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も茶
2025-11-09 21:17:48
13067文字
Public
父水
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21gの変様
水木が過去にタイムリープし、ゲゲ郎の代わりに依代になるメリバをハピエンにした話
父←水からの父→水、夫婦と父水が同軸
※死ネタ
※水木の異形化
※捏造の閻魔大王と童歌のようなものあり
※拙い挿絵あり
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「うわぁあんわぁあん!」
「嗚呼
……
御前や、よく頑張ってくれたのう」
水木という相棒を失ってから散々泣き腫らし、しかし立ち止まる事も出来ず水木が残した唯一の物とも言えるスーツを形見として持ち帰り丁重に保管した。
その後、ゲゲゲの森に妖怪の仲間に手伝ってもらい、生き別れる前に妻と過ごしていた家を再現し住むことにした。庭などの細かい所は再現出来なかったがそれでも十分だった。そこで過ごす内に弱っていた妻も回復し出産へと漕ぎ着け、元気な男の子を産んだ。
「あなたと、水木さんのお陰よ」
水木の名前を出せばゲゲ郎は丸い目を更に丸く見開いて泣きそうに細めて笑った。
「そうじゃのう、この子は水木が残した宝じゃ」
「ええ、そうね。大事に大事に育てましょう」
死んだ者はどうする事も出来ないと地獄にも通ずるゲゲ郎は知っている。それに今は家族を支える事が最善だと思った。そうする事が水木への何よりの弔いだと思ったのだ。
「ねぇあなた」
「どうした御前」
数年の歳月が経った。鬼太郎と名付けた子はすくすくと育ちゲゲゲの森を駆け回っている。夫婦はそれを微笑ましく眺める日々を送っていた。
そんな中、神妙な面持ちで妻がゲゲ郎に声を掛けた。
「水木さんの事、諦めきれてないんじゃないの?」
「!」
その言葉にビクリと肩を揺らした。図星だった。
水木の事はふとした拍子に思い出していた。墓場に行った時、満月が空に浮かぶ時、天狗に会った時でさえ脳裏を過ぎった。時にぼうっとする様子を見せた夫に妻はそう思ったのだ。
「
……
儂は諦めが悪い。哀悼だけを持てば良いというのに再び逢いたいと、この手の届く場所にずっと居て欲しいと思うておる。しかしそれは出来ぬ。水木はもう
……
」
「
……
そうね。でも、確かめる事は出来るんじゃないかしら」
「確かめる?」
「閻魔様に頼めば水木さんがどこに居るか解るでしょう?」
「それは
……
」
確かに考えた事はある。閻魔に会いに行き所在を確かめれば会える可能性があった。しかし、もし会ってしまったら本当に連れて帰りそうで出来なかった。
「好きなんでしょう?水木さんの事」
「え
……
」
「人としては勿論だけど、友愛以上に貴方は彼を愛しているでしょう?」
「そ、んな
……
」
そんな事はない、と言おうとして言い淀む。本当にそうだろうか?と自問自答する。
人として確かに好きだった。こんな人間に会った事はないと思える程、相性が良かった。失って隣に居ない寂しさを感じた。それは妻が居ない時も感じていた。
もっと語らいたかった。酒を酌み交わしたかった。家族と共に一緒に出掛けたかった。
溢れる想いは涙となった。水木を失ってから更に泣き虫になった気がする。妻がゲゲ郎の涙をそっと拭った。
「鬼太郎も大きくなって手が掛からなくなって来たわ。一度、会いに行ってみてはどうかしら。何か解るかもしれないわよ」
その気持ちに答えが出ないのなら会いに行けばいいと妻は言う。しかし、儂が愛しておるのは妻で
……
水木は人間の男で、友で、それから
……
。
「儂は水木を愛しておるのか?しかし、御前に向けるものと"これ"は違うぞ」
「愛の形は沢山あるわ。私があなたの事も人間の事も愛しているのと同じようにあなたはあなたが想う愛があるわ」
本当に愛に溢れた女だと思った。人間にされた事を許した訳ではないがそれでも水木という存在が彼女をまだ人間へと想いを向けさせている。凄い男だと思った。
「暫し留守にするが良いか?」
「私が背中を押したのよ。いいに決まってるじゃない」
遠慮がちに訊いた夫に嬉しそうに妻は笑った。それにゲゲ郎は安堵したように笑い返した。
◇◇◇
「来て居ない!?」
「来て居らん」
地獄へ来たゲゲ郎は水木について閻魔に訊いてみたがその魂はここへは来ていないと言う。しかしあの日、水木は怨念を受けて死んだ筈で身体もそこにはなかった。
「間違いではございませぬか!本当に水木という男は来ておらぬのですか!?」
「記録はない。故に其方が望む答えも与えてはやれん」
「そんな
……
では、水木は
……
」
村は静寂に包まれ狂骨の姿は一切なかった。てっきりもう冥土へ行ったものと思っていたが、ならば水木はどこに行ってしまったというのか。
「失礼致す」
閻魔に挨拶をしゲゲ郎は現世へと戻った。水木に会えなかった悲しみと居ないと解った時の喪失感に呆然とした心持ちでフラフラと歩いて行く。
現世は夜に差し掛かっていた。カランコロンと下駄を鳴らし当てもなく歩いた。
「ここは
……
」
気が付けば哭倉村跡地へとやって来ていた。何か水木の手掛かりはないかとゲゲ郎は村の中を歩き出す。良い記憶も悪い記憶も詰まった村。水木との思い出がある場所を中心に歩いた。
「おお、幽霊族ではないか」
「これはこれは、お久しぶりでございます」
例の島が見える岸辺に来た時、当時、妻の情報を聞く為に温泉で話をした河童の長が現れ、ゲゲ郎はパッと顔を明るくして膝を折り屈んだ。
「その節はお世話になりました」
「大したことはしておらぬよ。それでここには何しに来たんじゃ?もう寂れて久しいぞい」
「友を探しに」
「あの時一緒に居た人間か?」
「ええ」
また人捜しとは大変じゃのうと河童はゲゲ郎に同情する。ゲゲ郎は苦笑しながらそうですな、と答えるしか出来なかった。
「お主が探すのは男じゃから関係ないかもしれぬが、村が滅んでからあちらの山中に天女のような鬼が現れるという噂を聞いたのう」
そう言ってゲゲ郎の背後にある山を指差したのを追ってゲゲ郎も山へ振り返る。龍賀家の裏山に位置する山の山中だった。それを確認してゲゲ郎は河童へと向き直る。
「天女のような鬼、ですか」
「見た者によれば美しい容貌をしているらしくての、人魂か鬼火か解らぬが携えて彷徨っているそうじゃ」
「ふむ、関係あるかは解りませぬが気になるので捜してみようと思います。ありがとうございます」
「よいよい、達者でな」
河童と別れたゲゲ郎は足早に山へと向かった。天女のような鬼、と言われ真っ先に頭に浮かんだのは沙代だった。水木でなくとも会ってみるべきだと思った。
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波箱
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