「ネモ
……キミは追想の景色に、蘇る王の思い出に、恐怖してるかい?」
「正直に言えば、まあ
……すげー怖えさ。『オレのもの』として馴染んでいく事も含めてな」
「
……私もね、とても怖いんだ」
恐れ知らずの『深淵覗き』って呼ばれる、私でも。
私はネモとは違い、王の思い出が少しずつ蘇っても、『王の片割れたる自覚』がないままだ。
「この類の祝福を授かって、我が予想と異なる姿に変身する子は、滅多に居ない」
「それが、貴公の望む『形』なのだな。実に強固なものだ」
あの時の“王の影”の言葉の意味を、漸く理解した。
何があっても、私は
獣のまま。
『王たる可能性』或いは『王に至る運命』という檻に囚われることのない、『残り火』の中で最も自由で異質な存在。
ならば、そんな私の役目は何だ?
私たちの根源
―王の思い出や業に震えながら、かの山より降る闇の破片に挑むネモを、どうすれば守ってやれるのだろう?
「王の影の祝福で獣の『形』を得た私は不変だ。変化するキミとは違う」
「
……」
「『王の片割れ』になっていくキミの代わりに、キミの恐怖を
……王が蒔いた『呪い』を受け止められぬ事が、恐ろしい」
「オレは、お前がガーベラで無くなる方が嫌だぜ」
「ネモ
……」
「大丈夫。王の思い出が
……アイツの何もかもが溶け込んで馴染んだとしても、オレはオレだぜ。『ネモフィラ』以外の何者でもねえ」
「うん」
「だからいつも通り、オレを『ネモ』って呼んでくれ。そして、お前はお前らしく居てくれ。そうすりゃ、何があろうと、オレは立ち向かえる」
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