enoki181
2025-05-22 19:28:40
12422文字
Public リプレイ
 

【ストリテラ】基本侵蝕値99%

俳優:守部さん、エノキ
シナリオ https://talto.cc/projects/GMrsckAGvRQfeUhBFXBay


▼心蝕する発作


目の前のジャームのそれに共振するように、キミの中のレネゲイドウイルスも急激に活性化し心の奥底から溢れてくる衝動に、キミの理性は呑まれてしまった。まだ一線は超えていない、一時的な暴走のハズだ──《助演》は、キミの意志を信じて呼びかける。


天保 空穗:ジャームがでた。
そんな話がきたら、出て行かない訳にはいかない。
私たちはジャームを狩る者なんだから。

…………はは……ッ!」

――なんて、どうでもいいか。

体内の血が沸き立ち、自然と笑えてくる。

目の前のアイツを潰したい。殺したい。
じゃないと、この世界は綺麗にならないから。
私の理想に。綺麗な世界に。

うまれたまま、血の色のまま。美しい従者たちが主人のまわりで踊る。

理性が吹っ飛んでいる認識はなかった。

[ 天保 空穗 ] コレクト:0 → 2

朝下 ラケ:「せ、先輩……?」
いつもと様子が違う?
そう気付けたのはすぐだった。
オーヴァードとして長年生活してきた私達、どんなにレネゲイドウイルスの侵蝕があってもここまでではなかったはず。
「ジャームは倒します。でも……衝動に身を任せちゃダメです!」
届くかどうかわからなくても、声を張り上げて手を伸ばす

[ 朝下 ラケ ] コレクト:0 → 2

天保 空穗:手は取らない。
「わからないのか、ラケ君」
鼻で笑う。笑い声にあわせ、従者がさらに激しく蠢いた。
「逆らわないほうがイイよ、楽だよ」
「間違ってるか?それ、そのままさ、動いてしまえばいいじゃないか」
従者たちは、自分を閉じ込める檻のように展開される。
「キミにだって衝動はあるだろ。まだ、とは言わせないぞ」
「なんで、それ、しちゃあダメなんだ?」

[ 天保 空穗 ] コレクト:2 → 4

朝下 ラケ:「こ、こんなの……こんなの、先輩らしくないです!」
虚空を掴んだ手を、ぎゅっと握り締めて歯を噛んだ。
……そうとなれば、私も意志を固めなきゃね」
「仮にも私はノイマン。先輩の正気を取り戻す策は既に浮かんでいます」
「これを……こうですよッ!」
彼の元に駆け寄り、檻の様を成す従者の一片を……
素手で掴んで、こじ開けようとした。

[ 朝下 ラケ ] コレクト:2 → 3

天保 空穗:「……は?」
間抜けな声と共に、従者の勢いが弱まる。隙を突かれて侵入を許してしまった。

「お、おいおい!まった!私のかわいい従者が!消えてしまうから!やめるんだ!ラケ君!」
「それに、キミの手が……!」

従者に触れたそばから赤く染まる彼女の手に触れる。

「ノイマンだって?信じられないな、キミは!」

[ 天保 空穗 ] コレクト:4 → 5

朝下 ラケ:先輩は私の手を取ってくれた。
「先輩!お、落ち着きました……!?」
「私の頭がフル回転して言ってたんです!心に訴えかけるには言葉だけじゃ足りないって……だから、こうさせてもらいました!」
二人の両手は真っ赤に染まってべたべたになっていたと思う。
……それでも。
「綺麗な世界は、綺麗な自分から」
……そうでしょう?さぁっ、やりますよ!」
ジャームに向き直った

[ 朝下 ラケ ] コレクト:3 → 4

天保 空穗:「……ああ」

……この手を離したくないなぁ。
生きていたい。温もりを感じたい。

……そうだなぁ!後輩たちに情けないとこ見せられないもんなぁ!」
「やるぞ、ラケ君!」

終わりが近いことは、嫌ってほどわかっているのに。

[ 天保 空穗 ] コレクト:5 → 6

[ 天保 空穗 ] FP:0 → 1


▼信頼と告白


《助演》は、自らの置かれている状況に対してどう思っているのだろうか。一人でいくら考えても結論の出ないその問いを、キミは《助演》に直接ぶつけることにした。キミたちの仲に、遠慮は不要だ。


朝下 ラケ:「先輩」
夕方だった。
支部の一室、任務の報告書や備品の申請書類をまとめていた彼女の横顔は西日に照らされて、赤い影ができていた。
「侵蝕の値、このままですね……
検査結果を見ていたのだろうか。絞り出すような声だった。
"少しでも下がっていれば、私がそれをしないで済むのに"。
「あっ、ええっと、ごめんなさい」
「伝えたいことは、こんなのじゃなくて……

[ 朝下 ラケ ] コレクト:0 → 2

天保 空穗:「ん?はは、見られちゃったかぁ」
足元に延びる影の中で、こぽり、と潜ませた従者が蠢いた。
……ラケ君って、銃は撃てるんだっけ?」
その数値を隠すよう、手元にあった紙を折りたたみながら。
「いやね、キミって人を守ってばっかりで、自分のことは守れるのかって。気になってしまってねぇ」
「後輩もたくさん増えたし、できることを増やしていくのは大事だよ?」

[ 天保 空穗 ] コレクト:0 → 1

朝下 ラケ:「じ、銃ですか?」
意外そうに声を上げた。
「訓練で持ったことはありますけど、他の皆さんほど扱えるわけじゃないですし……
と、そこまで言ってから気付いた。
この人はもうとっくに自分の死期がわかっているんだ。
その上で、私の心配をしてくれているんだ。
「武器なんて無くても、自分の身ぐらい守れますよ!先輩のおかげで、この力もこんなに使いこなせるようになりました」
「ありがとうございます」

[ 朝下 ラケ ] コレクト:2 → 3

天保 空穗:「嫌だなぁ、お礼なんて。キミ自身の努力の成果だろう?ラケ君は覚えも早かったし」
夕暮れが深まり、互いの表情が見えにくい。それでも、電気をもっと明るくしようなんて言わなかった。
「もし、支部の中にジャームがでたら。後輩たちのことは、キミに任せて安心だね」
「約束だぞ、ちゃんと先輩やってくれよ?」
にぃと瞳を細める。

[ 天保 空穗 ] コレクト:1 → 3

朝下 ラケ:その言葉を聞いて、思わず書類で顔を隠してしまった。
今、私がどんな表情をしているのかわからなくて怖かった。
「あはは、荷が重いですよぉ……
……
「先輩は怖くないんですか?」
「自分がジャームになったらとか、心残りとか……
「私は今でもどうしようって思いますよ。期限切れになる日がいつか来るってことが」

[ 朝下 ラケ ] コレクト:3 → 6

天保 空穗:「……怖いねぇ。ジャームなんて美しくないもの。心残りだらけだよ」
「うまくできるようになったんだけどなぁ」
陰の中から翼が現れ、鳥の姿を取る。空中を浮遊させ、手の上にのせた。消えもせずしばらく羽ばたいていた。

……いや、ね。もっとシンプルにだ。死にたくない、生きたいから」
鳥を手の中で握りしめ、消滅させる。
「でも、シンプルにさ、正しいことに進むしかないからね、僕たちは」
「正しいんだから、ダメだよ、怖いとか考えたら」

[ 天保 空穗 ] コレクト:3 → 5

朝下 ラケ:「そう、ですよね……えへへ!ちょっと元気なさすぎでした、私!」
「第二の先輩として前を向かなきゃですね!」
そう諭してくれる先輩の影が、いつもより濃く机に伸びていた気がした。
決断の時が迫ってきていた。
私のやりたいこと、は……

[ 朝下 ラケ ] コレクト:6 → 7

[ 朝下 ラケ ] FP:2 → 3


▼独白チャプター:後輩


朝下 ラケ:……先輩、私思ったんですよ。
最初は"Vivi noumenon!"を私の手で処分しろだなんて、冗談かと思いました。
でも違ったんです。
質の悪い嘘でも、悪い夢でもなくて現実でした。
驚きましたよ。
生まれ育った実験場で性能テストに使われていたジャームが、一緒に暮らしていた被検体だって知った時と同じぐらい。

今はこの支部が私の家で、先輩は私の家族です。
私には世間一般の家がどんなもので、普通の家族が何をするのかわかりません。
でも。
…………
……
家族を殺すことは怖いですし、正しいとは思えません。