匣舟
2025-05-26 13:09:59
8482文字
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僥倖に預かる

転生パロ 仙乱(すこしだけ伊乱)

僥倖に預かる

 乱太郎が前世というものを思い出したのは、この世界に生を受けて十年経った時のことであった。前世と全く同じ顔をしている父と母から、バースデーソングを歌ってもらって、火がついているろうそくに息を飛ばして火を消した時だった。
 自分が何百年も前に今回と同じく人間として生まれていた事と、父や母たちのような一流忍者になるために忍術学園に通っていたことを思い出した。
あ、ぇ……?」
 混乱している頭に止めどなく前世という記憶がインプットされてゆく乱太郎は、先程まで笑顔に包まれていたのにどんどんと青い顔になっていく。
 そんな乱太郎を見た父と母がどうした、どうしたと声を掛けた瞬間、目の前がチカチカとした。
 最早言葉すら交わすことも出来ず、言葉にならない母音だけが、乱太郎の口から垂れている。
 そのまま、がくんと項垂れてしまった乱太郎は即座に動いた父の機転で目の前のケーキにダイブを回避した。父と母の自分の名前を焦ったように呼んでいる声を聞きながら、乱太郎は意識を手放してしまった。