ったので行けるはずです」
執行者見習いの提案。
「ちょっと待ってくださいよ、この建物がカルロ殿の国ものであれば、カルロ殿なら入れてくれるんじゃないんですか?一応、小生とカルロ殿は彼らにとっては不審者じゃないはず」
確かに、尼僧はともかくカルロと学者は政府や拠点の作業員にも知られてるはず。正面突破したほうがまだ穏便だ。
「それはそうか。それならなんであの時僕をほっぽいたのかは謎だけど、まあ、やるだけやってみよう」
と、カルロは学者と共にさっさと門の前に向かったのだった。
心配そうに見つめる残りの尼僧、騎士、執行者見習い。
「カルロだ、入れて欲しい」
カルロは見張りの前に立つ。すると見張りたちはびっくらたまげて銃を構えてきたのだった。
「うわ、幽霊?!」「落ち着け、幽霊な訳ねえだろ」「お前死んだはずじゃ」「いや竜人なんて簡単に死なねえよ」「うわあ」「いや落ち着けってお前ら」「落ち着け落ち着け」「お前が一番落ち着け」
「あの、僕が何をしたって言うんだ?」
カルロにはわからない。兵士らは一体何故自分に銃を向けるのか。何故幽霊扱いになったのか。
「
……
何って、上の指示だ」
「その『上』と話がしたいんだよ」
兵士たちが困り果ててお互いの顔を見合わせ、ゴチャゴチャ言い合う。
「何やらうるさいな──!?」
すると、門から1人の人物が兵士の大群を割ってカルロと学者の前に現れた。──地面にまでつきそうなくらいに長い薄緑色の毛髪、それはなんとオーギュストであった!彼はカルロの顔を見るや否や、まるで幽霊に出会したかのように黒と灰の目を見開いた。
「ちょっ、カルロ、お前生きてたのか?!」
「生きてたよ、お陰様で」
皮肉っぽく言い捨てるカルロ。
「全く酷いな、人を化けた何かみたいな反応するなんて。一体全体、政府は何考えてんの?こんなところで!?」
カルロに胸ぐらを掴まれたオーギュストは深くため息を吐く。
「──悪かった悪かったって。おれにキレたって仕方がないだろ?文句なら奥にいる大統領に言ってくれよな。尤もあいつからお前を始末しろと言われたが」
「!!!!」
するとオーギュストから不思議な紋様──魔法陣が浮かび上がった瞬間、太い光線がカルロと学者を貫く!!!
一方、執行者見習いと騎士、尼僧らは居ても立ってもいられず、執行者見習いが知る裏道、隠し通路を通ることにした。やはり狭くて暗い。
彼らは外でカルロと学者がえらいことになってるのに気がついてない。
「突貫で作られたと見え、セキュリティはガバガバなんですよね」
「
…………
????」
執行者見習いの呟きに、ハテナだらけの騎士と尼僧。今、彼らは天井裏の空間をこっそり通ってる。すると、真下からなんか怒号が聞こえる。
「だー!かー!!らー!!!!ここはおれに先陣を切らせろっ!!!!!黎烏國の奴らもいるんだよ?!!!!!!!」
凄いデカい声。
「何よあいつ」
尼僧は床の隙間から下を覗くと、1人の男性が会議に参加してる人々を恐喝していた。彼が机をドンドン叩くごとに、手から白い火の粉が散る。
「や、やめんか、火事になる!」
「落ち着きなさい、フラムベルト。オーギュストが我々の主戦力なのは揺るぎない事実なのよ?八つ当たりすることないでしょうに」
「うるせえ!!これから『強い竜人が支配するべき』なんだろ?おれが好き勝手やろうがいいだろ?!弱い人間の分際でっ!!!」
ははあ、あいつが騎士の仲間を灰にしたフラムベルトとかいう奴か、と尼僧。だが。
「ツヨイリュウジンガシハイスルベキ??????」
下で会議してる奴らの考えが尼僧も騎士も分かんなかった。
「
……
あいつらもあいつらで、各々の思惑でこんがらがってるようですね」
執行者見習いは呟く。
下では各々の主張がわけわからんことになり、響くのはフラムベルトの怒号と机を叩く音。天井裏でも振動が伝わり、揺れる揺れる。どこかでミシミシ、音もする。なるほど、確かに突貫で作られただけある。
「これ、底が抜けちゃうんじゃ──」
尼僧がそう言いかけた瞬間、天井裏がバリっと穴が開き、そのまま尼僧と騎士は下の会議室のテーブルの下に落ちてしまった!!執行者見習いだけは軽々と別の場所に移り、落ちることはなかったものの、もはやどうでも良い。
「な、なんだ?!お前ら?!!!」「見りゃわかるだろ、侵入者ッ!!」
会議室は大騒ぎ、鳴り止まないサイレン。
「あーーーーっ!!!!!!!!お前はあの時の死に損ない!!!!!!」
フラムベルトは騎士を指差す。
「よく覚えてたな」
その声は、騎士の仲間を殺された怒りが乗せられていた。
「そりゃあな!おれはどっかのオーギュストと違って、仕留め損ねた相手の顔はよぉーっく覚えるタチだからな!──だが、今日がお前の命日だっ!!!!!!」
フラムベルトは大きく息を吸い始めた。すると会議に参加してたより立場のありそうな雰囲気の女性が彼の前に立ち上がり、彼を制止しようと試みる。
「やめなさい!」
「邪魔だっ!!!!」
だが、フラムベルトが指を鳴らすと女性はなんとその場で白い炎に包まれ、一瞬灰になってしまった!!!
「ギャーーーーッ!!!」
尼僧は目の前の惨状に叫んだ。人が、あっさり燃やされた。
「な、何この沸点劇低男っ?!!女神正教の奴ら並みじゃん!!」
「ん?」
一瞬、騎士は尼僧に顔を向けた。だが、気を取り直して彼はフラムベルトを睨む。
「なるほど、お前はそうして仲間をケシズミにしたのかっ!!」
「まあな。黎烏國の奴らの縄張りぶんどる時、勝手に突っ込んできたお前らごと燃やしてやったのさ」
「勝手にだと?!」
もはや一触即発、騎士は臨戦態勢。フラムベルトは鼻を鳴らし、こちらへ指差した瞬間に指先から白い炎が発射された。
「危ないじゃん!!」
本を広げる尼僧。その瞬間、騎士の前にバリアが張られ、炎を防ぐ。そしてバリアは炎の熱に耐え切れずバリンと割れたが、そこに騎士の姿はなかった。
いても立ってもいられなくなった、執行者見習いもこの会議室に着地し、
「い、一旦その場から離れましょう!!」
と尼僧と騎士をむんずと掴むと、急いで会議室のドアを思いっきり蹴破って、その場から離れた。
誰いなくなった部屋、1人取り残されたフラムベルトだが、何もしないわけなく追いかけ始める。
「待て!!!!」
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