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『新食感』
夕暮れの色を愛で楽しむ間もなく
飛ぶように迫りくる夜の手前で
倹しい軒先に灯りがともる。
丈高い銀色の青年は手燭とともに戦友を迎える、
だが半魔の表情は険しくなった、その灯りの炎がひどく揺れ、炎の照り返しの中白い指の背には、今朝は一つもなかった赤い幾条が見て取れたから
「多少てこずったか、お前としたことが」
「ああ」
だがそれは荒事によるものではなかったのだと、穏やかな空気が教えてくれる
「アバンの『良かれ』を俺が上手く扱えないのはいつもの事だ」
「またか」
「そんな顔してくれるな、残念ながら子供の頃から今もずっとなのだから」
乗騎の"竜"装を外すのを手伝う彼の言葉にあまりに容易く混じるその名が気にならなくなるのはいつか、同じほどの時間を過ごした時?それとも大切過ぎて日頃それほど口にはしない彼の父、もしくは第一の養父に思いを馳せる時だろうか
今日の午後、アバン先生が規格外野菜のお裾分けで若い二人の愛の巣の扉をノックしたという
大味かもしれない、鬆(す)が入ってるかもしれない、おでん
―――よりはそうだ、みぞれ鍋なんかどうですか、旅の初めの頃、ナイフの使い方が上達するまではあなたによくお願いしましたよね、と。
おかげで右手が久しぶりにブルブルいいだした、まるで何かたまらなくおかしくて笑ってるみたいだ、そんな軽口に何か言いかける半魔を押し止め
だがきっとお前には新食感だぞ
そう間近で囁いた声は、先日彼への土産にしたこの季節の金色の果実の香りがした。
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