匣舟
2025-05-26 13:09:59
8482文字
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僥倖に預かる

転生パロ 仙乱(すこしだけ伊乱)


「すみません服を汚してしまってそして奢られてしまって……。」
「気にしなくていいと言っただろう?」
 昼ごはんを食べてファーストフード店を後にしたふたりは、手を繋いで乱太郎の家へ向かっている最中であった。乱太郎は一人でも帰れます!と言ったのだが、仙蔵がせっかく会えたのだから送らせて欲しい。と言ったため、お言葉に甘えて送って貰っている最中だ。
 乱太郎は、しんベヱの鼻水ほどでは無いが、泣きじゃくって仙蔵の服を汚した挙句、昼ごはんを奢ってもらった罪悪感で胸がいっぱいらしく、仙蔵が気にするな。と言っているにも関わらず気にしているようだった。
「で、ですが
 気にしすぎな乱太郎に困ったなあ。と笑った仙蔵だったが、なにか思いついたらしく乱太郎。と彼の名前を呼んだ。
「なんでしょう。」
「そこまで気にするのなら、乱太郎。ひとつ、私と約束しよう。」
 私に出来ることであれば何でもします!と言いたげな瞳で自身を見つめてくる乱太郎に、仙蔵は頭を撫でて、今後も私と会って欲しい。と乱太郎に告げる。
「そんなの、約束にも及びません!」
なら良かった。」
あ、私キッズケータイもってます!」
「では、連絡先を交換しておくか。」
「はいッ!」
 仙蔵が本当に便利になったものだなあ。と笑い、そうですねぇ。と乱太郎もつられて笑った。自分たちが前に生きていた時代は、紙に墨が付いた筆で書かなければいけなかったから、手を動かすだけでこうして文字が出てくるのは本当に便利になったと思う。
 ほら、登録しておいたぞ。と渡していたキッズケータイを返されると仙蔵兄さんと書かれた連絡先が登録されていた。少しびっくりして仙蔵の方を見上げると、今度からそう呼んでくれ。と兄さんとの約束だ。と見つめられてしまった乱太郎は顔を赤くさせながらはいぃ!と言うしかなかった。
 それからふたりで昔の話に花を咲かせたりしていると、乱太郎の家がだんだんと見えて、話しているうちに家の前に着いてしまったふたり。
 どちらも今生の別れでは無いことなどわかっているはずなのに、繋いだ手を離すのは名残惜しいみたいだ。
ふふ、そんな顔をするな。離すのが惜しくなってしまうではないか。」
 手を離そうとすると泣きそうな顔をする乱太郎に、連絡先も交換したし、いつでも会えるから泣くな。と笑う仙蔵。
 手を離したり、また繋いだり、そんな攻防をふたりで続けていると、乱太郎の隣の家のドアが開いたと思えば、うわああ!という声と共に、アイタタ。という声が聞こえる。
 ふたりともどこかで聞いたことのある声だな?と思いながら声がした方へと歩み寄り、大丈夫ですか?とふたりで手を差し伸べると、
 そこに居たのは、ふたりとも知っている顔だった。
「い、いさくせんぱい?」
 乱太郎の声に、声をかけたられた相手は酷く驚きながらエッ、エッ!と声をあげて、乱太郎と仙蔵を見つめた。
乱太郎に仙蔵!?あれ、もしかして乱太郎
 記憶が戻ったの!?と驚いている伊作に、仙蔵がお前も記憶があるのか?と問いかけると、あるよ。とはにかんだ。
「乱太郎、私に見つかってなくても、詰んでいたのだな。」
そ、そうですね。」
「ねぇ、ちょっとなんの話!?」
 僕にも分かるように説明してくれない!?と大声をあげている伊作に、ふたりは微笑みながら誤魔化そうとするのだった。