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豆炭々炬燵
8113文字
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ジャンルごった煮
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【花攫い】人外×人間詰め合わせ【其の参】
Xでお見かけした素敵設定に多大なるインスピレーションを受けております。
ジャンル別人外×人間で統一、ノリと勢いでどうぞ。
※クロスオーバーものでは御座いません※
長月 菊→繰繰れ!コックリさん・コクこひ
神無月 彼岸花→深夜廻・深夜廻山の神×ユイ
霜月 紅葉→スマイルプリキュア!・アカやよ
師走 椿→令和のダラさん・ダラ日
???月 プルメリア→モアナと伝説の海2・マウモア前提のタマモア
前の季節→
https://privatter.me/page/67d2b3e5a2fc1
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【コクこひ】指切りげんまん
9月 菊 攫われる人→コックリさん
繰り返し繰り返し──、なんて残酷な言葉なのだろう。
疾うの昔、小指に固く結んだ赤い糸を辿りたぐり寄せ切断された唯一の繋がりを失い慟哭した彼の日をまるで昨日のように思い出せる。
あてもなく小さくて辛辣な陽だまりの面影を縋り付く寄る辺を我武者羅に探し求め、忘却の彼方へ消えかける天を衝く大きな耳に残る微かな透き通る鈴の音を幾度も頭の中で木霊した。
──さむい
──かなしい
──
…
さびしい
──
……
ひとりにしないで
本来の獣の手で、偽りの人の手で、俯いた顔を覆う。目蓋を閉じ歯を食いしばって喉奥に押し殺し損ねた情けない呻き声の細い尾が口端から逃げていき、無音で無風、土砂降りの心とは真逆の澄み切った香りが狭間に漂う菊の園を揺らす。
『暖を取るのに丁度いい』と宣い許可なく冷たい手を尻尾に無遠慮で突っ込んでくる強引さ。
突如襲い掛かる冷たさに強張った顔で恨みがましく睨めば、希薄な表情が和やかに蕩ける光景に出かかった文句が悴んだ手が熱で溶けるようになくなってしまった。
散々傍若無人の限りを尽くすくせ抑え気味に顔を寄せ目を瞑るあどけない姿が胸の奥をこそばゆくさせ──、棺桶に横たわる随分皺くちゃになってしまった愛おしい少女を埋め尽くす白い菊と同じ色の髪を寒々しい雪風に靡かせた。
何も見たくない。何も聞きたくない。目を閉じて耳を塞いで周囲に咲き誇る黄色、白色、赤色の花弁を散らすように首を振います。
「俺を置いて行かないでくれ
…
」
弱々しく希う彼の背後。縮こまって丸まった獣の背中を、意気消沈している成人男性の背中を忘れもしない懐かしい小さな手のひらが擦る感触にコックリさんが振り返りました。
果たしてそこに佇んでいたのは、表情筋を働かす気がまったく感じないこひなでした。切り揃えられたおかっぱ頭が小首を傾げるのに合わせ毛先が斜めに下がり、萌える緑の瞳が今にも泣きだしてしまいそうなコックリさんを無言で眺めています。
だらしなく垂れた鼻水を啜る彼の目の前に軽く握られたこひなの手がずいっと出されました。小さな小さな握り拳。すわ拳同士で語り合う合図かと思いましたがどうやら違うようです。
「こんなところで引き籠ってないで帰りませう」
「こひな
…
?」
「さっさと帰って荒ぶる狗神さんと信楽おじさんを武力制圧するのです」
物騒な事を言う抑揚のない声に合わせ緩く握られていたこひなの手から小指が伸び、その根元から伸びる赤い糸をこれ見よがしに揺らすだけじゃなく、所なさげに空に浮いていたコックリさんの手を強制的に掴み小指同士を絡めました。子供と大人。大きさの違う指がキュッと巻き付く仕草にコックリさんを中心に菊の園が押し退けられます。
瞠っていたコックリさんの目が緩々細められ彼の視界が蓄えられ始めた涙で滲み、ついにはさめざめ泣き出してしまいました。
「泣き虫コックリさんなのでせう」
大人としての矜持をかなぐり捨て泣き続けるコックリさんをこひなの小さな手が雨が止むまで狐耳の生えた頭を撫で続けたのでした。
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