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沁月
Public
ウ教×ハ♀ 相思相愛 読み切り
悠久なる想いは甘く微笑む
MHRウ教×ハ♀。夫婦/相思相愛。
2025年のバレンタインネタ。
仕事を終えて軽やかに帰路につくウを迎える、甘い香り。
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どこか改まったような、楽しげにうずうずしているようなオトモたちの様子に、今度はウツシと娘が不思議そうに顔を見合わせる。
真っ先に首を傾げたのは、ウツシの方だ。
「? どうしたんだい、みんな? その紙袋は
……
」
彼の問いに「待ってました!」と言わんばかりに、オトモたちは息を合わせる意味合いから顔を見合わせ「せーのっ!」と、一斉に紙袋の中身を取り出して、頭上に掲げ持った。
最初に「ニャア!」と嬉しそうに声を上げたのは、デンコウ。
「ご主人たち! ハッピーバレンタインニャ!」
「ボクらからの気持ちをたっぷり込めたチョコレート、受け取って欲しいニャー!」
デンコウに続いて声を上げたのは、娘のオトモアイルー。更に続いて「ワウ!」「アオオン!」とガルクも同じ気持ちを伝えるように鳴き声を乗せる。
アイルーたちが頭上に掲げ持っていたのは、金色のリボンが結ばれた、中身が透けて見える透明の袋に入った、ハート形の板チョコレート。
「え
……
!? え、え、えっ
……
!?」
予想外の展開に、娘がぽつぽつと声を漏らしつつ、アイルーに負けないほど、大きく目を見開いて、それをぱちぱちと瞬かせた。
その隣では例外なく、ウツシも驚いた様子で何度も何度も瞬きを繰り返し、口を半開きにしている。
二人はまた、顔を見合わせて、改めてオトモアイルーたちの持つチョコレートを見つめた。
デンコウが持つ袋のチョコレートには、白く細いチョコレートで『いつもありがとうニャ!』と文字が、そしてその下には何やら器用に、にっこりと優しい笑顔のウツシが描かれている。
ちなみに娘のオトモアイルーが持つ袋のチョコレートには、同じく白いチョコレートで文字と笑顔が描かれている。文言は『ご主人、大好きニャ!』、そして笑顔は、娘の穏やかな笑顔。
「ご主人、これからもよろしくニャ!」
デンコウと、娘のオトモアイルーの声が、重なって響く。
何度も何度も、現実を確認するように、何度も瞬きを繰り返していたウツシと娘二人だが、少し経ってようやくそれが落ち着いた。
かたん、と娘が両手で抱えていた金属ボウルを、そっと調理台に置く。
直後、彼女とウツシは改めて顔を見合わせ、大花が開くように朗らかに微笑むと、それぞれのオトモたちの方に弾けるように駆け寄った。
先に自身のオトモたちの前にしゃがんで腕を伸ばしたのはウツシで、その感極まった表情からは言葉にならない感動や感謝、そして歓喜が溢れんばかりに輝き宿っている。
「──あ、りがとう
……
っ!ありがとう、ありがとうっ! デンコウ、ライゴウ!愛弟子のオトモのみんなっ!ありがとうっ!! 俺たち、すっごく嬉しいっ!!猛烈に感動しているうううっ!!」
「こんな準備をしてくれてたなんて、全然知らなかったよ! ありがとうっ! えへへ、何か照れちゃうね! 本当に本当に、ありがとうねっ! 」
ウツシに倣うように彼の隣で、娘が自身のオトモアイルーとガルクを両手で抱き寄せる。
二人はそのまま、たっぷりの感謝と愛情を込めて、それぞれ自身のオトモの頭を撫でくりまわした。
とても幸せそうに笑い、温かく撫で回してくれる二人の喜び方を見て、オトモアイルーたちは「にゃふふっ」と報われたように、歓喜の吐息を漏らす。
娘のオトモがごろごろと喉も鳴らしながら、照れ隠しのように片手でくしくしと顔を擦って、大きな目を細めて笑った。
オトモたちを一頻り撫で回したウツシと娘は共に感謝を伝えた後、それぞれのオトモたちから、それぞれのチョコレートの入った袋を丁重に、穏やかな笑顔で「ありがとう」と両手で受け取った。
──大好きニャ
──あなたが、大好き
──キミが大好き!
溢れる感謝と想いが込められた、オトモたちからの甘いチョコレート。
袋の中身をじっと見つめながら、娘がほっこりと心も目尻も蕩け下げ「よーし!」と立ち上がる。
「チョコレートケーキ! あともう少し、仕上げまで頑張るぞー!」
「愛弟子! 俺、ちょっと手伝いたいよぉ」
「ふふふ、大丈夫です! はい、オトモのみんなと一緒にあちらで休んでて下さい」
穏やかながらも有無を言わせぬ英雄の迫力で「どうぞあちらへ!」と両手で畳の間を示した娘の様子に、ウツシが小さく笑う。
この声とこの笑顔の時の妻は、頑として譲らないことを知っていた。
彼は受け取ったオトモたちからのチョコレートを一旦、調理台の棚に置きながらオトモたちと顔を見合わせ、擽ったそうに笑い合い「あっちで
卓袱台
ちゃぶだい
を用意して待ってようか!」と、ぞろぞろと
框
なまち
から畳の間に上がって行く。
ウツシが壁際に立てかけられていた卓袱台を軽々と畳の間の中央に設置し、その周りにオトモアイルーとガルクたちが座布団を置いて。
案の定と言うべきか、用意らしい用意はすぐに終わった。
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