MN*B
2024-06-21 01:49:20
21591文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.17 境界線

シリーズ中第31話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいね、コメントをいつもありがとうございます。
お待たせしました。

 
今回で、アニメ化した部分がほとんど終了となります。
ちょっと変わった文字打ちしたので、人によっては好き嫌いがあるかもしれないです。

 
次回、予告していた七海と順平ペアの話になります。
こちらも2週間以内にあげる予定です。もっと早くあげられたらいいんですが…。

 
 

 兄弟二番目対決。
お互いが、お互いのウィークポイントを突く存在でした。
ところで…九相図って、加茂家の血が入ってるんですね。血縁者と呼べるのかは…どうなんでしょう。

 
 

【狗巻先輩の呪言について】

伏黒の説明では「言霊の増幅・強制の術式」って言われてるんですが。つまりそれって、呪術廻戦の世界だと「言霊には(少なくとも)力が元々ある」ということですかね…?
ファンブックじゃ「呪力をこめた言霊を放つ:呪力を言葉にのせて相手に放つ」=「呪言」となっているので…ちょっと微妙な感じですけど。



#オリ主 #夢術廻戦 #伏黒恵 #釘崎野薔薇 #虎杖悠仁 #壊相(呪術廻戦) #血塗
2021年9月26日 20:58



 ビシャリと、血液が砂利に落ち、染みこんでいく。
すぐ目の前にいる少年は、苦しげに顔を歪ませると、その眼をまた伏せた。
彼に触れられている腕から痛みがなくなり、付けられていた傷も消えたのに気がつく。

「何を

私は現状を理解できず腕を引き抜き、彼から一歩遠のいた。
触れる先を失った腕が、ダラりと下がる。それは私のものであり、彼のものでもあった。
そんな私の右腕は、生ぬるい血液で濡れている。

「できない殺せねぇよ

私の腕が抜け、胸からも血を流し出す彼。その口からは、先ほども吐いていた血液が垂れていた。
間違いなく肋骨と肺をやった。人間なら致命傷のはず
それなのに彼は力なく頭を左右に振ると、血の滴る唇を開いた。

この日本では、年一万人もの人間が怪死、行方不明になっている。その主な原因は呪霊によるものだ」

「受肉体であるお前の、その肉体にだってそんな人間のものだ」

彼の意図が掴めたようでいて、理解に苦しむ。
私はその感情のままに、顔をしかめた。

「だから殺せない、と?この肉体はもう私のものであり、そして私はあなたを殺そうとしている」

赤の他人の、それも取り戻せやしない者のために、私をこの肉体を殺せないと言うのだ。
なんなら彼は、もうしばらくすれば死ぬ。その判断の甘さのせいで。

 彼は痛む胸を押さえるように、手をそこへ当てた。そして、歪んだ表情でこちらのことを見上げてくる。

「お前の、その身体がもし、兄貴だったらって

「兄?」

その単語に、思わず声が漏れた。
だが彼は、そんな私の声に気がつかず、独り言のように話を続ける。

「数日前から、兄貴と連絡が取れなくなってる。いつもなら居るはずがない、東京 コッチに来てたんだ」

「それから音信不通。余程のことがなきゃ、そんなことにならねぇだろ

そこまで話した彼は咳きこみ、地面へ血を吐き捨てた。
嫌な水音が混ざる声で、それでも彼は話すのを止めない。

「お前がいつから受肉してるかは知らない。そうである確率も低いでも、ゼロじゃない」

「ならば尚更、私のことを殺したいそう思うべきでは?兄弟の仇なら、私は放っておきません」

もしかしたら、俺にならなんて。そんなの無理だってこともう、わかってんのに……

身体から手を離し、それを眺める彼。その手は血に濡れている。
それはきっと、ほとんどが彼の血だ。そのままでいようと思うのなら理想がすぎる。

「それでもなお、殺せないというのなら甘いですね。それでは何も得られず、失うだけ」

「わかってる!!そんなことッ!」

ギチリと歯を食いしばる音。
それを解いて、彼はさらに叫びを重ねた。

「でもだからって、どうすればいい!?俺の世界は、今までずっと甘かった!」


「今さら、どうやって呪えっていうんだ!!」


その世界の一部を奪われたのに、そう叫ぶ彼は……愚直で、哀れだ。