芹沢亀吉
2025-04-15 22:58:27
14137文字
Public 菊タブー
 

黄金黙示録

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算114話目。とある遊戯王カードの背景物語が気に入ったので参考にさせて頂いた。残忍描写濃い目かつ性加害描写もあるので18歳未満の方は閲覧しないように。出番自体は少な目でもしっかりと恥はかく、それが今作の楠木武。


第二章 欺瞞の皇国

 
 父政仁まさひとの退位を受け2019年に即位した清仁きよひとではあるものの、皇室内の主導権は依然として父が握り続けている上皇位を狙う実弟義仁よしひととの対立も深まり続け、この6年間気苦労が絶えない。
 
「陛下、ご機嫌麗しく。」
 
「何がご機嫌麗しく、だ!?朕の気も知らずに見え透いた世辞を!花村はなむら、貴様そんな体たらくだから朕が総理に任じた途端に半数割れしたのだぞ!」
 
 清仁に罵倒され縮こまっている花村いわおは政権を投げ出した広池ひろいけ一雄かずおの後継として日本国首相に就任するも、就任直後に実施した解散総選挙では与党の保守第一党並びに正大党が議席を大きく減らし早くも政権存続の危機に。衆議院の過半数の議席を失い与党だけでは法案や予算を成立させることが出来なくなったのは、それまで野党の反対を押し切り強行採決を繰り返してきた与党の横暴さが裏目に出た恰好である。
 
「わ、私は陛下の仰せに従い衆議院を解散したわけでして。」
 
「貴様!半数割れの件を朕のせいにするつもりか!この不忠者!朝敵が!」
 
 身内との諍いを抱えながらTVカメラの前では「仲の良い皇室一家」を演じるのは清仁にとって苦痛この上無く、TVカメラに映らない場所では日本国首相をはじめ政府要人を罵倒したり意地悪したりして鬱憤を晴らすのがこの今上天皇の日課。要するにTVが報じる皇室一家の微笑ましい様子は皇室の実態とはかけ離れた虚像に過ぎない。そんな虚像を真に受け勝手に皇室に親近感を持つ日本国民の愚かなことよ。
 
 生来の臆病さも相まって清仁に罵倒された花村は全身冷や汗だらけ。この日本国首相は実父嗣生つぐおの急逝に伴い政界入りするまで銀行員をしていてアイドルグループ「ロリポップス」に夢中だったとか。ただし政界入り後の花村は日本の核武装を公言、国家機密保護法の制定に抗議する国会前デモを敵視し「あのようなデモはテロと同じだ」と放言する等問題発言には事欠かない。その国家機密保護法にしても機密指定基準が曖昧な上情報公開に関する規則も無く野党議員等が「権力犯罪隠蔽法だ」と非難するのも至って当然な悪法だと明記しておこう。
 
 日本国憲法に詳しい方は「陛下の仰せに従い衆議院を解散」という花村の発言が引っ掛かったかもしれない。確かに憲法第4条第1項には「天皇は、日本国憲法の定める国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」、と明記され、その国事行為は「内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う」と憲法第3条にある。しかし1947年9月に当時の天皇が日本国憲法施行後にも拘らず内閣の助言も承認も得ずアメリカ軍の沖縄占領継続をアメリカ政府高官に訴えた件を見ればわかるように、天皇というのはいざとなれば平気で法令を破るもの。清仁自身父政仁の生前退位なる憲法も皇室典範も無視した暴挙により即位した身だけに憲法を無視し国政に口を出すのを全く躊躇わない。
 
「天皇陛下、申し訳ございません!誠に申し訳ございません!」
 
「うむ、今日はこの辺にしておこう。花村よ、これからも朕に忠節を尽くせ、良いな。」
 
 全身を震わせながら自分に向かって土下座する日本国首相を目にして清仁は満足した。立場が弱い相手に罵声を浴びせ土下座するまで追い込む、この今上天皇が今しでかしたのは正真正銘のパワハラだ。広池が政権を投げ出したのも毎日清仁に罵倒されるのに耐えられなくなったのが一因だとか。
 
 軍国主義、国粋主義を信奉する楠木くすのきたけし一等陸佐は事あるごとに怒鳴り声を上げ部下に暴行とその性質は極めて粗暴。今日もまた精神注入棒を振り上げ部下への折檻に勤しむ。
 
軽部かるべ貴様また怠けていたな!最近の若者は弛んどる!この楠木が直々に軍人精神を注入してやる!これはいじめでもパワハラでもない!腑抜けた貴様を早く立派な帝国軍人にするための愛の鞭だ!この楠木はいつでも貴様を大切に思っているぞ!」