いぬみ
2023-05-13 11:32:05
15805文字
Public ガ!!
 

太陽がしずんだ世界

王佐パロ、ガ清が死んだ後のデュゼオの話。
ゼ曇らせ。かなり病んでます。
フォロワーさんのネタから発展して妄想させていただきました。

「王様。おはようございます」
「陛下。本日もよろしくお願いします」
 王。その名称が、自分を表すようになって、どれくらい経っただろう。もはや慣れ始めた、仰々しい呼称に、丁寧に返事をしていく。
「ここの統治の件はどうしましょうか」
「食糧不足の地域はどうしましょう」
 片手に資料を持ちながら、部下は各々、相談を仰ぐ。王としての、私の意見に、耳を傾けている。
「ウヌ、そうだな。早めに解決案を募らねばなるまい」
 口癖を、こぼしながら。今日も魔界のために尽力して、考え、手足を動かす日々が始まる。目まぐるしくも、止まってられない。会議で意見を擦り合わせたのち、自室へ……仕事部屋まで、足早に向かう。まとう赤いマントが翻って、視界の端にちらちら出しゃばった。
 ふと踊り場にある、自分の背丈よりも大きな鏡に目がいった。紫電がきらりと光っている。髪色は太陽の眩しさをまとった金ではなく、夜闇の月明かりを詰めたような白銀だった。頬に刻まれた二本の線。王の象徴であったツノはない。
 オレはゼオンだった。
 ガッシュではない。
 ガッシュは死んだ。清麿も死んだ。だからこそ、自分は今、〝王〟を代わりにやっている。
 だのに、こんなにも。鏡を見る度、ふとした瞬間に、違和感が募る。
 ──なぜ、ここに映るオレはガッシュではないのか?──
 それは、ガッシュへの切望なのか。自分が王である事実の否認か。だんだん仕草から口癖まで、焦がれるように弟に似てきている自分への、危惧か。
 判別が、つかずにいた。
 とりあえず自分にできるのは、魔界のための仕事だった。
 ……判別から逃げるように、仕事に向かっていた。