ぱら子
2025-06-22 23:54:39
10883文字
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神は降臨する

アビス教団によって人工魔神にされる🐳の話



「ここに公子殿と妹殿がいるのか」
古びた重厚な扉の前に鍾離と空、パイモンは立っていた。
タルタリヤが連れ去られてから一週間、二人はタルタリヤの居場所を探して奔走した。旅人は各国とのコネを使ってアビス教団の情報を集め、鍾離は璃月にいるアビス魔術師などを脅して情報を吐かせて、ついにタルタリヤがいるであろう地下遺跡に辿り着いたのである。
「先生、準備はいい?」
「当然だ」
扉を開き、三人は地下遺跡の中を進んでいく。アビス教団の根城の一つ故か、襲ってくるヒルチャールやアビス魔術師の数はだいぶ多かったが恋人が攫われ怒り心頭の鍾離に皆蹴散らされた。
そして一番最深部へと来た二人の目に飛び込んできたのは空中で固定された大きな黒い繭だった。中身は分からないが、ドクンドクンと拍動する何か生命体がいることは分かる。
「なんだよアレ……オイラ怖いぞ
繭から漂う底知れない空気にパイモンは空の後ろに隠れた。
「ねぇ、もしかして……
…………
鍾離と空は繭の中について同じ考えが頭に浮かぶが、嘘であってくれとお互い沈黙してしまう。
その時、三人の背後から誰かが歩いてくる気配がして振り返るといたのは蛍だった。
「蛍、あれは一体?」
「あれは、新しいアビスの魔神の繭」
「アビスの魔神?」
「そう。天理を倒し、カーンルイアを復活させる為に私たちアビス教団が創った人工魔神だよ」
蛍の言葉に鍾離たちは顔を見合わせる。魔神を復活させるのはでなく、一から人工的に創り出すなんて出来るのだろうか。
「魔神はそう簡単に創れる存在ではない。いくらアビスの力があらゆる事象に干渉できたとしても、可能だと俺は思わんな」
「そうだね、普通なら難しい。でも」
蛍はアビスの禍々しい瘴気を纏ったコアを二人に見せる。
「いずれ高天に登って神となれる資格があると云われる神の目を持っていてアビスの力を使える者と、このコアがあれば可能って言ったら?」
「神の目を持ち、アビスの力を使える者……その為に公子殿を狙っていたと」
鍾離の言ったことは当たりだったようで蛍はニコリと笑みを浮かべた。彼女の持っているコアとやらがどんなものかは分からないが、そのコアをタルタリヤに使って人工魔神を創るということのようらしい。
「公子殿をアビスの魔神にして、天理と戦争でもするつもりか」
「その通り。そして、もうすぐ繭は破れる」
「っ!」
鍾離たちは後ろの繭へと目を向ける。
拍動していた繭にはいつの間にか小さな罅が入っていた。罅は次第に広がっていき、裂け目から黒い光が溢れ出していく。
そして繭が弾け、中にいた者が姿を表す。
「公子殿……?」
黒い甲冑に身に纏い、紫の夜空のようなマントをはためかせたその姿は空も鍾離も見た事があるもの。しかし弟が好きな玩具と似た独眼の仮面はしておらず、額からは命の星座にもなっている一角鯨の角が生えていて、赤朽葉色の髪は毛先にアビスの色が滲んでいる。
閉じていた目を開け、光差さぬ深海のような蒼い瞳にアビスの紋様を浮かべたその者は空中からゆっくりと地上へ降り立った。
驚きの表情する鍾離と空たちに新たな魔神は告げる。
「君たちは誰?」






続く……