ぷの
2024-10-13 14:29:13
8438文字
Public レイチュリ ※ベ限
 

レイチュリSSよせあつめ

P1 - ちょっとしたお掃除(2024/10/12)
P2 - 本日の三杯目(2024/10/12)
P3 - ありがとう金曜日!(2025/4/3)
P4 - なんだか爆発させたかった(2025/4/24)
P5 - 🍩≒?(2025/6/11)

【本日の三杯目】

 出張を終えて戻ってきたピアポイントは、すっかり秋の景色になっていた。シャトルの発着ターミナルを行き交う人々の布面積が増え、落ち着いた色味に変わっている。アベンチュリンが纏うピーコックグリーンが人混みの中で差し色のようだ。まあ、後ろを歩く軽く武装した仮面の部下二人のおかげで悪目立ち具合は霞んでいるだろうけれど。
「ただのお迎えなんだから、楽な格好で来ていいんだよ?」
「これがいいんです。油断して死にかけて異動した同期、いまだに後悔してて一緒に飲むと絡んできますもん」
「物好きだなあ」
「そうですね……気になるなら、運気を上げるラッキーコーデだと思っていただいて」
 可愛い単語と見た目のギャップがひどい。
「アクセントにするアイテムはナイフか銃か槍か。たまにメカも着ますよ、とっておきのよそ行きなんです。小粋に足回りをピーキーにするのが私流です」
「ふは!」
 冗談めかしているけれど本当にピーキーなセッティングにしているらしく、他に貸し出すときは調整するから前もって言ってくれと頼まれている。楽しく仕事してくれてなによりだ。
 アベンチュリンは目についたコーヒーショップにふらっと立ち寄り、栗のフレーバーを付けたラテを四人分テイクアウトした。部下たちは他の客を威圧しないように外で待っている。ペンを借りて、それぞれに宛ててカップに労いのメッセージを書いた。普通なら、宛名を書かなければどれが誰の手に渡るかわからないが、幸運を欲しいままにするアベンチュリンにそんな心配は不要である。
「ラッキーコーデに秋らしいアイテムを添えるのもいいだろう?」
 店を出て紙袋を広げ、さあどうぞと差し出したのに、二人の部下は受け取らなかった。
「ありがとうございます。手を空けておきたいので、オフィスに戻ってからいただきます」
「君たちのそういうところ、信頼してるよ」
 アベンチュリンも中には手をつけずに、そのまま紙袋を閉じた。どうせなら一緒に飲みたい。早足になりそうなのを押さえながら歩いていると、後ろからクスッと笑い声が聞こえてきた。くるりと振り返って、後ろ向きに歩きながら小首をかしげる。
「なあに?」
「前を向いてください」
 叱られて前を向く。そうしたらまたクスクスと二人で笑いだす。アベンチュリンは思いきりむくれた声を出した。
「感じ悪いよ~」
「オフィスでお待ちですよ。早くいらしたのでコーヒーを出そうとしたのですが、断られてしまいました」
「ふうん」
 レイシオから立ち寄ると連絡が来ていた。アベンチュリンの足を逸らせる理由だ。一緒にコーヒーを飲むための時間と、カフェインの許容量を残してくれているらしい。前もってお願いしたわけでもないのに。
 新しい良い抜け道ができたので、そちらを通りますね。車に着いて運転席に座った部下はとても楽しそうにそう言って、チーム一の運転技術で滑らかに発進した。