🍺4章
三度も起きた事件、残された人物は皆疲弊の色を見せていた。
もう若くない。人の死を何度も経て、きゃあきゃあと騒いでいられるほどの体力も精神力も、到底残されていなかった。
乃香「嫌なのよ!お野菜いらない!いらないのーっ!」
御守「おいおい、泣くなって。俺が全部食べようか?な?」
訂正。どうやら彼らはまだまだ元気なようだ。
それはそうだ、世間一般から考えて見れば、20代30代なんてまだまだ若い。若さとは吸収力、驚くほどのスピードで適応していくものなのだ。
乃香はわんわんと泣き喚いている。困り果てた御守は、遥保に助けを求めるような視線を向けた。
まったく、仕方がないな、なんて様子で遥保は乃香を宥めにかかる。いつもならば景衣がになっていた役割なのだろうが、生憎彼はどこにもいない。いつの間にか、コロシアイが始まった当初から半分以下まで人数は減っていた。
涙流「あらあら、あんなに暴れてみっともないわ。とっても可愛いいい子だと思っていたのにあれじゃあ台無しね」
涙流は意地の悪そうな上品な笑みを浮かべている。それが聞こえたのか、ぴたりと泣き声は止む。
遥保はほっと息をついた。涙流の手綱の握り方は自分には到底真似できそうにない。
淡々と食事の時間は過ぎ去っていく。穏やかで静かな時は、そう長くは続かないだろうと誰もが分かっていながら。
八神「
……ヴェインの遺体も、どこにも見つからないんだ。なんで、また」
常より感情が顔に出にくい八神であったが、今は誰が見ても分かるほど弱り切った表情を浮かべている。
笛吹「少し考えてみたが、殺人に関わっていないものは置かれていないんじゃないか。何の意図があるかは分からないが」
清澄に止、それにヴェイン。いずれも事件に関わらない形で死んでいる。
だからあまり気に病むな、とも笛吹は言えなかった。けれど、彼女の遺体がないのは決して八神のせいではない。
空良「でも、本当に不思議だよね。どうして隠す必要があるんだろ?保管しておいてくれているんだったら、全員しておいてくれてもいいんじゃないかなっ」
遥保「
……見られると困る事情でもあるのではないだろうか。例えば、本当は死んでいない、とか」
まさか!と空良は愛くるしく笑う。遥保が言っていたことが本当ならば、どれだけ恐ろしいのか。
もし、このコロシアイを手引きしたものが仲良くしていた誰かだったのなら。そんなこと、想像すらしたくなかった。
🍻✨
きっと、自分は近づきすぎたのだと思う。
世の中には、知らない方が良いこともたくさんある。
優しい嘘は暴かない方がいいし、取り繕う様な愛情の裏にあるものは一生目にしない方が幸せだ。
誰もが真実だけを追い求めれば良いわけではない。親は子に愛されていればよいのだし、嘘だって信じるものがいれば本当になる。
単純なことだった。わかっていたのに、冒険をしすぎた。
ああ、愛しの子供たち!今日もよく眠れたかい、明日を夢見ているかい。
君たちの未来が、どうか七色に輝いていますように!
私は少しだけ眠るよ。だから気にせず前へ進んでおくれ。
遥か遠い道の先で、いつか私のことを思い出してくれさえすれば。私はきっと報われる。
【遥保育吹】
🍺貴方は愛情を飲み込めない!
🍻✨
さっさと息を巻いて逃げてしまうべきだったのだ。
ずっとずっと、今を正しく認識出来なくて己の首を絞めてばかりいる。
さっき逃げれば良かったのに、こちらの案ではなくてもう片方を選んでいれば。
そんなことばかりを考えて、考えて、考えて。ここまで生きながらえてしまった。
終着がこれだなんて、あまりにも寂しすぎる。
朦朧とする意識の中で、身を響かせる音だけが聞こえていた。
🍻✨
自分は確かに手を貸した。それがきっと、あの子のためになると思ったからだ。
……いや、力になれていたのかは分からない。ただ傍に寄り添って、頑張れと励ましただけだから。
コロシアイ、なんていう酷く恐ろしいことに加担したのだ。いつしか裁かれる時が来るだろうとは分かっていた。
でも、後悔なんて微塵もしていない。何回過去に戻ったとて、俺はまた同じ結末を迎えるに違いない。
……俺の可愛い弟。貴方はきっと、もう俺の肩を借りなくても大丈夫。
前を向いてはいけないかもしれない。けど、振り返ったままでもいいから前へと進んでいければいいのだ。少しは心配だけれど、ずっと応援しているから。どうか、望みを叶えて欲しい。
雨音が傍まで近づいてきている。この身はもうすぐ雫に打たれるだろう。
【八神唐丸】
🍺貴方は■■を飲み込めない!
🍺4章
シロ→遥保育吹様
シロ未遂→笛吹弦様
クロ、内通者→八神唐丸様