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ぎんちき
2025-02-10 21:42:20
12986文字
Public
ブン木手
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過去作まとめ②
合宿所設定かつ、明るい雰囲気のものをまとめました。
1.染まった
2.不可抗力につき
3.怪奇!空飛ぶポメラニアン
4.冷たいものを
5.ある朝のこと
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怪奇!空飛ぶポメラニアン
「なんだそれ!?」
丸井の声が食堂内に響き渡る。周囲からの射られるような視線に気恥ずかしさを覚え、俯いた。そして、顔は下げたままに目線だけを上げて前方の席に座る男を見る。自分がこんな思いをすることになったきっかけはその男にあるというのに涼しい顔だ。
「
……
ポメラニアンが見える、って何だよ」
自分への注目が去ったタイミングで話を続けた。
「言葉の通りです。たまに見えませんか? 道を歩いているのではなく
……
空間に」
真面目な顔をして大ボケをかましてくれるものだと丸井は思う。突飛のないことを語る男
――
木手の口ぶりは余りにも平坦で、まるで数学の公式の話でもしているかのように当然の如きものだった。
「ああ、ほら。今はアナタの周りにシマエナガが」
「シマ
……
何?」
そう問う丸井に木手はスマートフォンの画面を差し出した。映っていたのは、白くて丸い鳥。
「かわいい」
「でしょう」
「あ。いや、うん。それはそうだけど、そうじゃなくって!」
それが自分の周りに『見える』とは何か、と。木手は首を振った。
「私も知りたいですよ」
聞けば、ここ数日のことだと言う。テニスをすれば打球音が文字として現れ、誰かが話せばその人物の感情を表するようなものが周囲に飛ぶ。
その中でも特殊なのが
「丸井くんの周りは変なんですよ。突然花が出たり、丸くて柔らかそうな
……
シャボン玉のようなものが飛んでいたり。挙げ句の果てに、ポメラニアンとシマエナガときたものです。何なんですか、アナタ?」
別に自分が何かをしたという訳でもないのに、何故か責められるようなことを言われて黙っていられる丸井ではなかった。少し揶揄ってやろうと思いつく。
「それってさ、お前が俺のこと意識してるってことじゃねぇの?」
「はい?」
「だって。他の奴らと違って見えてるんだろ? それってさ、漫画とかなら特別な相手とかじゃん」
こう言ってから、丸井は木手の状況が漫画のコマのように見えているということだったのか、と気づいた。わかったところで何か進展のあるわけでもないが、そうであると伝えようと顔を上げた、その時。
「
……
っ、君を、意識なんてしてませんよ!」
「花?」
そう。花。木手の後方の空間に、それが見えた。
「もういいです。アナタに話したのが間違いでした。お先に失礼します」
「あ、午後の自主練!」
早々に立ち去っていった木手へ、声をかけるとチラ、と振り返った。眉間には深々と刻まれた皺。しかし
――
周囲には、『丸くて柔らかそうなシャボン玉のようなもの』が飛んでいた。
丸井が手で目を擦り、改めて同じ方を見たとき、既に木手はおらず、シャボン玉も消えていた。
「な、なんなんだよ、これ?」
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