【凶星を穿つ】

自陣MHパロ/Season.1
一気読み版




龍気を練り上げて作られた閃光が、狩場の一線を爆裂させる。撃ち放ったバルファルクが次の攻撃に移る前に、銀髪の男が数十の乱撃を胴に叩き込んだ。龍は左翼で殴ろうとするが、その前に茶髪の男に振り上げた翼を大剣ではたき落とされる。大きく吠えて距離を取らせようとするが、その咆哮はただ二人に武器を構え直すスキを与えただけに終わった。

一切の余地もない、圧倒的なまでの技量。銀髪と茶髪のハンターを見て、アサヒは珍しく高揚していた。こんなにもあの村は狭く、こんなにも世界は広いのかと。


「笛で回復させたいが、今バルファルクの意識を動かすわけにはいかない。荒療治だが、熱した薬を使わせてもらうぞ」


バルファルクの標的から外れたアサヒに、狩場を二人に任せたヒロが言った。狩猟笛での回復は大きいが、その分獲物に狙われやすい。湯気の立つ回復薬を厚手の生地に溢し、ヒロはアサヒの焼けた脚に塗りつけた。傷口に薬品が染み渡り、同時に唸る程の痛みと急速に治る感覚にアサヒは歯を食いしばる。数秒間沈黙が流れ、そっと離された生地の下の傷は既にほぼ塞がっていた。


助かったよ。ソウゲツを連れて行った二人は?」

「今回の後方回復部隊だそうだ。アチラの乱舞してるお二人さんいわく、『かなり変わっている有能G級ハンター』だと。
よし。カンジ、よく頑張ったな。まだ動けるか?」


空の瓶と汚れた生地を仕舞い、ヒロはアサヒが立ち上がるのに手を貸す。その側でまだ目を回していたカンジに寄ったヒロは、彼のあだ名に相応しい勇敢な顔で手を伸ばした。


「あ、ヒーロー、オレは、オレはな……

「うん。ありがとう。二人を守ってくれたんだよな」

……うん。あんなぁ、ヒーロー。オレ、まだやれる」

「! だが


ヒロの聞いていた作戦は、バルファルク狩猟を増援のG級ハンター四人に任せ自分たちで他モンスターや生態保護に徹するというものである。カンジの提案は魅力的だが、ヒロは反射的に反論しようとした。


「やられっぱなしはイヤやもん。なぁ、頼むよヒーロー。オレとオマエは……ううん。
オレたちは皆、ずっと一緒やろ?」


懇願ではなく確信を持った声色で、堂々とカンジは言う。自身と他とは違うと自虐していた彼が、皆と同じだと笑った。それがヒロには酷い衝撃で、驚く暇もないほどの歓喜に震える。


「全く。増援の方々には撤退を命じられてるんだけどな」

「カッカッカッ! そりゃ、後でしこたま怒られるやろな!」

「本当にバカだね、キミたちは……ま、そうじゃないとキミたちじゃないけど」

「ソウゲツは

「回復に専念させてるが、アイツは絶対に来るぞ」

「ああ、そうだね。絶対に来るよ」

「なら大丈夫やな!」


ハンマーを磨いたカンジが、弓を背負い直したアサヒが、狩猟笛を担いだヒロが笑う。そうとも、この四人で恐れることがあろうものか。自分たちは昔から同じ場所で、同じように歩いてきた。歩調や歩幅で列が乱れても、それでもずっと同一の世界にいる。ならば後はもう、先に進むだけ。ソウゲツは必ず来る。だって彼はここに必要なのだ、だって彼はここが必要なのだ。

増援の二人を説得するために、三人は狩場に立ち入る。その足取りは揃っていないが、誰が何が見ても希望に溢れていた。