シャルエがタートルネックを着ている理由
*これはないしょ。この服を選んだ理由は、オレさまと"キサマ"だけの、ないしょ。*
目の前には、小さな声で「ごめん」と呟くフリスクと、それを抱きしめている王様のそっくりさん。襲いかかってくるニンゲンたちから逃げるように地下世界に戻ってきたボクたちを、重たい空気が包み込む。
どうにか空気を変えたくて「ダイジョウブ! もう一回地上に戻って、話し合えばニンゲンだって」と言いかけた時、ボクの言葉はフリスクの言葉でかき消された。
「パピルス!!!」
「
……ッ」
たった一言、名前を呼ばれただけだった。けれど、それ以上言葉を続けることはできなくて。ボクはそれを飲み込んで、俯いた。
■■■
「
……黒い服ッ?」
「そう。本当なら、モンスターのやり方に従ってみんなを弔ってあげたかったんだけど」
みんなの塵、持って帰ってこれなかったから。そう言ったフリスクが、悲しげに俯いた。そんなフリスクの隣には、綺麗に畳まれた数着の服。
「だから、代わりにニンゲン流でね。ニンゲンは、誰かが死んじゃった時に黒い服を着るんだ」
「そうなのか!」
「うん。パピルスに似合いそうなものを選んでおいたから、好きなのを着てね」
並べられた服を一枚、一枚と広げて見てみる。その中に一つ、白いニットの服があった。なぜか首元がとても長くて、このまま着たら顔が出ないだろうと思える。
「フリスク、これって
……」
「ん? ああ、それはね、タートルネックっていう形の服だよ。着たら、首元を折るんだ」
「ウヒョウ! カッコイイ名前だな! オレ様、これにするぞ」
「せっかくだから着てみてよ。きっと似合うよ」
「わかった!」
そう言って、いそいそと着替え始めてみる。
……フリスクの言った通り、首元に少しボリュームが出てどこか落ち着く感覚がした。
「うん、似合ってるね。サイズも大丈夫そうで良かった」
「ニェヘヘ」
そっと、右手で首元を撫でてみる。もう、この首を落とさせはしない。この服を選んだ理由の中には、そんな決意も含まれていた。
そんなこと、フリスクは知りもしないのだろうけど。
「
……ありがとう、フリスク! 大事に着るなッ」
「うん、こちらこそありがとう、パピルス」

イラスト:夜月星礼様
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