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榊
2024-08-30 22:31:41
9782文字
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スミイサ
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イサミお誕生日おめでとう! 親戚のおばあちゃんになった気持ちで書きました。あのイサミくんがあんなに大きくなって......(ほろり)
ほとんどオールキャラ小説ですが、根底にふわっとスミイサが香っているかも 本編後平和謎時空です
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首筋にひやりとしたものを押し当てられて、イサミは思わず肩をびくつかせた。
「なんだ、弛んでるんじゃないのかアオ三尉」
咄嗟に振り向けば、呆れ顔の上官がよく冷えた缶コーヒーをぷらぷらと振っている。
「
……
隊長が来てるのは流石にわかってましたけど、こんな子どもみたいなイタズラしてくるとは思わなかったので」
イサミは唇を尖らせてそう反論した。サタケがブリーフィング後少し残れというからこうして待っていたのだ。背後にいるのはサタケだとわかっていたし、サタケ相手に警戒する必要もあるまい。
「子どもみたいとはなんだ、一つ歳食ってもまだ25のくせに」
「あ
……
」
イサミが思わず息を吐けば、サタケは眉を開いて穏やかに笑った。それは慣れ親しんだ上官の顔ではなく、イサミのことを気にかけてくれる年上の大人の顔だった。
「誕生日おめでとう、イサミ。大したものはやれないが、今はこれで勘弁してくれ。自由に出歩けるようになったらうまいメシにでも連れて行ってやる」
サタケが差し出したのは、先ほどイサミの首筋を冷やした缶コーヒーだ。赤い缶はサタケ自身は好まない銘柄のはずだった。
「
……
うす。ありがとうございます」
なんだか気恥ずかしくて、イサミは目を逸らした。普段なら飛ぶだろう叱責も、今日は免除されているようだ。
「よし、用件は以上だ。残らせて悪かったな」
サタケがイサミの背中をぽんと叩く。これで会話は終わり。これまでのイサミならきっと、このまま席を立って帰っていただろう。
「あの、隊長!」
イサミは振り返り、部屋の出口に向かって足を進めていたサタケに声をかけた。赤いジャケットの背中がくるりと振り向き、低く落ち着いた声が「なんだ」と応える。
「あの、メシ連れてってくれる時、俺、服買いたいです。隊長のおすすめのお店教えてください」
サタケは、親しいものとしかそうと気づかないくらい、ごく僅かに目を丸くした。それから、薄い唇の端を小さく綻ばせて、自らの身頃に視線をおろす。
「ああ、もちろんだ」
イサミは、別にサタケと揃いのジャケットが欲しいわけではない。そもそもサタケ自身が格好いいから許されているだけで、実はサタケのファッションセンスも大概なのでは、とひっそりイサミは思っている。
「お前のクローゼット、白と黒しかなくて辛気臭いものな。服を増やすのはいいことだ」
ただ、サタケの言う通り、自分の彩度の低いワードローブが少々寂しく思われたのは事実だ。職務中にこんなにも鮮やかな赤色を纏うくらいなのだから、サタケの勧める店なら望みのものも見つかるかもしれないとイサミは思った。鮮やかな服といえばもう一人思い浮かぶ顔があるが、流石にジョークグッズのようなTシャツを纏う勇気はイサミにはない。
「辛気臭
……
くはないです、別に。隊長のクローゼットなんかほぼ赤一色じゃないですか。俺の方がまだマシですよ」
図星をつかれたのが悔しくて、イサミは一応反論した。十四も年上の上官はやけに真面目な顔でイサミの髪をぐしゃりと乱す。
「実は赤い服しか売ってない店があるんだ。そこに連れて行ってやろう」
「え」
イサミが思わず声を漏らすと、上官はからりと笑った。流石に冗談、のはずだが、サタケはジョークを言う時もあの食えない笑顔を浮かべているので判断に困る。
サタケはちらと時計を見て、もう一度イサミの肩をポンと叩くと、それじゃあなと部屋を後にした。
手の中の赤い缶コーヒーにイサミは視線を落とす。次の訓練予定まではもう少し時間があり、別に今飲んだって構わない、のだが。
飲み干して、ゴミになったこれを空き缶入れに投げ込む自分の姿を想像した。それはなんとなくあまり愉快ではなかったので、イサミは缶コーヒーをポケットに入れた。ぬるくなるだろうとも思ったが、それはそれだ。
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