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enoki181
2024-12-11 18:39:43
12362文字
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リプレイ
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【ストリテラ】すみおよぐ 春の巻
俳優:黝さん、エノキ
シナリオ
https://talto.cc/projects/dagCgVBVKt-iDzdJLF96Z
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春。花の香りに溢れ、生命が爛漫に満ちる時期。
あなたたちは花見のために外へ出て、穴場の桜並木があると聞く。
美しい桜並木を眺め歩いていくと少しずつ喧騒が遠のいていく。
どこまでも長く続くこの桜の道は、果たして本当に現世(うつしよ)なのか。
そう気づいた頃には、異様な静寂と並び立つ桜だけが、作家と金魚を囲っている。
桜に攫われ、異界に迷い込んだ作家と金魚の話。
◆オープニングチャプター:桜の迷い道
春爛漫の時期。桜の咲く公園では花見や屋台が開かれ、とても賑やかだ。
作家と金魚もこの春の陽気につられてぶらり花見をしにきた。
目深に帽子を被った屋台の男から、「穴場の桜の名所がある」と聞きつける。
教えてもらった道順を辿り、山へと続く桜が満開の並木通りを見つけた。
紅璃:先日こいちろーとお花見に行く約束をした。
とってもうれしい。
そんなわたしとこいちろーは今約束したとおり、お花見をしに行くために2人並んで歩いていた。
お花見には色んな人が来ているんだとこいちろーに教えてもらったけど、わたしは途中疲れずにさくらって花を見て回れるかしら?
お花見に行くためにと、こいちろーが新しく白いふんわりしたワンピースを買ってくれた。靴もお揃いの白色だ。
まるで絵本の中に出て来るお姫様みたい。
こいちろーがいつも読み聞かせてくれるから、わたし、いろんな本のことや人のこと、わかるようになってきたのよ。
こいちろー、わたしとってもうれしいの。
わたしは花見に行く道中にもかかわらず、くるくると回ってこいちろーに真っ白なわたしを見てもらう。
「ねぇ、こいちろー。紅璃きれい?」
三田 小一郎:「綺麗だよ」
紅璃の赤色の髪は白によく映える。人混みでも見失うことはないだろうと、うっとり笑った。
しかし、人も屋台も多くて、落ち着いて花見ができないのは不満だ。
先程からよくぶつかるが、邪魔だとばかりに嫌な視線を向けられる。次はそんなことにならないように、ぎゅっと紅離を抱き寄せる。
「はやく、二人だけのとこに行こうね」
先程目線の見えない屋台の男に教えてもらった、穴場だという場所。
山をあがっていくのに紅離は大変そうだ。女物の靴はこういう用途に向いていないよな。
抱きあげようかと思ったとき。
ふっ、と視界が開けた。
紅璃:こいちろーと一緒に綺麗な桜を見ながら歩いていくと、少しずつわたしたちの周りから聞こえていた音が小さくなって、終いには聞こえなくなってしまう。
わたし達は男の人に教えてもらった道を辿って、桜が満開の並木通りを見つける。
幻想的でとても美しいこの景色は本当にこの世なのか、それともあの世なのか。それすらもわからない妙な感覚に襲われる。
「ここって、あのおじさんが言っていたところ?」
そう、隣にいるこいちろーにわたしは聞く。
なんだかこのしんと静かな空間がやけに落ち着かなくて、わたしは不安になってこいちろーの手をきゅっと握った。
2人が離れ離れになってしまわないように。
三田 小一郎:紅璃の不安が伝わってきて、安心させるためにぎゅっと握り返す。
とても冷たい手だった。
金魚である彼女の手が冷たいのなんて当たり前で、いつも通りで
……
なのになんで僕はこんなに嫌な気持ちになっているんだろう。
「そうみたいだね
……
大丈夫、穴場だってだけだよ
……
」
大丈夫、と自分自身に言い聞かせているのはわかっていた。
実際、言ってるうちに大丈夫だという気分になってくる。現世でないみたいな、綺麗すぎる光景だけど。
というか、ここが現世でなくたって、何にも困らないじゃないか
……
?
僕と紅璃に嫌な視線を向ける奴はいない。
作品のことを考えなくてもいい。僕の存在理由とか、名を残すだとか、そんなのもどうだっていい。
「
…………
」
ふらふら、桜並木の下を奥へと歩いていく。どこに繋がっているとも知れずに。
▼結末
美しい桜並木を眺め歩いていくと少しずつ喧騒が遠のいていく。
どこまでも長く続くこの桜の道は、果たして本当に現世(うつしよ)なのか。
そう気づいた頃には、異様な静寂と並び立つ桜だけが、作家と金魚を囲っている。
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