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浮き流し
2024-06-19 20:39:38
9515文字
Public
イチ松
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能登半島を旅行するイチ松のお話
・pixivと同じものです
能登半島地震の平穏と追悼と一刻も早い復興を願って
小説と呼べるかどうかもわからないですが、拙いながらも初めて作品を投稿します。
イチ松大好き&復興祈願で能登半島を旅行してもらいました。
↓諸注意事項
※松本を地方のシティーボーイにしたいが為に石川出身にしてます。
※作者が石川にも東北にも詳しくないので多分齟齬が出てます
※できてるイチ松ですが挿入はないです
松本がリードしてます 雄な受けが好きなので。
※一部弱気な松本が出てきます
※令和設定
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ー・ー・ー・ー・ー
翌朝。昨日何気なく撮った写真から、今日の予定を決める事にした。行きたい場所と凡その時間は調べてきたから、バスが出るまで時間はある。結局遅くまで高め合った二人は、仲良く備え付けのシャワーを浴びることとなったのだ。
「あさいち号、ななお号、おくのと号。毎日運行、ツアーバスだって。千里浜の砂浜を走るバスのポスターは見た事あるかも」
これに乗ればあちこち観光地に連れてってくれるんだ。一之倉が感心したように呟く。
バスに揺られる事1時間弱。輪島の朝市に到着した。
「ホテルで食べてきちゃったから、散策がてら見よっか」
「生魚とか干物とか調理が必要なものばかりだと思ってたから、普通に食べてきたな。雰囲気を味わおうか」
ー・ー・ー・ー・ー
歩いても行けるであろう距離をバスで進むと、一際目立つ建物が見える。遠くからでも目立つ白い大きな建物、輪島キリコ会館だ。
入ってすぐ出迎えてくれるのは大松明だ。1階から天井を越えの吹き抜けから上へと突き出している。
「外から見て高さあったから、物自体も高いとは思ったけど天井ぶつかりそう」
薄暗く夕方を再現したような間接照明に、キリコ内部の電灯や提灯が明るく灯っている。和紙に黒い墨で文字を書いたようなものや神社仏閣にあるような色彩豊かな神仏を模ったもの、様々な工夫を凝らしたキリコが所狭しと並ぶ。そして館内には祭囃子や掛け声が流れる空間は、本当に祭りにいる気になれる。
「これ実際に使ってるやつだって。祭りになったらここのキリコ達出動するのかな」
「バスケしてたら祭りなんて殆ど行けなかったからな」
「それこそ全国区なねぷただって頑張れば近いのに」
「今年は関東とか神奈川の祭りかな?」
「今度は一緒に屋台回って花火も見よう」
ー・ー・ー・ー・ー
バスは30分程かけて奥能登にある白米千枚田に着く。眼前には少し坂登ったところに柵と看板と、隣には道の駅がある。柵の向こうを見下ろすと今いるところから海に至るまで、所狭しと田んぼが敷き詰められているのが見える。
田植えの季節には早いのか、稲の緑も雑草の緑もまだ見られない、茶色い地面に水を張った景色が広がっている。
「一面が広い田んぼはよく見るが、この高台から海まで棚田が続いてるのは圧巻だな
…
」
「種苗もまだないけどこれだけ広いと凄いね。折角だから1番下まで下りてみようよ」
傾斜の大きな畦道をひたすらに下っていく。畦道と言っても流石は観光地、通行に支障がない様に整備されている。
「ここの田んぼ、無理矢理開墾したみたいな大きさしてる」
「お一人様用だな」
傾斜が急故に田んぼというより大きな水溜まりのような場所も少なからず見られる。
「規模が大きいから下りても下りても全く海が近づいた気がしないな」
「でも横道は出てくるし最初の入り口にいる人が小さく見える。着実に進んではいるんだけどね」
「ここの田んぼを持つ人たちはここを毎回往復するのか。なかなかの重労働だ。」
「傾斜と小ささで機械が使えないから大変。元に代掻きも手押し式ならイケるみたいだけど、それ自体運ぶのだって楽じゃないし」
「だから愛好会とオーナー制度なのかな。まだ体力と元気あるボランティアとか好きな時に来れる人」
足元のぬかるみに足を取られたり前を行く人に道を塞がれたりしながらも1番下まで辿り着く。
「上から見たら海スレスレまで続いてた気がしたけど、案外距離があるんだね」
「波に攫われたら困るだろうな」
後ろを振り向くと高台が、遥か遠く高い場所見える。道の駅の屋根を指差しながら、一之倉が興奮したように言う。
「途中のキツい傾斜で遮られてるけど、あの上から来たんだよね」
「全体を見るには途中の方が良かったかもな。でもここから駆け上がったら相当に体力付きそうだ」
どこへ行っても考えることはバスケット。松本の発言に笑いながらも、一之倉だって考えることは同じだ。
「ちょっと興味はなくもないけどこれだけ観光客がいたら厳しいかな」
「ならオーナーとして普段から往復しないと」
「それはバスケの時間減るし必要以上に筋肉付きそうだから遠慮しようかな」
現実味のない与太話にしっかりと組み込まれるバスケット。結局はバスケット馬鹿なのだ。
ー・ー・ー・ー・ー
高い煙突に傘を被せ、マントを靡かせた様な建物が道の駅すず 塩田村だ。その道の駅を横切り、砂浜にある昔の家を再現した様な建物を目指す。不思議な音を立てながら、砂浜になにか液体を撒く人の姿がある。
「なにしてるんだろう」
屋内中央に巨大な鍋があり火にかけられている。鍋内部には並々と液体が溜められており、表面には白っぽい背脂のようなものが浮かんでいる。
「なんだか土みたいな色してるけど、これ本当に塩になるの?」
一之倉の感想に松本は併設されている説明文を読みつつ答える。
「海水を撒いた砂を集めて海水かけて塩分にして煮て煮て。説明を見る限り土は入ってないみたいだけど
…
」
一之倉の疑問も最もで、液体はお湯や塩よりも土や泥に近い色をしている。説明にはさらに約6時間荒焚きし一日冷まし濾過、さらに12時間本焚きしーーと工程は続いていく。その大変さを知り、何故か一之倉が誇らしげにする。
「ひたすら根気のいる仕事なんだね。忍耐だ」
砂浜では先ほどの人が海水を撒き終わったのか、枯山水の整備の様に砂浜の砂を均している。作業の解説を読んだ後だと潮撒きの後の乾燥作業らしい。
その後道の駅へ行き使用する道具や岩塩の展示、お土産の塩や塩を使った食品を見た。
ー・ー・ー・ー・ー
昼食を終え見附島へ向かう。
能登半島の先端まで行かず、バスは途中で山を越え島の反対側へ出る。駐車場でバスを降り防風林を過ぎると最終目的地、見附島が見えてくる。
島は正面から見た魚の様に鋭角となっており、その角を境に左右で明暗が分かれている。
「長崎の軍艦島じゃなくて、軍艦に見えるから別名軍艦島。本当の名前は見附島だって」
「潮が引いた時に島まで渡れるって書いてあったけど、しっかりと道ができてる。ラッキーだな」
塩田村からの移動時間は長かった。予習も運も完璧だった。
白米千枚田と同じく、数百メートル近付いたぐらいでは何一つ景色が変わらない。遠くの対象物が大きすぎるがために、大きさや距離感が掴み辛いのだ。
「これも大きくて縮尺が狂うけど、向こうに並んでる小さいの、人なんだよね
…
?」
砂浜から見附島へ続く道を歩く。想像以上にしっかりした足場ではあるが、とても抱えるには大きすぎる岩が乱雑に敷き詰められている。
「元々海底だから角張ってても鋭角ではないな」
「でも天然のテトラポッドみたいなゴロゴロ感」
周りを見回すとカヤックが、さらに沖には鳥居が見える。一定の距離まで近付くと、平坦な砂がなくなり細い岩だけが残される。バスケットで鍛えた体幹がある、行けない事はない。ただ足場が悪くて海にドボン、なんて事は避けたいので近付くのはここまでにする。
側面こそ真っ直ぐな壁ではあるが、菱形の頂点は断崖絶壁を見上げる様にそびえ立っている。珪藻土から成る島らしいが、確かに岩とはまた違った険しさを見せる。
「近づいてみるとゴツゴツ剥がれて、言われてみれば規模のでかい粘土って感じ」
「これだけ大きいものがポツンとあるのも凄いけど、この上に生えてる木々も中々の根性の持ち主だな」
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