Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
バラ肉
2025-05-06 16:58:21
8368文字
Public
Clear cache
恋の行方は二転三転
兄さんの左手薬指に指輪の痕を見つけたブロの話。
切ない誤解からのラブコメ。
1
2
3
4
5
*****
訓練と称して、血盟軍がブロッケン邸へ集結して早一週間。
午後のスパーリングの時間より先にトレーニングルームへ訪れたアタルは、時間をつぶすようにベンチの上で窓の外を見ていた。
マスクから覗く素顔の面積は相変わらず少ない。
しかし、その横顔はどこか浮かない様子だ。
訓練が始まればいつもの戦鬼顔負けの迫力を見せるものの、それ以外の時間は妙に覇気がない。遥々キン肉星からやってきたというのに。
「ふぅ」
零れる吐息に切なさときたら、全くもってらしくない。
だから、珍しく時間前に来ていたアシュラマンは、ぼんやりと黄昏る男に対し、柳眉を思い切り顰めた。
そしてツカツカと彼の傍に寄ると、眼前を陣取る。
「ん? なんだ、アシュラマン」
訝しげに細くなる目元も気にせず、傲慢な王子はふんぞり返りながら腕を組んだ。
「おい、ソルジャー。貴様
……
よもや、恋い焦がれる相手でも居るのか?」
「
………
うん?」
唐突な質問に、アタルはたっぷりと間を置いてから、反射的に首を傾げた。
いきなりどうしてそんな話に?
驚きに比例して瞬きの回数が増える。
一方で、問い掛けた張本人はわざとらしく相手の手元に指を突きつけていた。
「フンッ、そんな腑抜けた顔をして白々しい。それに、こんな露骨な痕まで残しておいて
……
好きな相手と破局でもしたか? 全く、これだから正義超人という奴は情けない!」
やれやれと肩を竦める様は若干演技がかっている。
しかし、アタルにとってはそちらよりも彼の指摘する言葉が気になったのだろう。
痕
……
?と一瞬思案した後。
「ああ、これか」
ようやくアシュラマンの態度の意図に気づいたのか。ポンっと手を一つ叩くと、彼は緩く頭を左右に振った。
「これは
……
なんだ。親父と和解して以来、何かと見合いの話が多くてな。その言い訳として、キン肉星にいるときは指輪をはめているんだ」
何のことはない、単なる女避けとして使っていた指輪の跡にすぎない。
そう、こともなげに答える隊長に、魔界のプリンスはスゥっと目を細めた。
「カーカッカッカッ。そういうことか! ふむ、貴様も大変だな。
……
まあそれはそれとして」
一つ言葉を区切ると、端正な唇が綺麗な弧を描く。
そのまま逞しい肩に手を置くと、悪魔が囁くように、彼はアタルの耳元に静かにアドバイスを送る。
「
……
なら、ウチの無鉄砲小僧にも訂正しておいた方がいいと思うぞ」
ニヤリと上がった口角は、反対に険しくなる相手を挑発しているとしか思えない。
「
……
なに?」
研ぎ澄まされた刃のような殺気が室内に走る。
【小僧】こと【ブロッケンJr.】に関しての話題となると、いつもこの調子だ。
本人達はどう思っているか知らないが、あまりにも分かりやすい反応はギャラリーとして些か面白みにかける。ましてや、この焦ったいやり取りの多さには、呆れを通り越して笑えてくる始末だ。決して彼が笑い面になっているからではない。
「あのガキは変なところで察しがいいからな。勘違いさせたくないなら、早いところ手を打っておけ、という忠告だ」
最後通牒、と言うには少し軽すぎる調子で言葉を紡いだアシュラマンは、さあどんな表情をしている?と愉快げにアタルを見下ろした。
しかし、その瞬間。
「うおっ!?」
ガタッ!と立ち上がった相手の勢いに、思わず後ろへタタラを踏んでいた。
「お、おい!!」
人が折角ヒントをやっているのに、なんて失礼な!そう怒鳴ろうと口を開くよりも早く。
「話は後で聞く!!」
そう一喝されてしまっては、流石の王子も息を飲むしかない。
「
………
って、こら!最後まで話を聞かんかっ!」
慌てて文句を吐くが、勢いよく出口へ向かうアタルに届いたかは定かではない。結局、言い逃げのまま部屋から走り去った男に、アシュラマンは憤慨しながら三対の手を器用に腰に当てた。
本当にどこまでも自分勝手な隊長だ!ボヤく声には確かな苛立ちが混ざっている。
だが
——
その顔はどこか清々しくて。
「
……
全く、手間のかかる奴らだ」
集合当日から妙にアタルに対してよそよそしいブロッケンJr.と、それに困惑を隠せないでいるアタル。そんな二人は血盟軍の中でも当然目立っており。
「おい、バッファローマン、ニンジャ。これでいいのか?」
アシュラマンは出入り口の影からこっそり様子を見ていた残りのメンバーへ、やってやったぞとばかりに顎をしゃくった。
「ああ、助かったぜアシュラマン。流石は魔界のプリンス、遠慮がねえぜ」
「拙者達が聞けないプライベートなこともズバッと聞く。貴殿のキャラでなければ成せぬ技だ」
「お前達、それは褒めているのか?」
あんまりな賞賛に口を尖らせる貢献者の肩を、猛牛と忍びは労いの代わりにバンバン!と叩くのだった。
1
2
3
4
5
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内