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呪術廻戦の世界に飛んだ異世界人と分かったので帰ろうと思います。(仮)3

五条夢。続くか続かないか分からない。
名前変換機能をテストで使ってみたかった題材。
※名前変換なしだとデフォ名(藤森沙奈)になります。

今日は硝子さんの誕生日だそうです。誕生日おめでとうございます!
なのに更新は五条夢っていう。きっかけ大事よね。
今回は前半夏油君、後半は五条君。で、一応携帯編(?)終わりです。



……

 ハッと意識を取り戻す。
 何だったのだろう、あの記憶は。そんな記憶はないはずだ。
 イヤ、アッタハズダ。ワタシハソレカラニゲタノダ。

「っ……――!」

 私の中の何かが脳裏に告げられた。その声はどこか冷たくて、苦しい声。
 私は振り絞るように彼の胸板から少々力尽くで手を解いて、ベッドから立ち上がって離れた。私が離れた際の揺れで起きたらしい彼が「沙奈……?」と普段なら絶対言わないだろう弱々しい五条君の声があった。
 私は一つ深呼吸をした。何もなかった、平常心を保つんだとおまじないのように心の中で何度も呟いた。

「五条君、どう? 体調は」
……少し、マシになった」
「そ、そう。それはよかった」

 笑えているだろうか。しかし、五条君の表情はまだ風邪が長引いているのかぼうっとしているようだ。

……こんなに寝たの久しぶりだわ」
「夜蛾先生から聞いたよ。最近徹夜続きだったんだって? 謝ってた」
「別に、これからもあっちこっち任務に駆り出されるんだから今更だろ」
「でも、先生としては生徒の管理も大事だからさ。風邪が引くまで休んでいいって言ってたよ」
「そんなもん、明日には治るって」
「駄目だよ。安静にしないと」
沙奈……
「休めるときは休まなきゃ」
「ふーん、そんなに俺のこと心配なんだ?」

 調子が戻ってきたのか、にやりと何か企んでいるような笑みを浮かべてそう言った。普段ならそんなことないけど、と売り言葉に買い言葉を投げていただろう。だけど、私は気が狂っていたんだろう。

……そうだね。ずっと目を覚まさなかったから心配だった。このまま死んじゃうんじゃないかってくらい」

 その時の表情はどうだったか分からない。うまく笑えていたかもしれないし、どこか泣き出しそうな表情だったかもしれない。
 この気持ちはどこだったか、味わったことがある。それはどこで?
 この世界で? それとも元の世界で?
 あるいは、どちらも・・・・
 今日の私はどこかおかしい。まるで夢や幻と現実を渡り歩いているような感じ。
 味わったことない感情のはずなのに、どこか知っている気がした。

……気が狂う」
「え?」
「そんなに看病するの、嫌だった?」

 そう言って彼は私を睨み付けていた。どうやら今の私は嫌そうな顔をしているらしい。

「嫌だったなら初めから言わなきゃよかっただろうが」

 そう言いつつも、布団に丸まってしまう。

……あれ? 言ってることと行動が矛盾してる)

 普通そこは出て行くなり、私を怒鳴りつけたりするところなはずだ。しかし、病み上がりのためか嫌みさえも少し弱い。

「治るまではここにいるから。出て行けって言われても行かねー」
「えー……

 私、どこで寝たらいいんだろう?
 寮の部屋って一人部屋だから複数人では狭いってこと分かってるんだろうか。それとも、私は五条君の部屋で寝てろというのか? いや、絶対二人にあれこれ探られる未来が想像できる。
 ニヤニヤと見守る夏油君と硝子ちゃんの姿が目に浮かぶ。

(これ、私が床で寝るしか……ないパターンですよね)

 何回か仕事の徹夜でベッドに行くのも億劫で床に布団とか引いて寝たことがある。とてもじゃないが起きたときにはあちこち痛かった。

(硝子ちゃんの部屋にお邪魔するわけにもいかないしなぁ)

 どうしよう、と思っていると彼は「何ぼーっとしてんの?」と声をかけられる。

「あ、いえ……私はどこで寝たらいいんだろうっていろいろ考えてました」
「はぁ? ここで寝ればいいだろ?」

 そう言ってベッドの隣をパンパンと誘導する。

(え、マジですか? こういうのって恋人同士とか夫婦とか親密な関係じゃないと駄目なんじゃ?)

 単なる同級生だよね? 私たち。
 そんなこと思いながら体のあちこちから冷や汗が流れてくるような感覚に陥る。

「いやいや! それはさすがに! 私は床で寝ますから、五条君はそのままベッドで寝ててください!」

 何で敬語になってんのか分からないけど、そう言わなきゃいけない気がした。

「床で寝かせるわけにはいかないだろ。いーからこっちこい。何もしねーから」
(したら困るわ! っていうかこの部屋とそのベッドは私のなんですけど?!)

 まるで俺の城、と言わんばかりな傍若無人ぷりを発揮されて頭が痛くなってくる。
 面倒くせぇ、と呟くと怠そうにベッドから起きると私の手を取って引っ張られる。そして、二人はベッドの中に入ってしまったのだった。

「ちょ、ちょちょちょっと?!」
「ほら、二人でもなんとか寝られるだろ」
「いや、そういう問題じゃ――

 今時の高校生ってこんななのか。もしかして夏油君や硝子ちゃんもこういうのは普通よって感覚なのか?! それとも貴族ならではなのか。

「頭痛ぇ。もう少し寝るわ」
「だったら――
「しつこい」

 そう言ってぎゅーっと私の体を抱きしめて離さない。まるで私は抱き枕のようだ。

(うーん、ボーイフレンドやガールフレンドってこういうの普通なのかな? 私にとって今まで異性と避けてきたからよく分からないけど……

 なんて大人ぶって見るけれど、心の中は心臓がバクバクしている。

――……
「ね、寝てる……

 本当に寝始めてる。こっちはドキドキして平常心を保とうと必死なのに、彼は寝ている。
 しかし、彼の寝顔はどこか安心感のある少し笑みを浮かべていた。

(そう、あくまで子どもを守る親心という気持ちでいるのよ! 中身おばさんな私が高校生にこ、恋なんて!)

 私は決してショタコンではない、断じて。
 とはいいつつも、彼の寝顔は可愛いとは正直思う。彼はまだ子どもなのだ。子どもは皆可愛い。子どもはどうしても早く大人になりたがるようだけど。

……早く元気になあれ」

 別に五条君を小さい子どものようにあやしているわけじゃない。あくまで、風邪が治りますように、というお祈りだ。ぎゅっと離さない彼の手からゴソゴソと両手を出して、彼の背中に回した。