シフォン
2023-06-06 21:54:13
3761文字
Public 小説
 

黒白無常

2023年秦兄弟誕生日記念。
パラレル時空で死神として働く兄弟の話。
ファンタジー要素、捏造設定等多分に含みます。



 「你好、そして初めまして。
  我らは黒白無常、地獄の使途にして将軍也」

 「城皇公の命により貴様を拘束する。大人しく投降しろ」 
 
 空に浮かぶ2つの影は冷徹に言い放ち、動向を伺う。

 二人に気づいた悪霊は、抵抗する様子を見せずに
 ふらふらと寄ってきた。
 二人の間に割って入るように近づき、
 

 ───────── 一閃。
 
 交渉決裂。
 やっぱりな、と溜息をつき、二人は左手に気を集めた。 

 「「帝王天眼拳!!」」

 青と黄色の気弾が直撃し、悪霊が怯む。 

 「まずは小手調べってとこだけど、案外効いてるね」

 「まだ動けるようだがな。……? あいつ、何処へ行く気だ?」

 起き上がった悪霊は、まるで恐れを為すかのように
 近くの廃屋に逃げ込み、気配を消した。
 
 「何だ、逃げたのか?つまらん奴だ、相手にもならん」

 「違う!兄さん、後ろ!」

 「──────ッ!」
 
 激しい地鳴りの後、轟音を立てて廃屋が崩壊した。
 飛ばされた大量の瓦礫が黒無常の頭上目がけて降りかかる──

 「他心拳!」
 
 「邪魔だ」と言わんばかりの咆哮と共に、
 黒無常は周囲に防護壁を展開させて瓦礫を弾き飛ばした。
 涼しい顔で土煙を払い除け、得意気に言う。

 「この程度で俺を倒せると思うなよ」

 戦闘を続ける黒無常。
 一部始終を見ていた白無常は空に舞い上がり、
 この好機を逃すまい、と気を練って3匹の龍を生み出した。
 狙うは悪霊の魂。
 冷静かつ慎重に、ゆっくりと、確実に……
  
 「よし、この距離なら!喰らえ……!」

 「海龍照りん…………ッッ!?!?」

 瞬間。
 距離にして数十メートル以上離れていた悪霊が、
 はるか上空、白無常の眼前に現れた。

 (嘘、さっきまで兄さんのところに居たはずじゃ……!?)

 龍が消え去り、体勢を崩しかけて、
 息が止まった。

 「帝王神眼拳!」

 光に包まれた白無常の身体が消え、遠く離れた位置に現れた。
 即座に瞬間移動で立て直したが、呼吸は未だ乱れている。
 背筋が凍った黒無常は、猛スピードで白無常へ飛んで行った。

 「大丈夫か!? 崇秀!」

 「ごめんね兄さん、ちょっと油断し過ぎちゃった……

 「思った以上に強いな……本気で行くぞ、白無常!」

 「了解!」