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真九龍
2025-09-19 19:41:40
8799文字
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小説
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【鳴ライ】君ノ秘密
鳴海×ライドウのお話で、ライドウの或る行動が気になる鳴海の図。
注1:両想いな鳴ライで、二人がくっ付いて未だ間もない頃のイメージ。
注2:ライドウremaster版をプレイ済み及びクリア済み。
注3:捏造多発注意報が出ています、ご注意下さい。
2025/09/22 お蔵入りした”if”の分岐点をプロット形式的な文章でページ追加しました。
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人気の無い路地を過ぎ、木々に挟まれた小道を通り、階段を上り。
ライドウの行先は、鳴海の予想通り、名も無き神社だった。寧ろ、ライドウが志乃田方面を訪れた際の訪問先は、ほぼ神社しかない。鳴海は耳を研ぎ澄ませながら階段を登り、名も無き神社の境内へ足を踏み入れ、辺りを見渡す。
神社の前は、”誰も”居ない。居るとなれば、御狐様の石像が二体。視線と気配を強く感じるのは、此の二体に魂が宿っているからだろうか。しかし、自身が警戒されている、ないし、訪問を拒絶されている感覚は無い。鳴海は安堵しつつ、推理を開始した。
(
…
異界に行く場合、其処の鈴を鳴らしてヤタガラスのお姐さんを呼ぶ必要が有る
…
鈴の音は、聴こえなかったな
…
)
ライドウが異界に下りた可能性は、ゼロとなった。次に、手水舎の方に視線を送る。
(確か、手水舎の中に仕組まれた昇降機で降りるんだっけ
…
?こっちの音もしなかったから、朝早くから修験界で修行
…
という線も無いな
…
)
鳴海が耳を研ぎ澄ませていたのは、音を拾う目的が有った。鈴の音なら異界へ、昇降機の音なら修験界へ。何方の音も無かったとなると、ライドウは此の神社の何処かに居る、という結論になる。
探偵の血は、まだまだ騒がしいままだ。謎を解き明かすまで、決して落ち着くことはないだろう。
(普段は見ないような、或いは行かないようなところも要注目
…
となると
…
)
鳴海の足は神社中央の拝殿を逸れ、脇道を歩く。神社は拝殿の提灯と燈籠の灯りしかなく、周囲を木々に囲まれている影響か、日中でも薄暗い。うっかり躓いたり、滑らせぬよう慎重に歩行しながら、鳴海は神社の裏手へと歩みを進めた。
「
………
此処は」
辿り着いた先に、目を奪われる。
流水音と落水音が奏でる水場
濁り無き透明な清水
冷え澄み切った空気
鳥の囀り
煌々と燃える篝火
欲望渦巻く帝都の一角に、穢れを微塵も感じない領域が存在するとは。鳴海の口からは息が漏れ、停止していた足が吸い寄せられるように前へと動き出す。其の時、気配を察知した。我に返った鳴海は前進を止め、適当な物陰に身を潜める。水場の近くに立つ小屋の戸が開き、現れたのは、
(
…
─!ライドウ)
尾行対象者であるライドウだった。後ろからは、さも当然のようにゴウトが付いてきている。
彼は何時もの装備と衣装を全て取り外し、薄手の白装束を纏い、右手に数珠を掛け、桶を抱えながら裸足で水場に向かい、正座する。次に、清水を桶に入れ、其の水を肩に掛け流す。身体を水場の水温に適応するよう、少しずつ慣らしているようだ。
掛水を繰り返す事数回、ライドウが身に纏う白装束はすっかり濡れ、彼の素肌と肢体にぴたりと張り付く。水が滴る首筋と鎖骨、突起が僅かに浮き出た胸、とあるものを絶妙に隠す大腿。水に濡れた白装束は白磁なる素肌を薄っすらと映し出し、大変艶めかしく象る。
(
…
─
……
今の俺、相当ヤバいぞ
…
あいつの姿を見て、此処まで欲情するなんてな
…
)
ライドウの扇情的な容姿を目の当たりにした鳴海は、己の心身が刺激され、昂っていることに気付く。想い人になり、時が来たらしっかり話し合いをした上で交わりたいと思っていた。しかし、其の時が急に押し寄せてきたら、男と言う生き物はどうなるのか。
(
…
くそ
…
堪えろ鳴海
…
此処はライドウのことも考慮して、堪える時だ
…
!)
鳴海は急激に浮上し始める欲情を抑制し、掛水を終えて入水するライドウから視線を逸らした。此のまま凝視し続けると、本能のまま襲いかねない。俗物塗れの思考に支配されている己は、此の穢れ無き領域に相応しくない人間。今直ぐ立ち去らねば、境内に鎮座している御狐様の石像から本気の怒りを買うかもしれない。
帰ろう、でも、もう少しだけ覗き見したい。其のもう少し、という余計な要素を未だ抱えている時点で既に駄目なのだが、好奇心の方が勝った結果、鳴海はライドウに再び視線を向ける。
「な~にをしておるのだ、此のド助平探偵が!」
「
…
はへっ!?ゴウトちぁいッ、
…
だあぁああああッ!!」
「
…
!!え、えっ?!鳴海さってうわゎ
…
っ?!」
物陰から身を乗り出すと、お目付け役であるゴウトが視界目一杯に移り込み、刹那、顔面に引っ掻き攻撃をお見舞いされる。ひりひりとした痛みに堪らず絶叫し、鳴海は物陰から飛び出してしまった。そして、清水で身体を洗っていたライドウは、鳴海の絶叫と其の姿を目の当たりにして驚愕し、其の反動で足を滑らせ、水飛沫を上げながら水没する。
「ぬっ?!ライドウ?!」
「ひぃ~
…
いっててて
…
!
…
─?!ラ、ライドウ!大丈夫かっ?!」
此のままではライドウが溺れてしまう。
鳴海は帽子を脱ぎ棄て、水場に躊躇うことなく飛び込み、スーツが濡れることも厭わず潜る。冷水は徐々に浸食し、刺すような冷たさが肌を纏う。しかし、溺れかけの愛しき人を放置しておく訳にもいかない。ぶくぶくと絶賛沈没中のライドウの腕を掴み、全腕力を以って引っ張り揚げた。
「
………
ぷはっ
…
!な、な、な
…
なるみ、さん
…
げほっ
…
はぁ
…
─
…
なぜ、ここに、いるんですか
…
?!ぼく、てがみ、おいていきました、よね?!」
ライドウは鳴海に引き揚げられて浮上するや否や、呼吸も整わぬまま疑問をぶつけた。鳴海はライドウの無事に一先ず胸を撫で下ろすも、白装束が濡れて肌は透け、荒い呼吸を繰り返し、瞠目しながら己を見詰める其の姿に煽られ、ブツンという小さな音がした瞬間、
「
…
!な、鳴海さん
…
鼻血が
…
」
「
…
へ?あ
…
ああ~
…
うん、なんか、鼻の奥が熱いと思ったわ
…
ちょっと、止めてくる
…
」
ライドウは更に瞠目し、慌てふためく。其れも其の筈、鳴海の鼻から紅い液体が垂れ流れていたからだ。想い人の濡れ透けした姿を垣間見て、欲情し、熱の昂ぶりが頂点に達した結果、鼻血となって現れたのである。鳴海は鼻血を手に拭い、自身の血液を見るや否や瞬く間に平常心を取り戻し、煩悩に塗れた己の精神を恥じながら水辺に上がった。
「ハンカチハンカチ
…
ハンカチもずぶ濡れかよ
…
まあ、絞ればいいか
…
」
スーツから水を滴らせながら、鳴海はポケットからハンカチを取り出す。勿論、ハンカチも水分をしっかり吸収しており、使いものにならなくなっている。其処は絞れば何とかなると思い、ハンカチを捩じり絞り、水気を取り除いた上で鼻に当てた。ひんやりとした感触が、なんと心地いいことか。止血の為に暫く押さえていると、ばしゃばしゃと水音を立てながらライドウが上がってきた。
「鳴海さん
…
大丈夫ですか?」
「おう
…
直ぐ止まるさ」
ライドウは不安気な様子で声を掛けてきたが、鳴海は決してライドウの方に振り向かなかった。理由は単純、ライドウを見てしまうと、再び昂ってしまうからだ。
「
………
鳴海さん
…
溺れかけた僕を助けるために
…
その、服が
…
」
「あー、いいっていいって
…
勝手に後を着けた俺が悪いんだからさ
…
」
「助平探偵に制裁を喰らわす筈が、ライドウを溺れさせてしまうとはな
…
不覚であった
…
」
三者三様の罪悪感と、深い反省。
少々重たい空気が流れる中、鼻血の止血に成功した鳴海が口を開く。
「ライドウ、さっきの質問の答えを言うぜ
…
前まで気にも留めなかった早朝のお出掛けだが、お前と想いが通じ合ってから急に気になり始めたんだ
…
お前の事をもっと知りたくて、俺は動いた
………
此れでいいか?」
「
…
!そうだったんですね
…
」
相変わらず視線を逸らしたままの鳴海だが、彼はライドウの質問に答えた。其の答えを聞いて、ライドウは腑に落ちた様子だ。なら、自身も早朝に行動する理由を、想い人である鳴海に回答する番だ。明後日の方向を向いている鳴海に接近し、其の拾い背中に身を寄せる。ライドウの行動に肩が跳ねる鳴海だが、決して、ライドウを覗き込まない。何故なら諸々が再び昂り以下略、だからだ。
「鳴海さん、此処は禊場です
…
体内に留まった穢れを落とす為に、禊を行っているんです」
「禊
…
?」
禊、則ち、穢れ落としと浄化の為の水浴。
異界に長時間留まったり、悪魔を討伐すると、極微量では有るものの穢れが体内に蓄積していく。其の穢れを放置しておくと、祓う力が減少し、討伐に支障を来す。ライドウは体内に穢れの滞留を察知した時、名も無き神社の禊場へ足を運び、禊を以って穢れを落とし、自身の身体を清めていたのである。
「朝早くから禊をするのは、朝方の空気と水が最も新鮮で澄み切っており、浄化効果が最も高いからです」
「(早朝に出掛け、帰宅したライドウの雰囲気が変化していたのは、禊で穢れを落としていたからか
…
)身体の維持管理の為、か
…
ああ、俺も納得したぜ。答えてくえて、ありがとな」
「
…
いえ、僕の方こそ、ずっと隠していて御免なさい
…
」
ライドウの早朝お出掛けの謎は、無事解決した。愛しき想い人の秘密を知ることが出来た鳴海は、柔らかい笑みを浮かべながら歩き出す。
「
…
!鳴海さん、どうしたんですか?」
「先に帰る。ライドウ、任務に支障が出ないよう、体内の穢れをしっかり落として来いよ」
鳴海はライドウの方を決して振り撒ぬまま帽子を拾い、右手を大きく振りながら名も無き神社の禊場を後にした。服が濡れた状態で公共交通機関を利用出来るのかが疑問だが、鼻血を出して以降、鳴海が自分に見向きもしなかったことも引っ掛かる。
心が少しチクチクするのは、気の所為だろうか。
「
…
鳴海さん、どうして僕を見ないまま帰ったんだろう
…
」
「
………
鳴海も一人の男だ。うぬの其の姿をもう一度見たら、鳴海の鳴海が大変なことになるだろうな
…
」
「
………
?鳴海さんの、鳴海さん
…
?(一体何だろう
…
?)」
未だ無垢なるライドウが、ゴウトのやや意味深な言葉を理解し、染まっていくのはもう少し後の話。
【コソコソ裏話】
鳴海さん、秘密将校時代に特殊な特訓を受けていて隠密行動も其の内の一つ、という妄想です(ライドウ、ゴウト、仲魔にも覚られないくらい相当な隠密技)。音にも結構敏感なのでは、と思います。
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