いぬみ
2023-05-13 11:32:05
15805文字
Public ガ!!
 

太陽がしずんだ世界

王佐パロ、ガ清が死んだ後のデュゼオの話。
ゼ曇らせ。かなり病んでます。
フォロワーさんのネタから発展して妄想させていただきました。



 いつも通りに日々が過ぎた。いつも通りに憂鬱だった。こうして寝室で、どことなく後悔が残る空気で、お互いの存在だけで慰めあって、寝る。繰り返して、繰り返して、そして、
「日曜日。空いてるか。」
 そのいつも通りを、崩すようなことを提案した。
「出かけよう。久々に、二人で」
 手を握った。口角を上げた。どれも自然だった。嘘ではないし、冗談でもない。
「デートか」
「そうだな。お前も、適度な気分転換が必要だと言っていただろう?」
 デュフォーがあまりにも俗なことを言うので、ついふっ、と柔らかな吐息を漏らしてしまった。ちょうど、仕事も一段落ついてきている。部下からも休暇を取ってはどうかと言われたんだ。やはり、どんな形であれ多少は外に出た方がいい。対策も練ってある。つらつらと、予定を裏付けていく。
「楽しみだ」
 それを言ったのはどちらが先だったろうか。ああ、そうだ、久々だものな、デート、楽しみだ。とりあえず、そんなふうに、意味もないが、無駄でもない、取り留めのない相槌をお互いに打ちあった。
「お前に見てもらいたい場所があるんだ」
 今度を逃したら、いつ、共に行きたかった場所に行かせられるか分からない。早めに計画を立てておいて損はないだろう。
 取っておきの場所だ、と告げれば、ゼオンのお気に入りの場所ならいい景色なんだろう、と微笑まれる。信頼を、感じる。喜びを、感じる。
 ああ、外に連れ出さねば。今まで閉じ込めていたぶん、好きにさせてやりたい。そんなことを、実感した。

 日曜日になった。たった数日の時間を、長ったらしく噛み締めて、そのうちに当日になった。
「変装はいらないのか」
「ああ。場所自体に仕掛けを施してある」
 普段、どうしても外に出ないといけない時(それは、デュフォー自身が『外に出たい』と望んだ時も含まれた)、デュフォーに〝変装〟を施していた。人間にない魔力の匂いを香らせる香水。付け爪。念の為顔を隠すための、フード付きのケープ。子供騙しにも思える対策を、願掛けのようにさせていた。
 それを用意しない、そして促すこともしないオレに気づいたようで。意外そうで、不思議そうで、少し期待混じりなデュフォーの顔を見る。外の空気を吸えたとして、格好が暑苦しくては、気分も悪かろうと画策した努力が無駄ではなかったとほっとする。昨日、あらかじめ〝準備〟をした甲斐は、あったらしい。
「結界を張った。魔物の気配も、人間の気配も、全部認知阻害する効果がある」
 装飾品などに使われる魔術の応用だった。それゆえ、広範囲の場所に散布するのは、さすがに、かなりの魔力を消耗したが、なんていったって、かつては雷帝とまで言わしめていたオレである。問題は、ない。
「邪魔は入らない、というわけか」
「ああ。」
 理屈を知って納得したようで、デュフォーは朗らかな表情を作る。理論上可能であることを彼も理解したのだろう。
「行こう、デュフォー」
 久しぶりだった。こんなにも朗らかな気持ちで、言葉を紡いで、手を差し出すのは。
 デュフォーは、らしくもなく一瞬ためらいを見せた後、すぐ顔をほころばせて、オレの手を取った。ずいぶん、力強い手つきだった。
 その手つきで、覚悟を決めた。
 ぶわ、とマントをふくらませ。デュフォーを、包んだ。