お芋さん太郎
2024-04-02 20:42:38
13374文字
Public ONEPIECE
 

狩り大会

#ハートの海賊団オールキャラ #パラレル
※ずっと前にネットの海に流したやつ
※パラレル設定注意!特殊設定注意!
※ペンギンとシャチの技は捏造
※オリキャラクルー、モブクルーがしゃべる
※ちょっとガラ悪いハートの海賊団




「そこだ! やっちまえ!」
「ペンギンの野郎、落ちやがった! ざまァ!」

ローがシャンブルズでポーラータングの甲板へと戻ると、クルーたちは拳を振り回しながらヤジを飛ばしていた。
攻撃が入るたびに口笛と歓声が上がる。
この狩り大会という行事は、もはや娯楽の1つとしてクルーたちに楽しまれているのだ。

そのかたわら、せっせと釣り具の用意を始める者もいる。
このあと仕留めた海王類を解体すると、おこぼれを狙って魚が集まってくる。
魚好きのクルーのためにそれを釣り上げるのも大切な仕事だ。

「ひるんだぞ! しゃッ仕留めた!」
「フゥー! さすがだぜ! よっ、名バッテリー!」

やがて天を割くような海王類の断末魔が聞こえ、いっとう大きな波が起きた。
ポーラータングは波壁をいくつも乗り越え、肉の島で手を振る仲間たちに近づく。
それぞれの健闘をたたえ合い、狩り大会はじつに慎ましく終了をむかえたのであった。

「キャプテン」

ジャンバールがローに声をかけた。

「これも作戦のうちか?」
「撒き餌だ。あいつらの好みは新鮮な海王類の肉だからな。数日にいっぺん似たようなことをするが、これほどの大物がかかることはめったにない」

ローが小さく「今日は大漁だ」と言った。
そしてジャンバールの腕の中にある『カルテ』をチラリと見て、再び口を開く。

「読んだか」
「ああ」
「あいつらが……恐ろしいか」

ジャンバールは口ごもるローを意外に思った。
死の外科医の異名をもち残虐と世間に知られる彼の素顔は、ことのほか繊細で人間味にあふれる。
ほんの少し揺らいだ瞳から目をそらさず、彼の問いに答えた。

「まさか。もっと恐ろしいものをいくらでも見てきた。人の形をした神に比べたら、あいつらなど天使のようなものだ」

ジャンバールが小さく笑うと、ローは一瞬キョトンと目をまん丸にし、たまらずプッと吹き出した。
なにしろ彼のいう天使たちが血みどろになりながら海王類を解体しているのだ。
見えてるものと聞こえてるものに、空島と魚人島ほどのギャップがある。
これが笑わずにいられるか。

ローがなおも肩を揺らしながら、手を差し出す。
ジャンバールは自分のものよりはるかに小さいそれを、潰さぬように優しく握った。

「改めてハートの海賊団へようこそ。歓迎しよう、ジャンバール。それと、」
「ん、ぐ、いだだだだ……
「遠慮はいらねえ」

握ったジャンバールの手を、そのままローが締め上げる。
痛みにあえぐ様子を見て、イタズラに成功した子供のようにご満悦だ。

「キャプテーン! 切るの手伝ってくださーい! 今日ロクに働いてないんだから!」
「働いただろ」
「見てただけでしょーが!」
「管理職ナメんな」
「能力で切ってくれたらすぐなんですけどねぇ!」
「チッ……

海王類の解体を進めていたクルーたちから声がかかる。
彼らが持つ剣や包丁はすでに血と脂肪でベトベトだ。
塩漬け用のタルがいくつも整列してる間を、コックが忙しくバタバタと走り回った。

ローは口をへの字にしながらぶつくさ不満をもらしたが、手に持つ鬼哭はおろさない。
なんだかんだ言いながらクルーの頼みは断らないのが彼なのだ。

いつの間にか甲板に出てきたイッカクとハクガンに手を引かれ、べポに背中を押され、四面楚歌で連れて行かれた。
きっとすぐに、彼らにもみくちゃにされるだろう。
入団したばかりのジャンバールにだって簡単に想像できる。

「おーい、ジャンバール! 今日は宴だと!」
「準備てつだってくれ~」
「喜べ! 肉が食い放題だぞ!」

揃いのツナギが大きく手を振る。
ジャンバールは『カルテ』を汚したりしないよう、大切に大切に胸ポケットにしまった。


『カルテ』に書き込まれた流れるような筆記体。
その隙間という隙間に少し大きく無骨な文字が並ぶのは、そう遠くない未来の話だ。