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桜霞
2022-10-01 17:32:56
17250文字
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【twst夢】フライパンは無敵
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パーソナルストーリー
#twst #twst夢 #not監督生 #女監督生 #オリ女主 2020/12/26にpixivに投稿したものの再掲です。
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【寮服】「うちの寮生になりたかったらまず死んでもらわなくちゃいけないなんてこともないから安心してくださいね!」【SSR】
クリスマス、とは一般に、キリスト教関連のイベントだとされている。日本ではケーキやチキンを食べてツリーを飾り、恋人や家族と一緒に過ごして年末年始の準備を始める日でもある。数日開けたら大掃除だとかおせち料理の準備だとか、日本の伝統行事が待っているのだ。和洋折衷ここに極まれり、宗教ちゃんぽんもいい加減にしろといった具合である。
話を聞いたクルーウェルは、「まぁ、宗教は国境を超えるからな」とてきとうな返事をした。でもさぁ、と目を皿にして布をちくちく縫っているリンは、どこかぼんやりとした口調で言った。
「いっくら神様が八百万いるからって、一神教の神様まで受け入れるこたァなくない?」
「やおよろず」
「800万ってこと」
「お前の国には一都市分の人口に相当する神がいるのか?」
「概念的な話ですよ、それだけいろんな神様がいるからなんでも大事にしましょうねっていう」
どちらかと言えばもったいない精神ですねと注釈して、リンはばさりと布を広げた。ついでに針に通した糸の長さを確認する。
「まぁでも、クリスマスにプレゼントを配るサンタクロースは神様じゃなくて聖人なんですけど
……
」
「せいじん」
「えーと、神官とか、聖なる人、みたいな」
「
……
そのサンタなんたらとかいう奴は、なんでまたこどもにプレゼントなんぞ配るんだ」
「真っ赤な鼻のトナカイだか馬だかの牽く空飛ぶソリに乗って世界中を飛び回るんですよ」
「待て、一晩でか? 速度は一体どうなってる」
理系の教師らしい着眼点に、リンはケラケラと笑った。魔法で衣装を整えながら、クルーウェルはなんだか調子を崩されたような気持ちで、「そもそもこいつの世界に魔法はなかったはずだ」と眉間に皺を寄せた。
「くっく
……
クソ真面目に考えるとソニックブームとかで地表がどえらい事になってるみたいですよ」
「実際はどうだったんだ」
「そりゃ、マジカルなミラクルで」
「学園長のようなことを言う
……
」
「ふふふ」
違いますよと、リンは穏やかに言った。
「サンタさんなら、いま、私たちがやってるでしょ」
そういうことですよ、と柔らかな声音が滑らかな生地に降り注ぐ。クルーウェルは何度か瞬いて、自分の手元できらきら光る衣装に視線を落とした。
「
………………
なるほど」
「あイテ!」
リンが肩を跳ねさせる。クルーウェルは呆れた風情で彼女を見やった。
生徒たちをほとんど全員、実家へ送り出した翌日、ウィンターホリデー初日。クルーウェルは珍しく一日だけ学校に居残って、リンと一緒に裁縫へ精を出していた。
生地の色は深いモスグリーン。差し色は白、時折目立つ蜘蛛の巣の模様の色は黒。トップスはキャバルリーシャツに、骨のようなコルセットベスト。アンダーは脛の辺りまで長さのある、ハンカチーフ・ヘム・スカート。取り外しの可能なベルトがいくつか、だらりと弧を描いている。
アウターには燕尾服を思わせるジャケット。極めつけに、編上げの、重ためなグラニーブーツ。ハンカチを斜めにしたようなスカートの裾の間から、ちらちらと結び目が覗く。厚底なので、少し慣れないかもしれない。
おまけに、黒のトーク。中世貴族がよく身に着けていた小さな帽子とも取れない帽子は、果たしてユウの顔を黒いレースで飾り立ててくれていた。
仕上げは、白黒のリボンをネクタイ代わりにリボン結び。グリムは機嫌よく「お揃いだな!」と笑った。そんなグリムにも、今回、ジャケットの代わりにケープが用意された。
ユウは終始、あ然としていた。それでもその表情は喜びを隠しきれていなかった。厚底なブーツなんて履いたのは初めてだったので、まず目線の高さにびっくりしたし、全体的なセットアップひとつでスカートの存在が男性的になるなんて思いもしなかった。
「おっ、ぴったりっぽいね」
リンは少しだけ眠そうな顔で、にっこり優しく微笑んだ。
◇
朝早く、枕元にあるこんもりとしたプレゼントに、ユウはベッドから起き上がろうとして転げ落ちた。それまでの寝相のせいもあるが、ベッドによじ登る時にグリムが「さみぃ」と呻きながら自分の方に落ちてきた時は苦笑する他なかった。
「ハロウィンぶりだなぁ」
めりーくりすます! とひらがなで書かれてあるそれに、もうサンタさんを信じる年頃でもないユウは思わずくつくつと笑ってしまった。肌寒かったが、素敵な目覚めには違いなかった。
外は曇っていたが、徐々に明るくなってくる。今度はなんだろうなとガザガサ包みを開けたユウは、深緑の色をしたそれに、興奮を超えて、いっそ全身から脱力してしまうような歓喜を覚えた。
寝ぼけ眼で、なんだこれ、とグリムが新しい包みを持ち上げる。
「ふたつも?」
なんて気前のいいサンタさんなのだろうか。見覚えのある字体に首を傾げながら包みを開けると、今度は真っ白なジャケットとスカートが現れた。
「うわぁ」
寝起きの目には眩しくて、思わずばさりと広げてしまう。その拍子に、ひらりと何かがベッドに落ちて、グリムの頭に被さった。
なんだこれ、とそれを拾う。
そこには、白地に緑色の刺繍で、「BIRTHDAY PUPPY」と刻まれていた。その裏に、「今日の主役!」と派手に縫い付けられている。
「
…………
っふ、ふふ、」
笑った拍子に、ころりと雫が頬を転がった。ユウはグリムと毛布替わりのストールを引っつかむと、裸足のまま勢いよく部屋の外に飛び出した。その勢いはリンの部屋に突入しても衰えなかった。
「リンさーーーん!!!」
「んぶ、」
ぼふん、と勢いよく古いベッドにダイブする。
「へへ、えへへ」
「なあに、あさからごきげんねえ」
「ふひひ、はい! サンタさん来てくれたので、ご機嫌です!!」
「誰か来てたのか?」
怪訝そうなグリムはまだ眠そうだ。それもまとめてリンにぎゅうと引っ付いて、ユウはくふくふ笑いながら足をばたばたさせた。良かったねえ、と髪を梳きながら頭を撫でてくれるリンの指が、ひどく心地よかった。
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