シフォン
2025-06-14 23:14:10
3326文字
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辰砂の魔

2025秦兄弟誕生日小説。微ホラー。
捏造多めです。


驚いて振り返ると、崇雷兄さんが腕を組んで立っていた。
何気ない、いつも通りの兄さんの声。
けれど今は、氷のようにとても冷たく聞こえた。
言いつけを破ったからなのか、怒っているのを顔に出さず、兄さんは静かに僕に詰め寄る。

「崇秀、これは一体何だ? 」

……辰砂だよ。水銀の、不老不死の霊薬の原料の……

「どうして飲もうとしていたんだ?」

「違うんだ兄さん、僕じゃないよ!
 その、声が聞こえて、気づいたら、手が、勝手に……!だっテこレを飲んだラ、私タチハ不老不死ニナレルカラ

……………………………………………………。」

しどろもどろの必死の弁明は一つも効果がなかった。
自分でも何を話しているのか分からない。
話したところで信じてもらえないのは百も承知だ。
訝しげな目線に凍りつく。
ダメだ、絶対に許してくれない。
何もかも終わりだ。
目をぎゅっと瞑ったその時。






───────────ガシャン、と、大きな音。
 
「え………………!?」

恐る恐る目を開ける。

兄さんは傍にあった水晶玉を掴み、





石床に向けて思いっ切り叩きつけていた。