MN*B
2024-06-20 21:50:07
18516文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.2 回復する指針

シリーズ中第16話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいね…どうもありがとうございます。
いつもと比較すると、ちょっとお待たせしました。

こんな文章量ですので、おそらく1週間に1本ペースですかね。
ストーリー内で開いた期間を補間するための話も書きつつ…って感じなせいなのもあります。

書いたのは番外編にあげようと思ってますが、キャラ数が増えてきて会話文多めなので、どういう文体にするかな…と迷ってますね。勢いで考えずにあげたい…願望…。
書かなくてもいい話たちじゃあるんですが、書き手のイメージを補うためですね。
どんくらい仲良くなったかな…ってイメージを固めるためです…。

 
最後の寿司話は、もうちょい掘り下げたのを番外編にあげる予定です。

 

【青嶺衛の『怖…。』レベル】
・五条悟の「それ相手死んじゃうかも」
・両面宿儺の「どこぞへ消えても構わんならな」
・釘崎野薔薇の「お子様どもめ!!」



#オリ主 #伏黒恵 #虎杖悠仁 #五条悟 #釘崎野薔薇 #夢術廻戦
2021年3月18日 05:42



「うん。異常ないね何か変わったこととかはないか?」

「ないと思います」

高専に戻ってきて恵が治療を受けたあと、俺も家入さんの診察を受けていた。


あの、なんで回復したと思いますか」

「その様子だと、大体検討がついていそうだけど」

「まぁ、はい。俺の術式とか、反転術式とかだとは思えないんで

恵からは自然治癒じゃないかと聞かれはしたが、一度死にかけたくらいでそこまで『適応』するのかと言われればきっと違う気がするのだ。
かと言って、呪力をまともに使えない俺が、反転術式を使うというのも理解できない。
そうなると、残る可能性は一つしかなかった。

「呪いって、反転術式を使わなくても元通りになるんですよね」

「そうだな。君が回復した方法は、それの可能性もあるでも、君の肉体は人間の物だよ。それなら基本的に、反転術式を使わなければ回復はできないはずだ」

それか君の術式が何らかの働きをしているかと、家入さんは考えるように呟いた。

一応、俺はまだ人間の範疇にいるようだ。
そう思って、小さく息を吐いた。

「寝て起きたら治っていたんだったな?」

俺はその質問に頷く。

「悟から聞いていると思うが、君は目が覚める前に呪力と呪いの気配がする。おそらく術式が発動しているらしい」

え、なんスかそれ」

俺は突拍子もないことを聞かされ、目を瞬かせた。
そんな俺の反応に、彼女も驚いたようにこちらを見てくる。

「呪符を受け取らなかったか?そのときに説明も受けたはず

「呪力なしと呪具の気配を誤魔化すためのやつですよね?」

俺はそう言いながら、懐からお守りを取り出した。
それを見て家入さんは、うわなんだそれ。と言葉をこぼした。
なんだか嫌な予感がする。

「それはそうなんだけど、それは副次効果にすぎないよ。その呪符の役割は、君の呪いの気配を抑えるものだ。"帳"の一種みたいなものかな

「呪力なしと呪具の気配を誤魔化せるというのは、『君から呪力の気配がする』というアピールができるということだ。通常時の君はそれらの気配が一切なくて、呪具を出したときに目立つからね」

家入さんはそこで一息ついて、困惑した表情を浮かべた。

「ただなんでそんな見た目になってるんだ?中身の呪符だけで十分だろう

俺が持ってると思うと面白いからって。しかもそんな説明受けてないです」


あれー?体質について聞いてなかったの?僕も言ってなかったっけ?などと言いそうな、あの人の顔が頭に浮かんだ。


俺たちは顔を見合わせて、

「あいつ!」

と、揃って呪いのこもっていそうな声を出した。



 結局、呪符や寮の俺の部屋についての詳しい説明を受けた。
知らねぇこと多すぎだな。五条さんのせいとも、ある意味自業自得ともいえる。
俺の体質?や能力について、俺自身が関心を持ってさえいれば、すでに尋ねていてもおかしくない。俺の質問するタイミングが遅すぎるだけなのだろう。

そう考えて自分を納得させると俺はため息をついた。
それを見ていた家入さんは、そういえば。と話を切り出した。

「私からも聞いてみたかったことがあるんだけど

「なんですか?」

「君はなぜ『青嶺』と名乗るんだ?」

君の意図を聞いてみたくてねと、彼女は付け加えた。
その質問によって、俺はまた自分の認識が歪みかけていることに、改めて気がつく。

変な話じゃあるんスけど、本当の苗字より『青嶺』と呼ばれたことのほうが印象に残ってるからかと」

「どういうこと?」

「水神様地元にいた呪霊から、『青嶺の うれ』って呼ばれててたぶん、あの存在にとって、俺は『青嶺』という家系の人間の一人としてしか見てなかったんだと、思います」

「そのせいか、俺は『青嶺』だって刷り込まれてたみたいな。スンマセン、俺にもよくわかんなくて

名前は家族から呼ばれてたこともあって、元はそういう名前だって意識があるものの苗字を名乗ったことも呼ばれたことも全然ないのだ。全くというわけではないが。

「よく考えたらその違和感っていうか、違和感がないことに気がついた感じです」

まぁ元の名前に対して、俺が名乗って良いものではない。という思いがないわけではないからそのせいかもしれない。

俺の返答に家入さんは、答えてくれてありがとう。と返した。
そして、居心地の悪さを感じている俺に、フォローをいれるように言った。

「まぁ目立った問題もないから、気にしなくていいよ」

俺はそれに頷いてふと頭に浮かんだことがあった。

「思ったんですけど、もしかして俺ってまだ自分のことで聞いてないことってあるんじゃないスか?」

もしそうだとしたら?」

「何か意味があって言われてねぇのかなと思います。知らないほうが良いことも世の中にはあるってことを知ってるんで」

知りたくないってことも多々あるが
俺はそうも考えてしまって、目を伏せた。

「知りたいとは思わない?」

いずれ知るときが自然とやってくる。逃れられないものは、そうやって現実を突きつけてくるものだと知りたければ、そう思ったときに求めます」

今日みたいに。
知りたいと思えたときが、覚悟のできたときだともいえる。
それが遅いか早いかは知ったときにわかることだ。

「意外と君は考えがしっかりしているね」

「俺の考えかと言われると微妙です。受け売りで、リスペクトみたいなもんですし

頭に残った記憶で、俺自身も納得できるものを掬い取って、自分の考えに落としこめる。
そうやって自分に足りないものを補って、学習していく。いつも見る夢と記憶の狭間でも行っていることだった。





「おっ、青嶺じゃん。もしかしてそこがお前の部屋?」

自分の部屋のドアに手をかけたとき、そう声をかけられる。
そちらを見れば、虎杖悠仁がこちらへ向かって来ていた。

「俺は伏黒の隣だったんだけど、お前は離れてるんだな」

「そうだな」

俺の諸事情が絡んでいるらしいし。
あと俺は耳が良いので、周りに人がいると生活しづらいからこれぐらいでちょうど良かった。

「お前はどこかへ行くとこか?」

「ん?そう、探検。あっそうだ、青嶺の部屋はどんな感じなの?」

伏黒の部屋はちょっと覗いたんだけどすぐ締め出されたーと、軽く言ってくる。

別に。ほかの部屋と変わり映えしないと思うが俺になんか用か?」

遠回しに俺に用があるのかそれとも、ただの雑談なのだろうか?

「え?何かこうあるわけじゃないけどさ。これから同級生になるわけだし」

なるほど?対話は必要か。
よく考えたら、俺らはお互いにまともな自己紹介もまだだった。

「入れ」

俺は自室のドアを開けて、彼を招いた。

「おぉダメ元だったけど言ってみるもんだな」

なぜか意外そうにして入って来る虎杖悠仁。



なんか、思ってたより物多い?」

そう言って虎杖悠仁が座るのは、床に敷かれたラグの上のクッションだ。
その近くには、通るのに邪魔にならない程度のローテーブルが置かれている。
彼がどう思っていたかは知らないが、俺としても不本意な物の増え方をしたのは確かだ。

俺にもよくわかんねぇけど、先輩たちが入り浸るようになってから増えた」

俺はそう言いながら、電気ケトルに水を入れてお湯を沸かし始める。

「虎杖悠仁、お前は「ちょっと待って!」なんだ?」

「なんでフルネームで呼ぶの?ってか俺はお前の名前ろくに知らないんだけど」

そうだった。まずは自己紹介だな」

俺はそう独り言のように言って、彼に向き直った。
見下ろすのはあれなので、俺もラグの上に座る。

「俺は青嶺衛。……4級」

ほかに言えることがねぇ
言い終わったぞ、といった視線を送れば、彼は戸惑いながら口を開いた。

「あー知ってるみたいだけど、俺は虎杖悠仁。その、4級って何?」

「呪術師としての階級のことだ。お前も学生証を貰ったら確認するといい」

へー。とわかったのか微妙な返事が返ってくる。
勉強も一切してねぇからそうなるよな。
俺は頷いて、彼にフォローらしきものをいれておく。

「俺も呪術師としての基礎知識はあんまりないほうだがわかんねぇことあったら聞いてくれ」

「おう!よろしくな」

俺は、ああ。とまた頷いて聞こうとしていたことを思い出す。

「それで……虎杖?お前は何を飲む?」



「あーヤバイね、これ。入り浸るのもわかるわ

虎杖は、完全にくつろいだ状態で漫画を読んでいた。
ちなみに、漫画は狗巻先輩が置いてったものだ。

「だってもうこれほぼ自室じゃん?しかもお茶とお菓子出てくるの、もはや自室より高性能じゃん」

「お前は初日で馴染みすぎだろ

俺は戸惑ってそう答えるしかできなかった。

「ってかなんでこんなお茶とお菓子揃ってんの?好きなの?」

「いやなんかいつの間にか

最初は緑茶とコーヒー、そして五条さんからのお土産しかなかった。
そこから人が来るようになって、茶菓子を用意していないと『課題』が食われてしまうという謎の状況に陥ってしまったのだ。
なので、人に出す用のお菓子を準備するようになり、さらに要望で紅茶やほうじ茶なども増えていった
俺、何やってんだ?

最近は忙しいのもあって、まばらにしか人はやってこないが自分でも何をやっているのかという気分になって、首を傾げた。

そんな俺を見ていた虎杖は少し悩んだあとあぁ!あれだわ!と声をあげた。

「なんていうか青嶺って、昔遊びに行ってた交番のおっちゃんに似てるって、いい意味でだから!」

老けてるとかそういうことじゃなくて!と慌てて弁明する虎杖。

「小学生の頃の話なんだけど。用もないのに遊びに行くとさ、険しい顔しながら対応してくれんの。食ったら帰れって言いながら、お茶とお菓子出してくれて」

「仕事が忙しくなかったら、話しかけてたら返事してくれるし。同じ警官の後輩の人が言うには、俺と同じくらいの娘さんがいるらしくて意外と優しい人だったんだ」

そこまで話した虎杖は、目を伏せてなんとなく静かになった。

「でもその人、いつからかその交番から居なくなっちゃった。後輩の人から、もうあの人はここに勤めてませんよ。って言われてさそれから行かなくなった」

俺はなんと返せばいいのかわからず、沈黙を保ったまま、彼を見つめた。
虎杖はハッとしたように顔を上げると、苦笑いを作って明るい声を出す。

「わりぃ、なんか関係ない話しちゃった!でもなんていうか、そういう雰囲気?あって、居心地いい感じする」

なんだかよくわからないが、もしかしたら虎杖って寂しいのかもな。
この間家族が亡くなったばっかだし、いきなり高専来ることになったし。こいつもまだ高1だしな。

虎杖の顔を見て、どこかそう思った。


いつもいるとは限らねぇけど、来たいなら来い。結構みんな入り浸ってるし、今更だからな」

俺はそれを言ってから、すぐに話題を変えた。

「招いた俺が言うのもなんだが、お前ほかにまわる場所あるんじゃねぇのか?」

「あーなくもないけど、わかんないことがあったら誰かに聞けばいいよって、五条先生から言われててそんときでいっか。みたいな?」

五条さん適当すぎる案内のうえ、虎杖も適当だ。
俺は深く息を吐いてから、控えめに提案をした。

必要なら俺が案内できるが」

「マジ?それってしてくれるってことだよな」

俺は頷いてみせる。

「やった!一人でウロウロすんのも嫌いじゃないけど、やっぱ誰かとのほうが良いな~ってなってて」

そうか」

「あっ、でも待って。出してくれたお菓子、めっちゃうまそうなのある

「別に食べてからでいいぞ

なんとなくノリが掴みづらい相手で、俺は始終戸惑っているような気すらある。

「それじゃ遠慮なく、いただきまーす」

「おい」

!??
虎杖から別の声がするかと思えば、その頬に口ができている!?
俺が驚いている間も、虎杖は平然と会話を続けた。

「んあ?なんだよ」

「お前じゃない。そこの青嶺だ」

名指しされたんだがというか、この声もしかして。

「その口って、まさか

「宿儺だけど。そういえば青嶺って、あのときなんにも見えてなかったんだよな」

口が出るようになったのはまた別だけどと、面倒そうに話す虎杖。
特に深く気にする様子もない彼に、俺はまた戸惑ってしまう。
もうちょっと気にしろ?あぁでも、気にしてもどうしようもねぇけど

「無視をするとはいい度胸だな」

ギョロリと、虎杖の目の下にある眼がこちらを見てくる。

「えすんません」

思わず謝ってしまったが状況把握くらいさせてくれ。

「気にしなくていいと思うけど。なんか態度デカいしコイツ」

「小僧は黙れ。コイツが取りこんだ二本目の指は、お前の町の鬼門を封じていたものだ。何か言うべきことがあるだろう?」

虎杖、二本目食ったのかよ。って、そこにまず思考がいってしまったが、それどころではない。
仰々しい態度だが、鬼門のことを知っているということは、ご本人?で間違いないんだろう。意識あったのか?

俺は混乱しながら、軽く頭を下げた。

お勤め、ご苦労さまでした?」

俺がそう言うと、眼と口は満足そうにニヤリと笑った。

「もっと態度を改めてもいいぞ。手始めに、そこの供物を献上しろ」

「いやそれって宿儺も食べたいだけじゃん」

そうなのか?意外と俗っぽいな

「別にいいが食ったのはどこへ行くんだ?」

パンダ先輩といい、仕組みが不明なところあるよな。
なんなら虎杖が食べた指は、胃で消化吸収されたわけでもないだろうし

そう考えながら、虎杖の頬に開いた口を見つめた。
口内で合流しているわけでもなさそうだが。

そんな不躾な視線を受けたせいか、その眼と口は少し不機嫌そうになる。

「俺の口には変わりない気になるなら己の指でもいれてみるといい。どこぞへ消えても構わんならなケヒッ」



「箸使っていいスか

「いや青嶺も順応はやくない?」

とりあえず害がなさそうなら崇めとけばなんとかなるだろ、うん

俺は自分をそう納得させながら、一体どのお菓子から差し出せばいいのかを悩んだ。