ぱら子
2025-06-22 23:54:39
10883文字
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神は降臨する

アビス教団によって人工魔神にされる🐳の話



「ふう……なんだ、もう終わりか?思ってた以上に呆気なかったな〜」
地に伏すヒルチャールやアビスの詠唱者たちの中心でタルタリヤはつまらないと言わんばかりの様子で水形剣を霧散させる。
任務で部下と共にアビス教団の討伐に来たのだったが、この所北国銀行の書類仕事ばかりで戦闘に飢えていたタルタリヤにとってアビスの連中は絶好のカモであり、共に来た部下たちを差し置いてほぼタルタリヤ一人で片付けてしまった。しかしアビスたちは彼のまともな相手にはなれず、タルタリヤはむしろ戦闘欲の消化不良のような気分を感じていた。
「そうだ!君たち、まだ体力はあるだろ?戻って俺と訓練(手合わせ)しようじゃないか!」
赤い返り血を服や顔に付けたまま、にこやかに言うタルタリヤに対して提案された部下たちは真逆の青い顔でブンブンと首を横に振る。中には小さな声で「ご、ご勘弁を公子様」と懇願する者も。
タルタリヤはそんな部下たちを見て根性がないなと思いつつ、あまり部下たちで遊びすぎて他の執行官どもに苦言を呈されても面倒なのでここは一旦引くことにして元来た道へと歩き出そうとした時、最近入った若い部下がタルタリヤに声を掛けてきた。
「公子様、腕を怪我されているようですので手当をした方が
部下の言葉に左腕に目を向けると気付かない内に受けてしまっていたアビスの攻撃によって一本の切り傷が出来ており、傷口から血が流れていた。
「これくらいなんともないよ。後で自分でやっとくから物の用意だけしておいてくれる?」
「はっはい!」
タルタリヤは部下に指示しながらとりあえずポケットに入れていた白布で傷を覆い、応急処置をする。一応傷口からアビスの瘴気やらが入り込んだ感覚はないし、手当てして包帯を巻いておけば数日で治るだろう。そう思ってタルタリヤは部下たちと共に臨時拠点へと戻ったのだった。


***


それから数日後、異変を見つけたのはシャワーを浴びようと服を脱いだ時だった。
……ん?なにこれ?」
顔に近づけてよく見てみると何日か前に怪我をした箇所に印のようなものが薄く浮かんでいるのを見つけた。
印はアビスの四芒星をイメージさせる模様で大きさはモラ硬貨と同じくらい、位置としては服の袖で上手く隠れる所にあった。
タルタリヤはそれを見て、あの時アビスどもの変な術でも当たってしまっていたのかと思ったが、瞬きをした一瞬で腕にあった印は跡形もなく綺麗さっぱり消える。
「あれ?消えた……?どういうことだ……
何度か目を擦って印があった箇所を見てみても印は消えたまま、再び現れることはなかった。
「何かの見間違い?いや、でも……
あの時の腕の傷はもう完治してなくなっているし、形も全く違うそれと見間違えるなんて有り得ないはず。それに、傷口からアビスの侵食がないか検査もして異常は出なかった。タルタリヤは暫く考えてたが、自分でも納得する答えは出せず、また印が出てきたら考えるかと一度考えるのはそこまでにしてシャワーを浴びることにした。
その後、軽く晩酌し眠りについたタルタリヤは夢を見る。タルタリヤと全く同じ輪郭をした黒い人影が真っ暗な空間の中、揺蕩う自分の身体を優しい手つきで下から上へと撫でていく。普通なら気持ち悪いと思うはずなのに、夢の中ではとても気持ちがいいような気がしてタルタリヤはぼんやりと撫でられるのを享受していた。
やがて黒い人影の手は顔に到達し、頬に手を当ててきたと思ったら人影はタルタリヤの顔を強制的に自分の方へと向けさせてきた。そして人影の口であろう部分がゆっくりと動き出し、言葉を紡いだ。


『アビスの神はいずれ降臨する』