すなつき
2024-12-07 10:23:03
18315文字
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ライアキbioパロ まとめ

Xへ投下中のbioパロまとめです。
全て格納済み

簡単な設定

街ひとつ飲み込んだホロウの中に溢れていたのはエーテルにより侵蝕されたエーテリアス……ではなく、ゾンビになった人間たちだった!みたいな話。
エーテリアスと呼んでいるけど、外見は基本的にゾンビ。他に寄生型がおりこちらは見かけは普通の人間なので、マジニやガナード系。定期的に掃討しないとホロウ内がゾンビだらけになってしまうため、政府機関だけでなく民間のエージェントも出入りしている。銃火器持たせたかっただけ。

パエトーン
アキラとリンと、ときどきFairy。
ホロウの内と外を繋ぐ特殊な無線技術によりリアルタイムでサポートしてくれる伝説のプロキシ。主に救出任務が多い。
直接ホロウ内に向かうこともあり、兄のスナイパーとしての技術は高い。妹はややトリガーハッピーなところがあるので基本的にホロウに入るのは兄のみ。




登ったばかりの高い鉄塔から降りた二人は、アキラの案内の元出口へと向かって進んでいた。
的確なルート選択により、遭遇するエーテリアスは数える程である。それもアキラの正確無比な射撃により遠距離から安全圏を保つことに成功していた。

「普段はエスコートする側なんだけど、あなたのような格好いい人にエスコートされるのも悪くないね」
「それは、ふふ、光栄でございますね」

結局ほぼ活躍の場がない、M1873ウェスタンカスタムを片手で持て余しながらライカンはゆるりと太い尾を揺らした。
良く利く耳と鼻で周囲を警戒するもパエトーンのルートは完璧に等しいもので、今のところライカンの仕事は荷物持ちくらいで目立ったものはなかった。それでも彼を守るように先頭に立ち、不足の事態に備えることを怠らない。故に、違和感に気がついたのはライカンの方が僅かに先であった。

背後より、エーテルの甘ったるい不快な臭いが急速に強まったのだ。それはすでに一度嗅いだことのある臭いだ。ぐ、とライカンの太いマズルにシワが寄ったのと同時にアキラが同じ方向へ視線を巡らせた。

『お兄ちゃん! 斧のやつがそっちへ向かってる!』
「了解、騒がしいパーティの音が聴こえるよ」

アキラはスロートマイクを指先で叩き、PDAに示されたルートの確認を行う。まだ距離はあるものの、巨大なエーテリアスの上げる咆哮がビリビリと周囲の空気を震わせアキラは咄嗟に耳を押さえた。

「行きましょう! 奴との戦闘はオススメできません!」
「そのようだね。ルートの変更は無し、このまま進むよ。さっきの咆哮で他のエーテリアスも寄ってくる可能性がある! 充分に気をつけて行こう」
「畏まりました。それでは、失礼を!」
「え、ちょっ、アルファさん!?」

アキラがPDAをウエストポーチに押し込むのと同時にライカンは彼の腕を引き、片手で容易くその体を持ち上げた。
突然の浮遊感に目を白黒させるアキラに短く謝罪を述べながらもライカンは一秒足りとも惜しいとばかりに走り始めた。
彼が背後のエーテリアスから距離を保ったまま逃げれるとも、己のスピードについてこれるとも、到底思えなかったのだ。加えてそれほど体力が有るようにも見えない。スナイパー故か、近接には向かないアキラの安全を保つためにはこれが最適だとライカンは判断した。
何か言いたげな顔をしていたアキラは、それでも最良を考えて抱き上げられることを甘んじて受け入れた。レッグホルスターからM92Fベレッタを抜き、ライカンの肩を支えに後方へ向かって銃口を向ける。どこに潜んでいたのか小さいくせに厄介な虫型を立て続けに三匹ほど落とす。
スピードを重視して走っているためアキラを気遣うことのできないライカンはそれでも的を外さない彼の腕に内心舌を巻いた。想像よりも軽い、成人男性とは思えない痩身に心配が勝ったがどうやら杞憂のようである。
そもそも彼は以前よりホロウ内での活動を行ってきたかの有名なパエトーン、その片割れである。

フッ、と短く息を吐き出し、ライカンはアキラを抱えていない方の手に彼より託されたM1873ランダル、ウエスタンカスタムを構えた。八角の厳ついバレルは金属製のためショットガンゲージの衝撃に充分耐えられるものだ。故に重量が増したことがネックである。装弾数は低く、飛距離も短い。近接が一番威力を発揮する、このウィンチェスターモデルはしかしそれらを上回る魅力がある。

「いいでしょう? 映画に出てくるシーンに憧れてね」
「ええ、アレでございますね。男ならば、一度は試してみたくなりましょう」
「ふふ、アルファさんもかい?」
「ええ、私も、男、ですので」

ちょうどよく、中型のエーテリアスが進路上に流れ込むように進に姿を現した。大股で跳ねるように駆けるライカンが視認して一秒足らずで到達できるほどの近距離だ。
ライカンは片目を眇めてランダルを突き出した。狙いを定める必要はない。目の前に迫った大きな的ならば目を瞑っていたところで外すことはないだろう。
ライカンの太い指先が迷うことなくトリガーを引く。
押し出されたショットガンゲージが鉛の粒を拡散しながらエーテリアスの体を吹き飛ばしズタボロにしてしまう。恐るべき威力だ。
リコイルで浮き上がった銃身をそのまま後方へ倒すように、トリガーガードを前方に押し出し、ループレバーにうまく指を沿わせればぐるりと砲身が一回転。ガシャンと滑るような音でチューブマガジン内から給弾された弾丸が装填される、スピンコックと言われるリロードの技法。アンダーレバー式を採用されたこの銃のなせる技であり、憧れる者も多いテクニックだ。
そのまま、ライカンは二体目に狙いをつけバレルを突きつけて再びトリガーを引いた。複数を巻き込んで吹き飛ばし、彼らの前に道が開かれるころには回転したランダル内へ次弾は既に装填済みだ。

「カッコイイね、アルファさん。惚れちゃいそうだ」
「おや、光栄ですね。では後ほどデートのお約束をさせていただいても?」
「おっと、随分積極的だな」
「がっつく男はお嫌いでしょうか?」
「いいや、僕の好みは肉食系だから大歓迎だよ」 

緊張感のない会話を交えながらもアキラは後方への警戒は怠らない。斧の姿は見えないものの、地響きのような足音は徐々に近づいてきている。
ライカンの肩にかけられたアキラのバッグの中から細長いチューブマガジンを抜き出し、ランダルの六発目の発砲音を聞く。何も言わずとも銃口を真上に向けて立てられたそれから空のマガジンを抜き取り、装填済みのマガジンを差し込む。
ランダルは再び驚異的な威力の散弾を撒き散らしながら多々のエーテリアスを葬り去った。屍を越えて、木々の多いエリアを猛スピードで抜ける。

想定よりもかなり速く二人は脱出ポイントへと近づいていた。このままビル群の隙間を抜ければホロウの外へと続く裂け目がある。市街を徘徊するエーテリアスを避けながら、進むライカンの耳は直ぐ側で息を飲むアキラの異変と、風を切る音を捉えた。なにか、と声をかける前に頭を抱えられ、

「伏せて!!」

と怒号のように響いた声にライカンは咄嗟に彼を抱え地面を転がっていた。頭を抱え、アキラを守るように何度か転がりながらも体勢を立て直す。

「パエトーン様ッ!」
「無事、だよ。ありがとうアルファさん」

土埃に汚れながらもお互いの無事を確認した二人は先程までの場所に、大きな斧が深々と突き刺さっていることを確認した。不快な匂いが急速に強まり、咆哮がすぐ近くで響く。
耳を押さえ僅かに怯むアキラを背後に押しやりながらライカンはグルルと低く喉を鳴らした。

斧のエーテリアスが口からぼたぼたと黒い液体をこぼしながら歪んだ歯列を見せつけて笑っていた。