ちよど
2024-11-18 20:09:50
9256文字
Public わし様など
 

練習1P 400個記念企画短編化まとめ

#練習1P、のタグで書いていたもの。このたび、読んでくださったみなさまのおかげで400個書けたので記念企画としていくつか短編化しました。
リクエストしてくださった方々ありがとうございました。



 No.5 ヨダナさん+マスター「なんでわし様が怒られるのだ!?」

■原文■

 ドゥリーヨダナの99人の弟は外に出てくる時がある。
 ストームボーダーの駆動音が聞こえそうな深夜。真夜中ラーメンの帰りのマスターは廊下の先に見慣れた背中を見かけた。
「おーい!ドゥフシャーサナさん?」
 静かに振り返った仮面の男は答えない。
「ヴィカルナさん?チトラセーナさん?」
 よく出てくる弟の名前を上げると男の口元が笑った。
 答える気がなさそうな様子にマスターは唇を尖らせる。さすがに百人全部の名前は覚えていない。
「誰でもいいよ。後でドゥリーヨダナに聞くから」
 仮面の男は何も言わない。
 てっきり兄を呼び捨てにするなと言われるかと思ったマスターは首を傾げた。何か、おかしい。
 そんなマスターを仮面の男は指差す。
 まるで名前を聞くかのような仕草にマスターは強いて笑みを浮かべた。
「名前、知ってるよね?」
 答えはない。
 ドゥリーヨダナの弟たちは彼の中に存在している。ドゥリーヨダナが知っている事は知っているはずなのだ。
「ねぇ、あなた。本当に百王子?」
 マスターの質問にソレは答えず。
 突然のジャイ・カウラヴァに轢かれ飛んだ。


■短編■

 ドゥリーヨダナの99人の弟は外に出てくる時がある。
 騒がしくてろくでなしな彼らはストームボーダーを縦横無尽に走りまわり、カルナにたかり、アシュヴァッターマンをからかい、アルジュナに野次を飛ばし、そしてビーマには損害賠償を要求した。
 ──こういう時は『私を殺した責任を取って』って言うべきなんだよ。
 どこからか何かを聞きかじって来たらしいドゥフシャーサナの言葉に何人かのサーヴァントが頷いていたのをマスターは見てしまった。
 生前の確執だけでなく、サーヴァントの中には異聞帯の記憶を持つ者も多い。その彼らが『自分を殺した責任』を要求し始めたらその対象の中には異聞帯を滅ぼしてまわったマスターももちろん含まれているのだ。
 恐ろしい想像にマスターは二の腕をこすった。
 館内の気温調節は生身の人間に合わせてあるはずだが、妙に肌寒い。それはこの静けさのせいなのかもしれない。
 深夜。お腹が空いて目が覚めたマスターは食堂で居残りをしていたビーマに軽いラーメンを作ってもらったのだ。ラーメン丼に山盛りになっていたけど、それは『軽食』。作った人がそう言っていたなら料理はそう定義付けられるのだ。
 昼間百王子に賠償コールをされていたビーマは明らかに疲れを滲ませていた。そりゃあそうだろう。戦争とはいえ殺した従兄弟に対して思うところがないはずはないのに、百王子と来たら恨み言を言うでもなく賠償を寄越せと明るく合唱している。
 そういうところが明らかにドゥリーヨダナの弟だった。
 同情するがマスターに出来ることは何もない。大元のドゥリーヨダナに言えばなんとかなるかもしれないが、ビーマとドゥリーヨダナの間に他人が入ると余計拗れるのは明らかだった。
 ため息をついて、マスターは誰もいない廊下を進む。腹に入ったラーメンの熱はすでになく、代わりにひんやりとした予感が重たく丸まっていた。
 ──こんな時にひとりでいるのは良くない。
 危機感に辺りを見回したマスターは廊下の角にちらりと見かけた人影に走り寄った。角を曲がれは、その特徴的な装束が明らかになる。百王子だ。
「おーい!ドゥフシャーサナさん?」
 マスターの呼びかけに静かに振り返った仮面の男は答えない。
「ヴィカルナさん?チトラセーナさん?」
 よく出てくる弟の名前を上げると男の口元が笑った。
 答える気がなさそうな様子にマスターは唇を尖らせる。さすがに百人全員の名前は覚えていない。
「誰でもいいよ。後でドゥリーヨダナに聞くから。──とりあえず、」
 一緒にいて、と言おうとしたマスターは異常に気がついた。
 仮面の男は何も言わない。ドゥリーヨダナに心酔している百王子が兄を呼び捨てにされて沈黙しているはずがないのだ。
 違和感に気づいたマスターを仮面の男は指差す。
 まるで名前を聞くかのような仕草にマスターは強いて笑みを浮かべた。
「名前、知ってるよね?」
 答えはない。
 百人もいる弟達全員がマスターに紹介されたわけではない。それでもドゥリーヨダナの弟たちは彼の中に存在している。ドゥリーヨダナが知っている事は彼らも知っているはずなのだ。
「ねぇ、あなた。本当に百王子?」
 マスターの質問にソレは答えず。
 突然のジャイ・カウラヴァに轢かれ飛んだ。


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読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

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