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雨宮水月
2024-06-20 10:04:37
7804文字
Public
企画
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第一回 誰の文章だゲーム
参加者6名の中で、どの作品を誰が書いたのか当ててみよう!
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【作品E】
汽車がレールを軋ませながら風を切って進む。
蛇がのたくるようなスピードでゆっくりと車窓からの景色が流れる。
代わり映えのしない光景は連続して同じフィルムを見させられているかのよう。
私は棺桶のように真っ黒な汽車に乗車してから、ただ静かに頬杖をつき、風景の巻き戻しを眺めているのだった。
「おや、おひとりですか?」
横の座席に座っていた男が声をかけてくる。
その男の対面には子供と母親と思わしき女が肩を寄せ合うようにして眠っている。
「
……
実は乗り遅れてしまって。彼女は先に出発してます」
「そうだったのですか。おや、それは
…
」
「これは待たせてしまった詫びとして
……
ささやかなものですけどね」
私の膝元に横たわるように置かれていた花束を一瞥した男は頷いてみせた。
「そちらは
…
」
「あぁ、私たちは家族でね。妻も子供も長旅の影響かすっかり疲れてしまったみたいでね」
「
…
そうでしたか」
男は愛おしそうに二人を見ているが、瞳はしゃれこうべの窪みと同じように深く深く黒色で、ひどく疲れているように見えた。
「
…
どうやら私も長旅の影響をうけているみたいです。少し目を瞑ることにしましょう」
「いい旅を」
それから男は瞼を閉じて死人のように静かになってしまった。
程よい車体の揺れは揺りかごになり、車輪の響きは子守歌になる。
私の耳には汽笛が睡りに絶えようとする一線のように、幽かに遠く聞こえたのであった。
―――
【死出の旅】。
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