【#深淵覗きの断章】夕闇の裁きと宵闇の策謀

アレフ=レーシュ編、第2作。
闇の破片の影響により、ガーベラとネモフィラの中では鮮明な『王の記憶』が蘇りつつあった。
そして、謎の星の子『イジー』の投影キューブを得た事で、二人の残り火は大精霊たちの陰謀を知る事に……

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


 いまだ本拠点ホームには他の星の子の気配がない。
 不自然に思える程の静寂の中で、地面に投影キューブが落ちた音が響き渡る。

……お、終わったぜ」
……うん」

 キューブの記憶映像を見終えた残り火の子らは、恐怖のあまり、揃って腰を抜かしていた。
 キューブが再び起動し、浮遊する。

「今度はなんだよ?」
「文字だ。ネネムの手記に書かれてるのと同じやつ。えーっと……
 ガーベラは、投影された白金色のメッセージを読み上げる。
「『彼らは待っている。王の帰還新たな神の到来を』」
 アレフの後継、ネモフィラは息を呑む。
「『アタシがアタシで無くなる前に助けて。それが無理なら、彼らの手の届かぬ遠くへ逃げて』、か」

 己と親友と、見ず知らずの星の子たちが、現在進行形で大精霊たちの策謀に巻き込まれている。
 立ち向かう相手と、この異常事態の深刻さを理解したガーベラは、天を仰がずにいられなかった。

「ネモ、私は今すぐ、キミを守りながら逃げ回るべきなのかもしれない。けど星の子として、このままイジーを、大精霊様たちを放っておく事はできない……
「当ったり前だろうが!!!」
 ネモフィラの一喝に、ガーベラは面食らう。

「オレは逃げ出さねえぞ。正直に言えば心底怖いし、お前と一緒じゃなきゃ心が折れそうだ。でもな」
 恐怖と、それを上回る怒りで肩を震わせながら、ネモフィラは続ける。
「こんな状況を放ったらかして良いわけがねえ。アレフに直接問い質せる機会がありゃ良いけどよ……余計絶望しちまうに決まってるだろ!」

 ネモフィラが流す光の涙を見て、ガーベラは、“独りぼっちのあの子”の姿を思い描く。
 原罪での死の後に訪れる虚無の暗黒の只中で、独り膝を抱えているあの様を。
 “あの子”と直接話ができた事は一度も無いが、深い悔恨と悲哀を湛え、心の底では優しい抱擁を待ち望んでいるかの子が、アレフ=レーシュの一部であるなら。

「そうだね……ネモの言う通りだよ」
 ああ、『深淵覗き』らしくなく、弱気になり過ぎたな。
 心の中でそう自嘲しながら、ガーベラは親友の肩に手を置く。
「“あの子”を更に悲しませるわけにはいかない。今はなるべく、いつも通りに振る舞おう。遺構に文書に『王の記憶』に闇の破片、とにかく色んな手掛かりを集めて、イジーの居場所を、大精霊様たちの真意を突き止めるんだ!」
「おう、やってやろうぜ!」



 ガーベラとネモフィラは、拳を突き合わせた。