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Nagisa_burn
2025-11-03 12:57:11
6896文字
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最果てまで
決戦〜高校卒業後、周囲の人と関わるのが怖くなった黒崎くんがユーハバッハの残滓を見つけて拾って育てる話です。ユハ一、メゾンド×一護がベースです。(未完)
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収穫は四人揃っておこなった。緊張の一瞬だ。実がなったキュウリやトマトを白い斬月が矯めつ眇めつ検分し、許可が出たもののヘタと茎の境目を一護がハサミで切る。収穫されたそれをユーハバッハがカゴに入れ、一定量溜まると黒い斬月が運んでゆく。
結論から言えば、トマトやキュウリよりはジャガイモのほうがよく育った。土の具合によるのかもしれない。放置され草が蔓延っていた中庭を耕したのはよかったが、あまりよい土壌とは言えず、郊外にある捨てられた畑から土を運んで簡易的なプランターに詰めた。そのプランター育ちのトマトはそれなりだが、中庭産はしなしなで色も悪い。かなり、大幅に基準を下げて、仕方なく「
…………
まァ初回はこんなモンじゃねえの」と匙を投げたのが白い斬月だ。意見は満場一致だった。
とはいえ、主食となる穀物の栽培にまで手が回っていないのはいただけない。霊圧が大きいとはいえ腹は減るものだし、ユーハバッハもまた、一護から霊圧をもらわなければその存在を保てない。一護自身でもある斬月たちは言うまでもなく、つまるところ、出来上がった食べものはみな一護の口に入ることとなった。
そもそも育てるのにもブーストをかけている。そうでなければ二週間やそこらで実はつかない。何を与えたかといえば、これも結局のところは霊力だ。一護の力を抽出し、水に溶かして肥料とした。めきめき育つそれらを見て、一護はのんきに「スゲー」と感心していた。
「よく食え。もうおまえひとりの体ではないのだから」
「それ前も言われたけどだいぶ気色悪い台詞だからな」
「一護、本当にすまない。責任を持って私が此奴を窓から落としておく」
「貴様ごときに私をどうこうできるとでも?」
「現在の力量差すらも把握できなくなったのか。私が手を下すまでもなく、落ちるところまで落ちたようだ」
「斬月、これ温野菜にできねえ? もしくは焼き」
「
……
鬼道とか試してみるか。気合いでどうにかなんだろ」
生野菜のサラダを口に運びながら、マヨネーズかドレッシングが欲しいな、と一護は考えていた。嫌いではないのだが、素材の味そのままはやはり飽きがくる。一護の要望に応えて小さな赤火砲もどきを生み出した斬月が野菜を炙っている横で、黒い大人と子どもがばちばちと火花を散らしていた。
「斬月、ほら」
「
……………………
一護、私は」
「斬月」
「
………………
む」
小さなトマトを黒い斬月の口もとへ押しつける。かなり渋っていた男は、けれど諦めたように口をひらき、嫌そうにもごもごと咀嚼した。ユーハバッハも顔をしかめている。あまり好きではないようだ。
焼き終えたキュウリを今度はユーハバッハに押しつける。ズッキーニに近い見た目になったそれは、さらに縮んで小さくなっていた。改良の余地があるなと思いつつ、半ば無理矢理食べさせる。口の中にものを入れておかないと喧嘩するのだから、まったく世話が焼けた。
「ジャガイモは潰すか」
「思った。蒸かしてマッシュポテトにしようぜ」
「肉が欲しいな」
「俺ハンバーグがいい」
「へーへー、仰せの通りに。見つけたらミンチにしてやるよ」
「
……
牛などいたか?」
「鹿は山に生息していた。今は知らん」
「じゃあ今日は山行くか。最近掃除ばっかだったし」
荒れ果てた城の掃除は終わりが見えない。それでも一部のよく使う部屋の床を掃き、拭き上げ、リネン類を洗濯し、使えるようにした。斬月らは夜のあいだ一護の裡に戻るので寝室はひとつだ。大きいベッドが使える状態で残っていたのは幸いだった。
エプロンをつけたユーハバッハは、毎日のように黒い斬月に掃除の出来について苦言を呈されている。喧嘩しなければともに在れないらしい。見た目が子どもなので、怒っても大した迫力はないことを気にしているようで、もっと霊圧を寄越せとねだるようになってきた。一度破裂しかけたというのに懲りないものだ。
残り少なくなったサラダを頬張りながらヒビの入った窓の外を見る。空は青く、雲はちらほら。鹿肉のハンバーグを想像して、一護は口もとをふやけさせた。
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