ベコ
2024-11-18 22:52:17
4956文字
Public CP無し
 

ギャメルは俺が育てた

セザールとギャメルの出会いから別れまで。
※セザールの人物像思いっきり捏造してるのでご注意ください。


エルヘイムの地で人身売買に出すエルフ達を捕まえている時だった。
解放軍襲来の報せを受け、セザールは僅かに怯んだ。確かギャメルがやられた相手も解放軍という話だった。
だがこちらにはゼノイラ軍という頼もしい味方がいる。一度ならず二度までも同じ相手にやられるわけにはいかない。セザールは解放軍と戦う決意を固め、戦闘準備を始めた。



戦いに敗れたセザールの前に姿を現したのはかつての部下ギャメルだった。セザールは懐かしい顔に思わず笑みがこぼれる。何故こんなところに、という疑問よりも再会の喜びが勝っていた。ギャメルと共に様々な悪事を働いてきたが、仲間は決して裏切らない信頼できる男だとセザールは知っている。
―――黒爪盗賊団を守る俺を、助けてくれるんだな。
安心したのも束の間、ギャメルの口から飛び出したのは非情な言葉だった。
「これはケジメってやつだ」
ギャメルの瞳が冷たく光り、剣がセザール目がけて振り下ろされる。
「や、やめろ!!」
まさか、嘘だろう。ギャメルが自分に刃を向けるなど、今まで考えたこともなかった。湧き上がるのは怒りではなく悲しみだった。セザールは固く目を閉じその瞬間を待つ。しかしギャメルの刃がセザールに届くことはなかった。
動きを止めたギャメルはセザールと目線を合わせ、静かに語り始める。
解放軍の王子に救われたこと、盗賊から足を洗ったこと、生きる道は他にもあるということ。
そして次にまた同じことをしていたら、その時こそ本当にケジメをつけるということ。
セザールは悟った。
ギャメルが目的に向かって一心不乱に突き進む男なのはセザールもよく知るところだ。セザールはギャメルに裏切られたのではない、ギャメルの目的が変わっただけなのだ。そして目的の為ならば手段を選ばない男が、本来始末すべき人間相手にあえて見逃そうというのだ。これを彼の情と言わずして何と言う。
セザールはすぐさま駆け出した。彼の情を無駄にしてはいけない。そして、今後は彼の手を汚させるような真似もしてはいけない。
セザールは新たな決意を胸に、森の中を走り抜けていった。



ギャメルに盗賊のいろはを教えてやったセザールが、今度はギャメルから盗賊を抜ける道を教えられたのだ。