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夜之 夢
2022-07-14 20:49:13
26086文字
Public
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きみ抱きし木よ
2022年7月23日用 アズジェイ無配。
※無駄に3年生設定&関係成立済み。
イベント終了後、WEBのどこかに投稿する予定です。
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「木ってさ、移植? 出来んのかな」
フロイドがそう疑問を口にしたのは、ジェイドが木となって4日目の、昼休みのことだった。
アズールもフロイドも、もうすっかり昼休みは運動場の端で過ごすようになっている。今日もジェイドの木の根のあたりに腰をおろし、フロイドはハムサンドを、アズールはベジタブルサンドを口にしていた。
フロイドが木の移植について尋ねたのは、そんな時だった。
不意の問いかけに、アズールはフロイドをちらりと見て口を開いた。
「それは、植えてある位置を変える、ということですか?」
「そう」
「
……
出来る、と思いますよ。お金も時間もかかるとは思いますが」
そっか、とフロイドが言う。
アズールはそれをまた横目で一瞥した。
しんとした静けさが2人の間を通り過ぎ、それを見送ってからフロイドが「そしたらさ、」と言葉を繋いだ。
「そしたらさ、卒業するとき、ジェイド引っこ抜いていっちゃおっか」
告げられた言葉に驚きは無かった。アズールも考えていたことであったから。
それが乱暴かそうでないかか、正しいか間違っているかどうかは別として、ジェイドという木はそうするしかないのかもしれない。アズールもそう考え始めていた。
「まあ
……
必然的にそうなるのかもしれませんね
……
」
ジェイドがこのままだったとして、卒業後、ジェイドの様子を確認したくなる度にこの学園を訪問するのはアズールも嫌だ。学園としても、勝手に一本増えた木を、そのままにしておくわけにもいくまい。
「でもさぁ、ジェイド引っこ抜いていったとして、どこに植え直す? 木って、海の近くだったら枯れんのかな?」
「木の種類によると思いますが
……
そういえばどうなんだ
……
?」
ジェイドが『何の木』なのか、たしかにそれを疑問に思ったこともなかった。今更そんな事に気づいて、アズールは自分に対して愕然とする。
何の木なのかわかれば、ジェイドが木になった方法や、それを解除する方法もわかるのだろうか
……
と考えかけたが、それも望み薄だ。木の種類がわかったところで特に意味は無い、と結論を出して、アズールはそっと溜息を吐いた。
一方、アズールがあれこれと思考を巡らせている間にも、フロイドは「ジェイドをどこに移動させるか」ばかりを考えていたらしい。
「それとも山の方がいーのかな」
たった今思いついた、というように声があがって、アズールはフロイドへと振り向いた。
山。確かに木といえば山だ。
ジェイドは山が好きだったのだし、木を植えるにしても、山であればこの上なく適した環境だと言える。
「さあ
……
確かに、木にとって山は過ごしやすい環境だと思いますが
……
」
答えながらも、過ごしやすい、とはどういう事をいうのだろうとアズールは思った。
ひょっとしてジェイドは、ヒトの姿では、過ごしにくかったのだろうか。オクタヴィネルという空間では過ごしにくかったのだろうか。
だから木になった?
だからこんな所に根を張った?
胸の内に生じた不安は、子供が泣きながら理由を問う様子に似ていた。
どうして突然木になんてなってしまったの。
ジェイド、と木の名を呼べば、風に揺れて枝がさらりと揺れる。かさかさと葉が音をたてて、アズールの心を不快に引っ掻いた。
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