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シフォン
2025-06-14 23:14:10
3326文字
Public
pixiv投稿済
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辰砂の魔
2025秦兄弟誕生日小説。微ホラー。
捏造多めです。
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「本当、寒いなぁ」
ライターや懐中電灯が無いと何も見えないような部屋。
あの時かろうじて見えた室内は赤い蝋燭で照らされていた。
隣の公園は赤や青の炎がごうごうと燃え盛っているのに、この部屋だけはいつも肌寒かった。
つくづく薄気味悪い場所だとため息をつく。
秘伝書事件があってからというもの、
僕は兄に内緒でこの部屋に来るようになった。
兄さんからは「あの部屋には行くな」と言われているけれど、そう言われると逆に行ってみたくなる。
心霊スポットにいくときも、皆大体そんな感じだろう。
単なる好奇心であって、何かをしようというわけではなかった。
部屋の北側に置かれた、石や植物や粉が入った大きな棚。
推測するに、薬の原料や粉末の保管庫なのだろう。
もしかしたら歴史的な大発見かもしれないが、秦の時代のものであるという確証は持てない。
だからあまり触れないつもりではいたが、
つい気になって引き出しを開けてしまった。
「これ、何だろう
……
?」
棚から出した石は朱く輝いていた。
『辰砂』と紙に書かれている。多分これが名前だ。
辰。言い換えて、龍。真っ赤な色は血のようで。
皇帝のシンボルとされる龍の、美しい血潮。
秦の血を引く僕たち一族にとってふさわしい石だ。
説明文によると、この石を加工して丹薬を作るらしい。
始皇帝が徐福を蓬莱へ派遣してなお求めた、不老不死の霊薬。
亡くなった父さんから、その話は聞いたことがあった。
本物を見つけた達成感と辰砂の朱い輝きは、僕を秦代の幻想へと誘うには十分すぎるほどだった。
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