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さもゆ
2024-11-25 12:08:55
22722文字
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【スティレオ】Moderation
節度。副官の愛情のうち性愛だけが少年に向いちゃったよどうしようっていう、始終レオくんが「スティーブンさん怖え」ってなってるスティレオ始まりそうな話。
※一瞬レオくんがモブに襲われる。
※副官の女性関係とかも捏造してる。
※ちょっとだけ無理やり表現(?)がある。
1 節度 これ。
2
性的敗北
3
かわりになってよ
4
燃料
2020.8.6 たまごのお粥pixiv投稿作品
1
2
3
4
5
腕の中に囲って閉じ込めた子どもは亀のように身を縮めて横向きに丸まった。
亀にはできない体勢だなとどこかぼんやり思いながら、膝を抱えている手に自分の手を重ねると、大袈裟にびくりと跳ねて更に強張った。いや、大袈裟ではないんだろうが。むしろ、これから俺がすることを予想しているわりに、抵抗は静かなものに思われる。行き過ぎた恐怖で喚くこともできないのだろう。加害者として正しく被害者のことを分析している自分に嫌気がさしてくる。自嘲じみた笑みを零すと、体の下の子どもは小さくヒッと悲鳴を漏らした。もっと大声を上げて、盛大に抵抗してくれていいのにと思う。
この少年をめちゃくちゃにしてやりたかった。
めちゃくちゃにして、泣かせて、こちらの心臓に皹を入れたことを知らしめてやりたかった。
有り体に言えば、八つ当たりだ。
暴力性と性欲が、自分の中でも伴っている。性犯罪者予備軍。
……
いまから予備軍ではなくなる。
得意な制御が三日で効かなくなり、とうとう職場の部下をレイプしようとしている自覚は、やけに冷静で滑稽だった。それでいてやめようとしない自分に理不尽に襲われている少年を本当にかわいそうだなと思う。かわいそうで、守りたかったはずなのに、それがとてもかわいいと感じる。末期だ。
衣服の上から曲線を描いている腰、腹へと手を滑らせると、スティーブンさんとシーツに押しつけている顔から名を呼ばれた。癖のひどい髪から覗く左目は硬く瞑っており、こちらの名前を呼んだというよりは誰ぞに祈りをあげたふうに見えた。
「なに」
優しい声が出た。だって、矛盾しているが、優しい気持ちだったのだ。
赤毛の男が慈しみを持って花を手折るのと、同じことが、自分にもできる気がしていた。
「す、すてぃーぶんさん」
「なんだい」
「やだ。やめてください
……
アンタおかしくなってるんです。お願い、ちゃんと、見てください。おれですよ
……
」
「もうずっとおかしいよ。それに、ちゃんと見てる。レオ」ただでさえ顔の半分をシーツにめり込ませ、僕から少しでも距離を取ろうとしているのだ、見えている片目すら隠しかけている癖毛が邪魔で、指で払う。糸目がぎゅっと、この上なく引き絞られた。「ぶさいくな顔するよな、きみって」
「ひ、ひどい」ぐすり、啜り声。「でも、そのぶさいくを、襲いかけてんですよ。よく見て」
「自分を卑下して身を守るのはやめた方がいい。相手を叩きのめす方法か、きみはもっと助けを呼ぶ方法を覚えるべきだ」
「クラウ
――
ッ」
「最善だけど、得策じゃないな」服の内側に手を突っ込んだ。
彼にとって最も助かる見込みのある名は、悲鳴に変わって喉奥に消えた。膝を抱えていた手が僕の腕を掴み、意外なことにわりと力があって、腹を撫でた手を解きにかかってくる。それでも解けないと知るや、あばらを辿って胸まで辿り着いた僕の手を彼は抱き込むようにして丸まった。なるほど腕を引き抜けなくなる。けれど手首から先は動かせるので、指先で胸を撫で擦った。
「やっ、や、やだっ」
縮こめた首を振り、拒絶する様は、どうしようもないほど庇護欲と、その正反対の欲を掻き立てた。
「嫌なら離して」
「は、離したら、もっと怖いことする、絶対するっ」
「その話し方どうにかならないか? かわいいんだよな」
「アンタおかしいんだ!」
だからそうだってのに。
指の腹がつんと尖った頂きに触れる。少年はびくりと反応して、益々小さくなる。外部からの刺激を遮断しようとする恰好は、憐れで不可思議だった。蹴ろうとか殴ろうとか思わないのだろうか。まさかカツアゲのときもこうしてやり過ごしているわけではあるまい。すると、初めてのウィルスに侵されるように、抗体をつくっている最中なのかもしれない。犯されてから対処の仕方を知るのでは遅いし、そもそも犯す方が全面的に悪いが、その怯え方は悪いふうに映った。つまりいじめたくなる。
寒いせいだろう、ちょっと触っただけですぐに芯の硬くなった乳首を抓むと、ひうっと露わになっている横腹が引き攣れた。肉のある腹だ。あたたかく、おいしそうな。そのまま指先で捏ねたり弾いたりしていると、ようやく抵抗の仕方を思い出したのかじたばたと足で僕の胸を押しのけようとしてきた。「やっ、やっ、いやだ! どけ
……
おどけください!」声も文法も引っ繰り返っていた。俺はまた優しい気持ちになって片方の耳に冷たい唇を寄せる。
「好きなんだ」
「ひ、」
「好きだから、抱きたい。普通のことだろ? ありがとう。初めて抱く感情なんだ」
「ひう、う、好きじゃない
……
っ」そう否定したあと、光明を得たふうに喉仏が動く。「でも、好きなら、本当にアンタが俺を好きならっ、無理強いしたりしない
……
!」
「それはきみの思う『好き』だろう。俺のはそんな綺麗なものじゃない。なあ、なぜ視界を支配しないんだ? 忘れてるのか? さっきからずっと、閉じたまつ毛が震えてるぜ。きみはそれを使うことができるはずだ」
心の底から、助け船を出す思いで口にした言葉は、彼の唇を引き結ばせ瞼を持ち上げさせた。青い閃光が迸り、けれどそれは一瞬で、緩やかに薄い皮膚の内側に収まっていく。再びぎゅうと両目を瞑ったレオは、どうやら何かを思案しているらしい。俺の言葉の真意を探っているのか、探ったとしても言葉通りの意味しかこめていないから、よほど無駄な戸惑いだが。
普段大口を開けてものを食べたりひとと話している唇が小さく動いた。
「
……
俺がアンタの視界を掻き回すのと、俺が血管の内側から凍るの、どっちが速いんすか」
「へェ」驚嘆の声を上げる。「
……
試してみたら?」思いのほか、部下に警戒心があって嬉しくなる。
俺が仲間相手に氷の針を打ち込める人間だと思われている。
大いに結構。
そうでなければ、困る。
疑ってくれるのが、恐ろしいと思ってくれることが、何より大切だった。そうされたら俺は俺でいられるし、氷の冷たさに身を置いていられる。もっと鋭く、心臓の柔い部分を覆い隠せる分厚い氷の刃物になれる。
外部の音が完全に閉ざされた。
窓の外の喧騒は結露となって外側の硝子に張りつき、窓の内側、少年の小さく狭い部屋は痛いほどの静寂と冷気に包まれる。
部屋の音は外に聞こえないし、胸に這わせた手の下の早鐘を打っている心臓の鼓動も、手のひらに伝わるだけで音としては聞こえない。
少年の引き結ばれた口に変わって、鼻から白息がひっきりなしに漏れ出ている。呼吸をしている。寒さに震え、恐怖で委縮し、心臓を働かせて、全身全霊で呼吸をしている。そこでふと荒唐無稽なイメージが湧いてきた。俺が想像した彼のかわいそうな姿は、この健康的な肌が血と土で汚れみすぼらしく地面に転がる様、またはひとの形を留めていられないほどのスプラッタになる光景、そういうものだったが、もし彼が死に絶えHLの結界墓地に埋葬されることになったらそのときは、眠っているかのような穏やかな遺体を透明な棺に入れ土の中に埋めてやりたくなった。透明な、冷たい棺がいい。凍った部屋。この部屋のような。
まあ実際死んだら遺体は残らないか、欠片が残ったとしても彼の場合は実家に届けてやらないと駄目だろう。両親と、妹の住む家へ。
「ミシェーラ嬢のためかい」
正解のように思われた。
「妹さんに後ろめたくて、自分のために目を使わない」
そこで彼は初めて睨んできた。
といっても糸目のままだったが、目より分かりやすい口が思い切り不機嫌に歪む。
「この状態で、ミシェーラの名を口にしないでください」
相変わらず震え声だったが、最も意思の強い声だった。
「
……
あなたがいまクラウスさんの名前を呼んでほしくないように、俺も妹の名前を出されたくない」
「なるほど」
ひどく納得のいく理由だ。そこをいじめる気にはなれなかった。お互いの一等大切な存在を、しかも彼にとっては血の通った身内の名前を、強姦未遂中に持ち出されるのは気分が悪い。「それで、目を使わない理由は?」促すように胸を撫でると、撫でられたくないレオは慌てて早口になる。
「か、考えてるんです」
「何を?」
「どうやって、この狂った状況を抜け出すか
……
っ! 義眼を使ったところでっ、げ、玄関、凍ってるし、あなたに確実に反撃される。助かる見込みは薄いです」
「それさ、」僕は鼻が出そうになってスンと啜った。「待って、面白いな。全部僕に喋っていい内容だったか? それ」
「いいんです、っ」乳首を抓むたびに息を呑む。「
……
あ、なた相手に、腹芸とか、できる気がしないっ。だから何か早く思いつかないと
……
!」
喋っている口がとんでもなく愛しくなってキスをする。「ヒっ」怯えた彼はすぐさま口を閉じ、合わせ目を僕はつるりと舌で舐めた。「~~
……
!」声にならない悲鳴を上げている。
まつ毛の生え際まで見える距離で、楽しくなって囁きかける。「いいね。一生懸命考えて。逃げられるなら、頑張って」大人しく震えているのは見せかけで、震えながらもずっとこの腕の中から脱そうと機会を窺っているのが大層好ましい。いじらしく、応援したくなる。
それで逃げることができるなら、それはそれで良かった。かわいそうな目にならなければいい、その心も本当だったので。自分の手の届かないところまで行ってしまえば、欲する心もまた凍りつくはずだ。
……
きっと。
「スティーブンさ、」
「俺はお前に熱湯をかけられたけど、きみにはその自覚がない。氷が溶けたら、何ができるか分かるかい?」
「へ、? み、水」
「正解」
硬い乳首をこりこり弄っていると、その先の言葉を待っていた少年はびくりと唇を噛んだが、僕がにこにこと喋らずに見下ろしているのを見上げて「
……
? え、う?」と分かりやすく混乱した。ハハッと笑ってしまう。
「いまの問いかけに意味はないよ」
「
……
!」ショックを受けた顔をする。「は、え、は
……
怖ァッ!!!」
「何かの比喩だと思った? 解決の糸口になるかもしれないと、期待しただろ。全くの無意味な会話だよ」
「こわ
……
っ、こ、怖い、ホラーだよぉ
……
もうやだ、も、怖いぃぃ」
「お、とうとう泣く?」
「う、う~~
……
! うえ、うぐ
……
」
「我慢しなくていいよ。ぶすだなあ」
「ウワァーーン!!!!!」
凍った窓硝子がビリビリ震えた。
「そんな大声出せたのか」
「も、やだ!! 喚いてやる、声もなしにされるがままだと思ったら大間違いだ! ぼくの声は響きやすいってクラスでも近所でも言われてましたからねェ!!」
「それは俺も思うよ。耳をすませてごらん、氷の壁に反響して全部跳ね返って来てる」
「俺の部屋ァアア!!!」
唾と白息と耳をつんざく悲鳴が一緒くたに浴びせかけられて鼓膜がキンとなる。とうとう、ようやく、かわいそうなことに、理不尽な目に遭っている己の境遇に対しての我慢の限界を突破したんだろう。それまでが嘘のように涙を零し始めた少年はぐすぐす泣いて身を捩った。俺の手を巻き込んでいた腕を放し、小さな子どものように目許へ拳を押し当てて憐れぽく喋り出す。
「もーやだ、ほんとやだ、いっつも助け呼ぶのが大事だって言ってくれてた大人が襲ってくるし、くらうすさんに祈らせてくれないし、そんなん、くらうすさんに助けてって言えないなら誰に助けを呼べばいいんすか、祈ればいいんすか、神さまっすか、神さまなんてクソなのにぃい
……
」
興味深くなって観察を決める。
ぐすんぐすん、すんすん、鼻水を啜った少年は呪いごとを吐く調子で続けた。
「そう、神さまなんてクソッタレなんす。おれずっと知ってたもん、みしぇーらの足のことで祈ったこともあった、かーさんもよく教会に通ってた、でもあんなんは何かに縋っていたいだけで、意味なんてないんだ。教会の十字架はただそこにあって、祈りに来る人間を見てるだけ。見守ってるだけ。でもそれでも良かったんだ、何もしないなら、それで
……
っな、なのにっ、現実にいた神は、それよりひどいやつだった。足だけじゃなくてっ、み、みしぇーらの目も奪っ
……
」喉が痙攣する。「でもおれはそれよりもっとクソ野郎なんだ、うわああああん」
ひぐえぐ泣きながら吐露したものは、こういう最高に最悪な状況でなければ出ないものだったのだろう。嫌なことがあると過去に起こった物事を連鎖的に思い出し、もっと嫌な気分に落ち込む。彼はいまそれなのだ。事務所で天真爛漫に振る舞い、病院で誰かのため怒ったり泣いたりしている姿からは想像もできない。
そこまで落ち込ませたのが俺なのだという事実に、背筋へゾクゾクとしたものが駆け抜ける。愉悦で口端が上がった。とても最低な大人だ。得意な気持ちになって、泣いている子どもの背に手を差し込み、難なく起き上がらせて抱っこする。彼は瞬間的に身を硬くしたが、背中を叩いてあやしてやると多少の警戒を解いて泣き続けた。頭が馬鹿になっていると思う。そしてそれはとっくに自分の頭もだった。
「分かるぜ、レオ。俺も小さなころは教会の十字架に祈るタイプの子どもだった。今じゃ一生をかけて足蹴にしていくと誓った身だがね。なあ、その点クラウスは素晴らしいだろ。素晴らしく人間で、人間らしく世界を救おうなんていう強欲の持ち主。神なんぞよりよほど助けてくれるし、それ以上にひどい男さ。でも俺はキリストを踏みにじっても、あいつのことは踏めないんだ」
「あんたはおかしい」
「シンプルに詰るね」
「だってっ、おれは、あいつが妹だから、血の繋がった家族だから一番でもおかしくないけど、赤の他人をそこまで想えるのはおかしいっ。あんたそれで満足してるふうだったのに、それだけが全部みたいに見えたのに、なんでっこんな、俺みたいなやつを
……
っ」
「
……
驚いたな。その見方は合ってた。俺はクラウスにほぼ全ての愛情を向けていたよ。いまも。でも、性愛は抱いてなかったんだ。分かるかい? そのひとつだけが、どうやらきみに向いたらしい」
「誤反応だよぉおおおおっつか普通に最低じゃありませんそれ!? アンタの性欲と性的対象どーなってんの!?」
「どーもこーも、おかしくしたんだよなあ
……
きみが」
「濡れ衣もいいとこだよ!!!」
撫でさすっていた背中が大きく跳ね肩が上下する。ぜえはあ。少年は必死に呼吸を繰り返すとズズッと啜った鼻をジャケットの肩口に押しつけてきた。鼻水を拭いている。突然家に押し掛けられ貞操を狙われ意味の分からないことをさも自分のせいのように言い募られたにしては、ささやかすぎる抵抗だ。好きにさせていると、本当に驚くことに、腕の中の体が落ち着きを取り戻そうと呼吸を深いものへと切り替えた。少年を抱きしめる、ともすれば手のひら以上の面積に密着するのはこれが初めてで、僕は何か仕組みの違う生き物を抱いている心地になりながら、それでもこーいうことがしたいんじゃなくてもっとぐずぐずのメタクソにひどいことがしたいんだよなあと思う。やはり、性的。
さて戯れはこれくらいにしておこうと背中を叩く手をとめたら、レオはまたスティーブンさんと呼んできた。会話は、好きだ。それに、絶対に抱くと決めているので、完璧に逃げられない限り、時間は有り余っていた。「なんだい」穏やかに訊く。
「ぼかぁ考えました」
「何を」
「この狂った状況を打破する方法」
「ほう」
泣き喚きながらもずっと考えていたらしい。益々感心する。「聞かせて」
「スティーブンさんは俺を抱きたいんすよね」
「うん」
「じゃあそれを絶対的なものとしましょう。もうそこは疑いません。ちくしょうこの世は狂ってる」
「そうだね。概ね同意だ」
「でも冷静に考えて。あなたのその冷たい体温くらい冷静に! 男が男を抱くってそんなすぐできるもんなんすか?」
「まーお前の尊厳を踏みにじる方法でならすぐできるよ」
「それレイプってやつですよね」
「ああ。知らなかったか?」
「僕はレイプされたくない」
レオはようよう肩口から顔を上げ、僕を見上げた。
「俺は、レイプ、されたくない、っす。いいですか? これは妥協っすよ。愚策にもほどがあるって思ってる。でも精一杯の身の守り方だ。亀らしく。どうか聞いてください。スティーブンさんは俺に、なんの責任を取れっておっしゃいました?」
「寒さに気づかせたことと、俺の氷を溶かしかけてること」
「その意味はぜんっぜん分からねーすが。分かりました。その責任を取ります」
「
……
何を言ってるんだ?」
「俺はあなたに抱かれてもいいと思えるように頑張る。だから今日はしない。スティーブンさん、自棄になったあなたは俺を無理やり犯したあとのことを考えておいでですか?
……
考えてるかもしれない、えげつねえ方法で丸め込まれるか消されるかしそうだ
……
いやでも普通に、普通にですよ。いくら俺でも職場の上司にレイプされたら心がギタギタになる自信がある。そうしたら絶対に職場でぎくしゃくするしなんならHLPDに転職します」
「そ、
……
れは困るな」
「僕も困ります。ライブラにいた方が義眼の情報は集まるし、それに何より皆さんのことが
……
好きです。情がある。変なふうになりたくない。分かりますか?」
僕より十三も年下のレオナルド・ウォッチが、紫色の唇を一生懸命動かして、頭のおかしな台詞を二人の間に落とした。
「そうなるくらいなら、俺は穏便に抱かれたい。責任? 取ってやりますよ。ライブラの伊達男を狂人にしちゃったのが本当に俺なら、俺を抱いたことで自分の狂いっぷりに気づかせてあまりの事態に奥歯ガタガタ言わせてやる。だから今日は駄目です。準備しましょう。節度を持って! どうですか、スティーブンさん」
ずびっ、鼻を啜った。
たぶん、自分の鼻からも鼻水が出かかっている気がする。ズッ、啜る。
「
……
あのさ
――
」
呆れと戸惑いと喜楽で僕の顔は奇妙に歪んでいると思う。僕は言った。
「
――
この街で性犯罪が少ない理由を知ってるか? 僕的には、被害者に合意の上だと思わせるなんらかの力が働いてるからだと思うんだ。きみ、理不尽に対する考え方がまさにそれって感じで上司としてはかなり心配
――
」
「
あんたが言うのかそれ
視界混交
!」
そうして俺はその日初めて視界が街を飛び交う体験をした。
……
しかし、かくして。少年を無秩序に犯すのではなく、節度を保って抱く権利を獲得したのである。
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