roku
2025-10-02 12:03:00
8613文字
Public 松エジ
 

秋🍁の【松エジ】

Xで見かけた推しカプBINGOです!

https://x.com/BLsommelier_801/status/1970790311040561307?t=a1phCteq3HJUUR1pk36KUg&s=19

秋が終わるまでに書けるところまで

・秋スイーツ巡り&食べ歩きデートで味覚狩り
・肌寒い夜 体温分け合う密着セッ
・読書中うたた寝してる彼にキス
・美術館デート→紅葉を見にドライブデート
・焼き芋はんぶんこ
・お月見しながら夜のお散歩&寒がる彼にカーディガンをかける


《焼き芋はんぶんこ》

広げた手のひらの小銭を見つめ深い溜息を吐く。上げた視線の先には『やきいも』と書かれた幟。沢北は諦めたようにぎゅっと握った拳をポケットにしまった。
「やきいも食べたいのか?」
「うわっ!」
誰もいないはずの後ろから突然投げかけられた声にビクッと肩が跳ねた。
「びっくりしすぎだろ」
ははっと大きな口を開けて笑いながら沢北の隣に並んだのは先輩である松本。沢北は正直松本のことが苦手であった。次期エース候補といわれていた松本は沢北の入部によってレギュラーにはなれなかった。それについて裏で色々言われていることも知っていた。にも関わらず当然のようにコミュニケーションを図ってくる。沢北がどれだけ濃い境界線を引いても、分厚い壁を作っても、だ。それが不思議というより不気味だった。
「お疲れさまです」
それでも入部以来叩き込まれた上下関係。もちろん挨拶はかかさない。
「おう、お疲れ。お前いつもひとりだな」
バスケ部員のほとんどが寮生活を送っているので練習後の帰宅先は同じだ。だが沢北はそのレベルの差から同輩に馴染めずにいた。先輩という存在も得意ではなかったためいつもひとりだった。まさかそこを指摘されるとは思いもしなかった。
「ちょっと待ってろよ」
「え?」
松本は沢北と会話のキャッチボールを望むことなく一方的に言い放ち、先ほど沢北が眺めていた幟へと向かって歩き出した。ものの数分もしないうちに戻ってきた松本は、「ほら」と手にしたやきいもの半分を沢北へと差し出した。
「え、あ、いや、いいっす
本音を言うなら食べたいが、どうしても素直に受け取れないのは松本の心の底が見えなかったからだ。
「食わねぇのか?」
……貰えません」
その答えに松本が首をひねったと同時にぐう〜っと音を鳴らしたのは沢北の腹。
「フッ、ははっ!腹減ってんじゃねぇか」
松本は左手のやきいもにかぶりつきながら、これぐらい食べたところで夕飯は普通に食べれるだろうと残り半分をもう一度沢北の目の前へと持っていく。沢北はそんな松本の強引さに負けてありがたく頂戴した。
「あふっ!うまっ!」
分けてもらったやきいもは今まで食べたどのやきいもよりも甘くてホクホクしている気がした。
「もう半分やるよ」
松本はあっという間に食べ終えた沢北に、自分の食べていた残り半分を沢北の口元へと運んだ。あろうことか「あーん」という言葉付きで。
「な、ちょ!恥ずかしいからやめてくださいよ!」
沢北が怒っている理由がわからず何でだよと不思議そうに首を傾げた松本。その隙をついて奪ったやきいもを一口で頬張った。
「ごちそうさまでした!松本さんが何でこんなことしてくれたかわかんないっすけどありがとうごさいました!うまかったです!」
礼儀を叩き込まれている沢北は深々と頭を下げた。松本のことが苦手でなくなったといえば嘘になるが、印象が変わったのは確かだった。
「今度ちゃんとお返しさせてください。何が食べたいですか?」
「別にいらねぇよ」
「借りは作りたくないんで」
貸しだなどとはひとつも思っていなかった松本は目を丸くし、そして何かを思案したのち口を開いた。
「あー。そしたらさ、食いもんいらねぇから1on1付き合ってくれねぇか?」
「そんなことでいいんすか⁉」
それは沢北にとって何より嬉しい申し出だった。
「1on1だとまだまだお前に及ばねぇから」
そのセリフはチームならば沢北に勝てると言っていた。
「は?チームでもオレが勝つんで!」
「頼もしいな」
松本は沢北の背中をポンと叩く。その手がとても温かかったのはきっと気のせいじゃない。
「あとな、何でこんなことしくれんのか?ってあれな、下心ってやつだ」
フッと口角を上げて笑った松本は、言葉の意味が理解できず立ち尽くす沢北を放ったまま歩き出した。慌ててその背を追い「どういう意味ですか⁉」と訊ねてみたものの、目を細めたまま何も答えてはくれなかった。



あとがき
テーマ『焼き芋はんぶんこ』
松→沢ぐらいの松エジ
ここから松の思惑通り沢は懐くし、みんなのいないところで多少強引にいく松がいて、それに絆されちゃう沢もいる