◆嘆き/サンプル

▷成人指定/R18G
▷メルロル/蹂躙時代
・エルの手紙を読んだメルがロルに“被食”を望む話。
「ずっと、キミと一緒に成り果てたかった」
自分を押さえつける男は、そんな言葉を吐く。
雨のなか傘も刺さず現れた彼は、自室に招き入れた恋人を床に押し倒している。普段はありえないほど乱暴で余裕のない動きは、男の動揺をこれでもかと伝えてきた。
電気を付けそびれた暗所に差し込む光が、メル殿の表情を影で塗り潰す。感じる視線は真っ直ぐで、僅かな震えもない。だというのに何故だろう、ボクは彼が泣いていると思った。
「知っているよ」
男へ素直にそう告げた。
ボクらの間には、特別な繋がりが存在する。一般的な恋仲とはズレていたらしいけれど、それでも友人を超えた関係であることは確かである。だから、互いへの隠し事はかなり少なかったと思っている。
彼は案外隠し事が下手で、嘘を口にする時はまず首裏を掻くこと。孤独の食卓が苦手で、友人や仲間と囲む甘味が好きなこと。寒い日はベッドから出るのに苦労すること。そして、自分を愛するが故に自分をカトラリーで刻みたい衝動があること。
「エルくんが死んだ」
ここにきて初めて、ボクの心は揺れ動いた。信じられない情報であったことも理由だが、伝えたメル殿は今までになく無機質で空虚な声色であったからだ。哀しみも怒りも無く、すっぽりと感情の抜け落ちた報告。こちらの動揺に気付いてか気付かずか、有利な姿勢のまま彼は続ける。
「だから、ロルくん。お願いがあるんだ」
ああ。きっとボクは、彼の腹に収まるのだろう。そう予想して微笑む。この時を待ち望んでいたわけではない。しかし、逃げ惑っていたわけでもない。死ぬより先の未来で訪れることは理解していたし、拒む気も全く無い。彼は約束してくれたのだ、自分を遺さず食べてくれることを。
その予感を肯定しようとした直前、彼は遮るようにボクを抱きしめた。頭に手を添え、腰を引き寄せられる。互いの心音を通じて、ボクは約束が違えられることを察する。
「────オレを、ここで融かしてくれ」
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